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平成25年9月定例県議会知事提案理由説明要旨(平成25年9月12日)

 

 定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

本題に入ります前に、今週はじめ、日本では56年ぶりとなる東京でのオリンピック開催が決定され、また、隠岐ジオパークが世界認定されましたことに対し、県民の皆様とともに祝意を表したいと思います。

 そして、それぞれ関係された方々のご尽力に対しまして、心から敬意を表する次第であります。

 

(県西部の豪雨災害)

それでは最初に、この7月及び8月に県西部で発生した豪雨災害について申し上げます。

 

 7月28日から、津和野町を中心に、また、8月23日から、江津市、浜田市、邑南町等を中心に、局地的に、かつてないような豪雨が発生しました。

 この豪雨によりまして、道路の寸断、鉄道の運休、土砂崩れ、住宅の損壊、床上・床下浸水、集落の孤立などが発生し、また、観光や農林水産業などに大きな被害が出ております。

 また、邑南町で1名の方がお亡くなりになり、津和野町では1名の方が行方不明になっております。

 お亡くなりになられました方に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被害を受けられた多くの皆様方にお見舞いを申し上げます。

 

 県としましては、それぞれの災害について、応急対策など早急の対応が必要なものにつきましては、本年度の既定予算及び専決処分により対応してきております。

 これらに続き、災害援護資金など被災者の生活支援のための貸付け、道路・河川、農地・林道等の復旧工事、そして県内観光地の誘客対策などの歳出の追加を措置するため、今議会に補正予算案を提出しております。

 

 今後も、地元市町など関係者のご意見などもよくお聞きしながら、早急の復旧・復興に向け、引き続き、全力を挙げて取り組んでまいります。

 また、9月8日には、今回の豪雨災害の経験も踏まえて、隠岐の島町において、風水害や津波を想定した総合防災訓練を県として実施致しました。

 

 引き続き、こうした防災訓練を積み重ね、県民の方々の防災意識の向上を図り、また、道路、河川などの防災・減災対策を進め、地域の防災力の強化に取り組んでまいります。

 

(最近の経済・政治情勢)

 次に、経済動向等について申し上げます。

 

 日本経済は、日銀の金融緩和による円安を背景とした輸出の増加や、個人消費の持ち直しなどを受け、回復に向かう動きが見られます。

 他方、企業の設備投資、雇用や賃金、物価の動きなどを見ますと、地方を含め、日本経済全体が持続的な成長軌道に乗るのか、につきましては、必ずしも明確ではない状況にあります。

 

 県経済につきましても、県全体として景気回復がはっきり実感できる状況にはなく、なお厳しい状況が続いております。

 

 こうした中、政府におかれましては、経済の再生と財政の建直し、社会保障制度改革、TPPの問題など、重要な課題に懸命に取り組んでおられます。

 消費税増税につきましては、政府におかれて、経済の再生と増税をどのように両立させるのか、またそうした政府の対応に市場がどう反応するのかなど、慎重に検討しておられます。

 

 県としましては、政府が、秋の臨時国会、さらに年末の予算編成に向けて、こうした諸課題に最終的にどのように対応されるのか、それにより国民生活や地方財政などにどのような影響が出るのか、よく注視していく必要があります。

 

 このように経済の先行きが見通しにくい状況にありますが、県議会の皆様をはじめ、県内各界のご意見などをよくお聞きしながら、県民生活の安定、県経済の活性化、そして県財政の健全化に向け、適切な経済・財政運営に努めてまいります。

 

(観光の振興)

こうした難しい経済情勢の中で、県内の産業振興は、引き続き、最も重要な政策課題の一つでありますが、このところ、観光の分野ではいろいろな動きがあります。

 

冒頭申し上げましたとおり、9月9日、隠岐ジオパークが、世界ジオパークとして認定されました。

隠岐の自然の素晴らしさと地元の皆様の熱意ある取組みが世界に認められたものであり、たいへん喜ばしいことであります。

これを機に、県内外、そして国外からも隠岐を訪れる方々が増えるよう、隠岐4町村とよく協力・連携して、観光振興をはじめ、隠岐地域の活性化を進めてまいります。

 

また、出雲大社の「平成の大遷宮」を迎えた本年は、様々なメディアで「遷宮」や島根に関連する話題が頻繁に取り上げられ、5月の「本殿遷座祭」以降、多くの方々に島根にお出でいただいております。

 

今年4月から6月までの県内への観光入込客数は、前年よりも3割以上増加し、その後も、その勢いは続いていると伝えられております。

 

こうした中、県では、7月末から「ご縁の国しまね」をテーマにして観光キャンペーンを行っておりますが、近年、特に首都圏などから島根に来られる若い女性の観光客が増えております。

首都圏などでこうした若い女性層に焦点を当てたプロモーション映像を放映したり、東京都内で、「ご縁居酒屋」、「ご縁カフェ」といったいろいろなイベントを行いながら、幅広い層の方々に対しても島根への関心、興味が高まるよう努めてまいります。

 

幅広い層に対するPR活動の一つとしまして、日本の古き歴史・文化に対して国民的な関心を高め、同時に「神々の国」島根にも興味を持っていただくため、古代文化に関連の深い奈良県、三重県、宮崎県と連携して「古代歴史文化賞」を創設しました。

この賞は、最近発行された書籍のうちで、日本の古代世界を学術的基盤に立脚しながら、一般読者にとってわかりやすく書かれたものに授与することとしておりますが、9月9日、選定委員会から受賞作品の発表がなされました。

この後、11月に東京で、授賞式と受賞者による講演やシンポジウムなど記念行事を行うこととしております。

 

今後も、こうした「ご縁」や古き歴史・文化など島根の特色を活かした観光キャンペーンや話題づくりに取り組んでまいります。

 

次に、石見地域の観光振興につきましては、特に石見神楽、柿本人麻呂、温泉、そして海山の豊かな自然と食材など、豊富な石見の地域資源を活かしながら、地元関係者の方々とよく連携を取って進めてまいります。

 

また、今回の豪雨で、観光面で大きな影響を受けた津和野町や有福温泉などに対しましては、地元市町や関係団体とも連携し、風評被害が生じることのないよう全国に向け情報発信に努めております。

今後、更に、県外のメディアに向けたキャラバン隊の派遣によるPRや、旅行商品の造成支援など誘客対策に取り組んでまいります。

 

(島根の物産のPR)

次に、島根の物産のPRにつきましては、10月に、「東京食肉市場まつり」に参加し、しまね和牛のPRを行うこととしております。

 

また、11月には、島根の産品などの首都圏での情報発信拠点である「にほんばし島根館」が、開館10周年を迎えます。

これを記念して、10月から12月までの間、キャンペーンやPRイベントを展開致します。

 

(航空路線の利用促進)

こうした観光面の動きなどを反映し、県内の航空路線の利用者が大幅に増加しております。

 

出雲縁結び空港の東京便につきましては、このところ多くの便で満席に近い状況が見られ、航空会社との協議を経て、(1)中型機の運航につきましては、今月から11月にかけて2往復増えて、4往復となり、(2)1日の便数につきましては、10月下旬から来年3月にかけて1往復増え、1日6往復となります。

 

萩・石見空港につきましては、地元とともに利用促進に取り組み、今年は、東京便及び夏の期間運航の大阪便ともに利用客数は前年をかなり上回っております。

 

隠岐空港につきましては、8月に期間運航された大阪夏季ジェット便の利用率が、約72%となりました。

 

今後も各路線の利用促進に努め、航空会社に対し、運航の継続や路線の再開などを働きかけてまいります。

 

(鉄道の復旧)

次に鉄道につきましては、今般の豪雨により、山口線、山陰本線、三江線が、現在も一部の区間で運休しており、全線復旧には相当の期間を要することが懸念されております。

鉄道は、通学・通勤、そして観光など地域振興のためにはなくてはならない重要な公共交通であります。

県では、地元自治体、さらに山口県、広島県とも連携しながら、国土交通省及びJR西日本に対し、1日も早い復旧を強く要望しているところであります。

 

(ものづくり産業)

次に、ものづくり産業につきましては、県内におきましても生産の増加や設備投資の動きが出てきております。

 

県では、こうした動きを支援するため、企業が生産力や受注力を強化するために行う生産設備導入費の助成枠を拡大することを考えております。

また、最近、3Dプリンターなどの技術革新が急速に進んできており、県内での人材育成など、新技術導入に向けた取組みを支援することを考えております。

 

こうしたものづくり企業への支援強化のための予算措置を今回の補正予算案の中で手当てしております。

 

(企業誘致)

次に、企業誘致につきましては、今年度は4月以降、4件の立地計画を認定し、これにより約60人の雇用が見込まれております。

 

立地セミナーにつきましては、先月末、東京で、約90社、120名の方々をお招きして開催致しました。

来月は、近年、島根県内への新規立地が続く愛知県の企業を対象に名古屋市で開催致します。

 

(社会基盤の整備)

次に、社会インフラ整備について申し上げます。

 

山陰道の未着手区間のうち、「福光・浅利間」につきましては、この7月、国から、大体のルートが示され、新規事業化に向けた環境影響評価や都市計画決定の手続きに着手しました。

また、「益田・萩間」につきましては、国は整備を優先する区間の絞り込み調査をはじめております。

 

次に、斐伊川・神戸川治水事業につきましては、今年6月に中流部の放水路が完成し、今月3日からの大雨の際に、放水路の分流堰が初めて稼働しましたが、斐伊川から神戸川への分流は計画通りに行われました。

大橋川改修につきましては、現在、追子地区、井手・馬潟地区の築堤工事及び天神川水門の工事が進められております。

 

また、県が事業の継続を主張しておりました波積ダム、矢原川ダム事業は、7月末、国から事業継続の方針が示されました。

 

今後も、県民の安全・安心を確保するため、こうした治水事業が着実に進むよう取り組んでまいります。

 

来島ダムの分水問題につきましては、県及び地元市町からなる調整会議の場において、引き続き、関係の方々の意見を丁寧にお聞きして、適切な解決を図っていく考えであります。

 

(社会保障制度改革)

次に、社会保障制度改革について申し上げます。

先月、社会保障制度改革国民会議から、持続可能な社会保障制度の構築に向け、「少子化対策」、「医療」、「介護」、「年金」の社会保障4分野についての改革の道筋が示されました。

この制度改革につきましては、能力に応じた負担の仕組みや、社会保障を必要とする全ての世代に給付することなどを基本としており、今後、各分野の審議会において、具体的な制度設計などの議論が行われることとなっております。

 

県としましては、国におかれて、国民への丁寧な説明を行い、また、国と地方の間で十分な調整を行った上で、真に持続可能で実効性のある社会保障制度を構築されるよう、強く求めてまいります。

 

(原発の安全・防災対策)

次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。

 

原発の新たな規制基準が7月8日に施行されました。

その内容につきましては、明日、原子力規制委員会から、県議会及び県の安全対策協議会に対し、直接、説明していただくこととしております。

 

全国では、既に電力会社4社の12基の原発について、新規制基準への適合性確認申請が、原子力規制委員会に対して行われております。

中国電力につきましては、申請時期は現時点ではまだ明らかにされておりません。

 

次に、国内各地の原発の防災対策につきましては、先般、国の「原子力防災会議」において、国と原発の所在する県や市町村、さらに周辺自治体とが連携して、地域防災計画を充実させるための作業チームをつくり、そこで検討を進めることとなりました。

県としましては、この作業を通じて、要援護者の避難体制の構築など、防災対策の実効性が高まるよう努めてまいります。

 

また、11月に、島根・鳥取両県及び島根原発周辺6市との合同で「原子力防災訓練」を実施し、防災対策の実効性を高めることとしております。

 

(防犯・交通安全対策)

次に、防犯・交通安全対策につきましては、振り込め詐欺、「送りつけ商法」などの被害が深刻な状況であります。

また、交通死亡事故も、5月以降、増加傾向にあります。

 

こうした詐欺や交通事故などの被害者は、依然として高齢者の比率が高く、関係の機関や団体とも連携し、広報啓発活動などの対策に取り組んでまいります。

 

(竹島問題)

次に、竹島の問題について申し上げます。

 

4月に設置された国の有識者懇談会において、竹島を含めた我が国の領土・主権に関し、日本の主張を国内外へ発信するための戦略が検討され、7月初めに、英語による発信の強化や調査研究体制の整備などの必要性を指摘した報告書がとりまとめられました。

この報告を踏まえ、政府において、具体的な施策を検討され、国民世論の啓発や国際社会への働きかけなど、積極的に展開されることを強く期待しております。

 

(補正予算など提出議案)

それでは次に、今回提出致しました一般会計補正予算案などの概要について申し上げます。

 

一般会計の補正予算は2件あります。

1件は、7月末からの大雨の被災者の生活支援のために、災害援護資金の貸付金として8,100万円などを手当てする補正予算第4号であります。

この補正予算第4号につきましては、貸付けが早く実行できるよう、先議をお願い致したいと考えております。

 

これ以外の補正は、補正予算第5号としてまとめて提出しております。

その主な歳出の追加は、次の3つの分野であります。

第1は、今般の災害の復旧・復興を図るための事業及び災害による観光への影響に対するPRや誘客のための事業であります。

第2は、今後の防災・減災対策の強化のための事業であります。

第3は、国の補助金の内示等に伴い補正を要するもの及び産業振興等で早急に対応すべきものであります。

この補正予算第5号の総額は、325億900万円余であります。

 

これらの結果、補正後の一般会計予算の規模は、5,652億4,600万円余となります。

 

これら2件の補正予算案のほか、予算案15件、条例案13件、一般事件案12件の計42件を提出しております。

 

これら議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることと致します。

何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私からの説明を終了いたします。

 


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