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総務委員長報告

 

 総務委員長報平成25年11月定例会(12月13日)

 

 総務委員長報告をいたします。

 今定例会で総務委員会に付託された議案の審査結果等について報告いたします。

 

 本委員会に付託された議案は、「平成25年度島根県一般会計補正予算(第6号)」の予算案1件、「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」など条例案3件、「権利の放棄」に関する議案など一般事件案2件、そして、「地方税財源の格差是正と充実を求める意見書」に関する議員提出議案であります。

 これらの議案について、知事提出議案については執行部に説明を求め、議員提出議案とともに慎重に審査いたしました結果、いずれの議案も全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

 

 次に、請願の審査結果について報告いたします。

 新規の請願第30号「私学助成政策の抜本的拡充を求める請願書」は、私学助成の増額を求めるものであります。本請願については、県の厳しい財政状況を考慮すれば、慎重に検討を行う必要があることから、「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

 また、新規の請願第32号「島根県立大学看護学部助産学専攻科設置の要望」は、今年4月に「助産師教育あり方検討会」により決定された、別科助産学専攻の設置に対し、高い専門性を持った助産師を育成するための、助産学専攻科の設置を求めるものであります。本請願については、県立大学が、今後の助産師の需給状況等に注視しながら、引き続き大学専攻科や大学院についても検討を継続するとのことから、「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

 

 その他、継続審査中の9件の請願については、いずれも結論に至る状況にないことから、引き続き「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

 

 次に、陳情の審査結果について報告いたします。

 まず、新規の陳情第175号「島根原発の規制基準適合性審査申請の事前了解願いに関する県民説明会開催を求める陳情」は、県として知事から事業者である中国電力に対し、住民へ丁寧な説明を行うよう既に要請していること、また、県議会や県の安全対策協議会に対しても説明を行うよう要請していることから、挙手採決の結果、「不採択」とすべきとの審査結果でありました。

 また、新規の陳情第176号「島根原発の再稼働に対する慎重な判断を求める陳情」は、島根原子力発電所の再稼働に関し、使用済み核燃料の安全な処分方法が確立されること等、3点の条件を満たすことを求めるものであります。原発の再稼働については、今後の国のエネルギー政策の議論を注視する必要があり、県の方針決定までには、なお一定の時間を要することから、挙手採決の結果、「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

 

 最後に、島根原子力発電所2号機における新規制基準への適合性確認審査に係る事前了解願いに関する本委員会の調査結果について報告をいたします。

 昨年9月に原子力規制委員会が設置され、本年7月8日に原子力発電所にかかる新規制基準が施行されました。これに伴い、中国電力は11月21日に「島根原子力発電所周辺地域住民の安全確保等に関する協定」第6条に基づき、島根県及び松江市に対し、島根原子力発電所2号機に係る新規制基準への適合性確認申請を行うための事前了解願いを提出したところであります。

 本委員会においては、この新規制基準が施行されて以降、委員会の所管事務の調査として、島根原子力発電所に関するさまざまな調査を行ってきましたので、その概要について報告いたします。

 まず、9月13日に原子力規制庁から参考人を招請し、新規制基準の内容を聴取いたしました。また、10月4日には、島根原子力発電所において、福島原発事故以降、国の指示、あるいは中国電力が独自で行ってきた安全対策について、工事の状況を確認いたしました。

 さらに、このたび事前了解願いが提出されたことを受け、12月9日に再度、島根原子力発電所において実地調査を行いました。今回の調査では、免震重要棟や2号機南側で進むフィルタベント工事の進捗状況、また、高圧発電機車やホイールローダの設置状況、2号機内の水密扉や建屋内防水堰など、このたびの申請の対象となった2号機を中心に調査を行ったところであります。

 また、同日開催いたしました本委員会においては、中国電力を参考人として招請し、このたびの新規制基準への適合性確認申請の内容について聴取いたしました。

 この中で、委員からは、「放射性物質の放出を伴うフィルタベントは、どういう状況で使用するのか、また、どの程度周辺環境へ影響を与えるのか」との質問があり、中国電力からは、「圧力の上昇により、原子炉格納容器に損傷の恐れがあると発電所長が判断し、使用することとなる。また、長期にわたり帰還を困難にするセシウム137を99.9%除去できる。希ガス等の除去は難しいことから、一時的には避難をお願いする可能性はあるが、長期的な住民避難にはならない」との回答がありました。

 また、「地下水・汚染水対策は国における検討ワーキンググループにおいて検討中とのことであるが、いつ頃、どのような対策が出されるのか。震源を特定しない地震動の対象となる、留萌地震についての結論はいつ出るのか」との質問に対しては、「9月に地下水に対する基本方針が示されたので、これに沿って対応していく。汚染水についても、既に建屋から出ない対策がなされているが、仮に建屋から出た場合についても、敷地外に出さない観点で検討中である。また、留萌地震については、近々データが確認されると聞いているので、明らかになり次第、今回の申請に取り込んで対応したい」との回答がありました。

 さらに、「通常思いつかないような事象が福島原発事故では起こったが、島根原発ではどう対応しているか」との質問に対しては、「例えば、福島原発事故では、格納容器の圧力を逃がすためのベント操作で、電源がなくなったためにバルブを動かすことができなくなったことから、駆動用の窒素ボンベを用意した。また、電源が全てなくなったのが大きな原因だったので、電源車やガスタービン発電機を用意した。そして、水を原子炉や燃料プールに送れなくなったので、送水車を準備し、建物の外壁に接続口を準備した」との回答がありました。

 最後に、「今後、仮に申請をすることとなった場合に、審査の過程で原子力規制委員会から指示を受けたり、あるいは追加の対策を求められた場合は、県、県議会、関係自治体に対して、あらためて説明を行ってほしい」との委員からの要望に対しては、「審査の状況をわかりやすく説明し、またご理解いただけるよう真摯に対応していきたい」との回答がありました。

 以上が、これまで行ってまいりました調査の概要であります。

 

 次に、このたびの事前了解願いに対する県の考え方について、以下のとおり説明がありましたので報告します。

 まず、県は、このたび中国電力が原子力規制委員会に新規制基準適合性確認申請をすることについて、了解する。ただし、安全協定第6条の最終的な了解については、原子力規制委員会から審査結果について説明を受けた後、それに対する県議会、県の安全対策協議会、原子力安全顧問、松江市や周辺自治体等の意見を聞いた上で、総合的に判断する。また、今回の原子力規制委員会への申請の了解にあたっては、中国電力及び原子力規制委員会に対して、必要な事項について要請を行うとの説明がありました。

 この要請事項についてでありますが、まず中国電力に対しては、原子力規制委員会の審査の状況及び審査の過程で必要となった変更・追加の対策について、県や関係自治体に対し適切に説明を行うこと。地震及び津波の想定については、常に最新の知見を取り入れ、それに基づく安全対策を適切に実施すること。安全対策については、設備面での対応だけでなく、組織体制、発電所の人員、教育及び訓練といった人的な対応に関しても、不断の充実・強化を図るよう適切な取り組みを行うこと等、計7項目を要請するものであります。

 また、原子力規制委員会に対しては、審査にあたって、現地調査を行うなどにより、島根原子力発電所の特性、立地、周辺状況を的確に把握した上で、住民の安全確保の観点から厳格な審査を行うこと。福島原発事故の原因究明や調査の進捗に応じ、新たに得られた知見については、その都度、規制基準に反映させること。審査の結果については、県及び関係自治体に対して丁寧な説明を行うこと等、計7項目を要請するものであります。

 さらに、周辺自治体と締結した覚書に基づいて、今後周辺自治体から意見が提出された場合には、中国電力に対する県の回答書などに添付し、中国電力及び原子力規制委員会に伝えていくとの説明がありました。

 これらの説明に対し、委員からは、「安対協で周辺自治体から、申請の前に住民説明会を開催してほしいとの意見が出されている」「安対協では、今回の申請と再稼働とは別ものとの説明があったが、市民はそうは思わない」などの意見がありました。

 

 以上の調査結果及び県の考え方を踏まえ、新規制基準への適合性確認申請に関する、本委員会としての判断を協議しましたので、その結果を申し上げます。

 委員からは、「新しい基準に適合させていくために、審査を求めるのは当然のこと。ただし、安全に対する疑問や課題があるので、執行部の整理した事項について、厳重に申し入れてほしい」との意見や「まず、原子力規制委員会の厳しい審査を受けるべき。そして、新規制基準への適合性が確認された段階で、改めて原子力規制委員会と中国電力から審査結果についての説明を受け、その上で事前了解についての最終意見をまとめるべき」との意見がありました。一方で、「福島原発事故の究明がされていない。また、避難計画が未整備の段階で申請すべきではない」「申請には反対しないが、住民への事前説明に時間を取ることは不都合ではないはず」などの意見もありました。

 これらの議論の後に、最終的に挙手による採決を行った結果、賛成多数により、このたび中国電力が原子力規制委員会に対して適合性確認申請をすること、あわせて申請の了解にあたっては、県から中国電力と原子力規制委員会に対して、必要な事項について要請を行うことを、了承することといたしました。

 

 以上、総務委員会における審査の概要及び調査の結果を申し述べ、委員長報告といたします。

 


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