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地方創生・行財政改革調査特別委員長報告

 

 

地方創生・行財政改革調査特別委員長報告

平成29年2月定例会

 地方創生・行財政改革調査特別委員会の調査結果についてご報告いたします。

 本委員会は、(1)県の地域特性を踏まえた望ましい地方創生のあり方について調査検討すること、(2)県の実情に即した地方分権のあり方について国の動向も注視しつつ調査検討すること、(3)行財政改革の進捗状況、その効果及び課題等について調査検討を行うこと、の3点のテーマを目的として平成27年5月定例会において設置され、執行部からの報告を受けながら調査を行ってきました。

 以下、その調査結果及び本委員会からの意見や要望等についてご報告いたします。

 

 まず始めに「地方創生」についてです。

 地方創生については、我が国における急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、特に地方の人口の減少に歯止めをかけるとともに、地域で住みよい環境を確保することで、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくことが、喫緊の課題となっています。

 島根県においても、人口の現状と将来の展望を提示する「島根県人口ビジョン」と、今後5か年の目標や施策等をまとめた「まち・ひと・しごと創生島根県総合戦略」を策定し、2040年までに合計特殊出生率2.07と、社会移動の均衡を目指し、取り組みを進めることとしました。

 「島根県総合戦略」においては、「しごとづくりとしごとを支えるひとづくり」、「結婚・出産・子育ての希望をかなえる社会づくり」、「しまねに定着、回帰・流入するひとの流れづくり」、「地域の特性を活かした安心して暮らせるしまねづくり」を4つの基本目標として掲げ、県の総力を結集し全力で目標達成に向けて取り組みを進めているところです。

 今年度聴取した「総合戦略に基づく施策の成果」では、ものづくり・IT産業の振興をはじめとした産業振興策が雇用の創出につながっていること、県や市町村が取り組んできた結婚・出産・子育て支援の効果が徐々に現れていること、移住・定住対策がUIターン者数の増加として現れていることなど、一定の成果を挙げているとの報告を受けました。

 また、「島根総合発展計画」についても総合戦略の考えを織り込んだ第3次実施計画を策定し、「住みやすく活力ある地方の先進県しまね」を築いていくための具体的な方策と目標を設定しています。

 そこで、本県の地域特性を踏まえた望ましい地方創生のあり方について、次のとおり意見・要望を行なうものです。
(1)「まち・ひと・しごと創生島根県総合戦略」について

 ・2040年までに合計特殊出生率を2.07に引き上げるために、数値の変動に一喜一憂することなく、評価結果を踏まえた事業の見直しを行い、着実に進めていくこと

 ・島根県の社会減の最大の要因は、20歳から24歳までの若年層における県外流出であり、若者が島根で住み続けたい、帰ってきたいという魅力ある環境を整備し、それを積極的に情報発信していくなど、若者の回帰や、流入・定着に向けた取り組みを強化すること

 ・総合戦略の重要な取り組みの一つである、「小さな拠点づくり」については、生活機能、地域交通や地域産業の確保に向け、現世代のみならず次世代までが住み続けられる地域づくりを、県がリードしながら住民が主体となって進めていくこと

(2)「島根総合発展計画」について

 ・総合発展計画は総合戦略も織り込んで策定した総合計画であり、その進捗状況を的確に把握しながら各施策の実効性をあげること

 

 以上が、本委員会の「地方創生」に関する調査結果の報告です。

 

 次に「地方分権」についてです。

 地方分権改革については、地方の発意に根差した取り組みを推進するため、平成26年より国から地方への事務・権限の移譲及び規制緩和に関して、地方公共団体等から国へ提案する、提案募集方式が導入されています。

 県においては、事務遂行に支障となる事例などを踏まえて提案していくこと、また、中国5県で賛同できるものは共同提案を行っていくことを取組方針とし、平成27年には12件、28年は9件を中国地方知事会として国に提出しました。

 提案についての国の対応方針は、「提案の趣旨を踏まえて対応等をする」とされたものが、中国地方知事会では27年の提案分が9件、28年の提案は6件であり、国全体では、27年の提案分が228件の提案に対し166件、28年の提案分が
196件の提案に対し150件という結果でした。

 国においては、この対応方針に沿って地方からの提案に対する、地方への事務・権限の移譲、義務付け・枠付けの見直し等が進められ、平成28年度に15の法律が一括改正され、平成29年度についても必要な法律改正が行われる予定です。

 

 以上の調査を踏まえ、県の実情に即した望ましい地方分権のあり方について、次のとおり意見・要望を行うものです。

 (1)地方が行う事務・権限に見合う財源の確保について

 ・地方分権を進めるにあたっては、地方が行う事務・権限に見合う財源が制度的に確保されなければならないことから、地方交付税など必要な地方財源の総額を確保するとともに、社会資本整備や財政力の地域間格差に配慮した財源措置が図られるよう引き続き国へ要望していくこと

 

 (2)事務・権限移譲及び規制緩和について

 ・県民の生活を守っていくことを基本理念とし、県民にとって本当にプラスになるかどうかを十分吟味の上、しっかりと県の考えを国に主張しながら引き続き取り組んでいくこと
・全国一律に事務・権限移譲が難しく選択的な移譲となる場合については、県内自治体間で対応が異なることにより住民サービスに重大な格差が生じ、住民の生活に支障を来すことのないよう、県として必要な対応を行っていくこと

 

 以上が、本委員会の「地方分権」に関する調査結果の報告です。

 次に、「行財政改革」についてです。

 今後の県政の発展に向けた地方創生・人口減少対策などについて適切な対応を行うためには、健全な財政基盤が必要であると考え、平成19年10月策定の財政健全化基本方針に基づく財政健全化の取組みと今後の財政運営の考え方、県職員の定員削減などについて調査を行いました。

 

 以下、主な調査事項に関して、ご報告します。

 まず、財政健全化の取組みと今後の財政運営の考え方についてです。

 「財政健全化基本方針」を策定した平成19年10月時点では、毎年度200億円台後半の収支不足が見込まれていましたが、財政健全化に取り組んできた結果、平成28年度の収支不足は決算段階で5億円程度になる見込みで、概ね基本方針に沿って進んでいるとの報告を受けました。

 その上で、今後の財政運営の考え方については、これまでの財政健全化の取組みにより、県債などの将来負担すべき実質的な負債の標準財政規模に対する割合である「将来負担比率」は大きく改善しているものの、財政状況が類似している他県と比較すると依然として高い水準であり、引き続き行政の効率化・スリム化、事務事業の見直しや財源の確保などの財政健全化を継続しつつ、県債残高の縮減に努めていくことも併せて報告されました。

 

 次に定員削減についてです。

 平成14年度以降、一般行政部門を中心に1,500人程度の定員削減に向け、取組みが行われ、平成26年3月に策定した「今後の財政健全化の取組み方針」において、平成29年度までの削減数を「1,300人程度」としています。

 地方創生・人口減少対策や防災体制の強化など新たな行政需要に対応しながら、現業業務の見直しや再任用職員の活用などにより削減を実施しており、平成28年4月1日現在1,144人の削減実績となりました。

 今後も、必要な行政需要に対し、機動的かつ弾力的に対応しながら、引き続き定員削減に取り組んでいくとの報告がありました。

 

 以上の調査を踏まえ、「行財政改革」について、次のとおり意見・要望を行うものです。

 (1)「財政健全化の取組みと今後の財政運営の考え方」について

 ・財政健全化については、これまで概ね基本方針に沿って進められているが、県の財政状況は、財政状況が類似している他県と比較すると依然として厳しい状況にあり、国による地方創生支援や地方財政対策なども勘案しながら、引き続き財政健全化に努め、県債残高の縮減を図ること

 

 (2)「定員削減」について

 ・地方創生・人口減少対策や災害対応など新たな行政需要への対応や地方分権による権限移譲などで、事業量が大きく変動することが見込まれる。今後の財政状況や必要な行政需要などを勘案し、県民サービスの低下につながらないよう、機動的かつ弾力的な人員配置に取り組んでいくこと

 ・嘱託職員及び臨時職員あるいは再任用職員のバランスのとれた人員配置を行い、職員の健康管理も考慮の上、職員の過度な負担とならないよう事務事業の見直しを行い、柔軟な人員配置を行うこと
 

 以上が、「行財政改革」に関する調査結果の報告です。

 

 終わりになりますが、執行部におかれては、厳しい財政状況の中、今後とも県民生活を第一に考えながら、確実に地方創生・行財政改革を推進していただくことを切に要望し、本委員会の報告といたします。


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