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平成24年9月定例県議会 知事提案理由説明要旨(平成24年9月13日)

 

 

 定例議会開会にあたり、提出議案の説明に先立ちまして、県行政の最近の動向についてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(6月議会後の動き)

 6月議会が7月6日に終了し、今日まで2ヶ月余りでありますが、記録的に暑い夏が続く中、内外ともにいろいろなことがありました。

 

 ロンドンオリンピックで日本選手の活躍がありました。

  また最近では、パラリンピック車いすテニスの男子ダブルスで、出雲市出身の三木選手のペアがベスト・エイト入りを果たしました。

 

 「神話博しまね」は7月21日に始まり、連日多くの方々の来場が続いております。

 

 国会では、社会保障と税の一体改革関連法が成立しました。

 国と地方がそれぞれの役割分担の下で、持続可能な社会保障制度を確立していく必要があります。

 また、消費税引き上げに伴う景気への配慮や低所得者対策などが、今後、国会の場でしっかりと検討されることが大事であります。

 

 その後、国会は、衆議院の解散などを巡り、与野党間の対立が続く中、9月8日に閉会となりました。

 今後の政治日程は不透明でありますが、国の予算執行に必要な特例公債法案成立のため、臨時国会開会が必要とされております。

 

 このような中、8月に、韓国大統領の竹島への上陸、尖閣諸島の魚釣島への香港活動家らによる上陸など、憂慮すべき事態が続きました。

 

(竹島問題)

 そこでまず、竹島問題について申し上げますと、7年前に、「竹島の日を定める条例」が制定され、県は、議会とともに竹島領土権確立に向けた活動に取り組んでまいりました。

 今年4月には、活動を全国的なものにするため、初めて東京で集会を開催しました。

 また、これまで国への重点要望におきましては、竹島問題を所管する政府内組織の設置、国際司法裁判所での解決を含めた外交交渉の展開、国境離島への特別な支援などを求めてまいりました。

 

 こうした中で、8月10日、韓国大統領が竹島へ上陸し、これを契機として、政府による国際司法裁判所への共同提訴の提案、総理親書の発出と韓国政府によるその返還、韓国側による共同提訴の拒否など一連の動きが続きました。

 

 こうした動きに対しましては、これまでの県の方針を踏まえ、県選出の国会議員の方々や外務省等政府関係当局などと連絡をとりながら、政府の毅然とした対応を求め、記者会見や記者発表等において県の見解を表明してまいりました。

 

 たとえば、国際司法裁判所への提訴、竹島問題を所管する組織の設置などにつきましては、そうした政府の方針を県として評価する旨の発表を行い、政府の対応を促進するよう努めてまいりました。

 

 また、県ではこれまで、2回にわたり竹島問題研究会を設置し、竹島に関する歴史的事実の調査などにより、日韓両国の主張の整理、検証などに取り組み、大きな成果をあげてきております。

  次期研究会につきましては、来月から活動を開始していただくよう調整中であります。

 

 また県庁前の竹島資料室は、来月から、土曜、日曜、祝日も開館することと致しました。

 

(最近の経済情勢)

 次に、経済動向に目を転じますと、日本経済、県経済ともに総体として厳しい状況にあります。

 また、欧米経済の低調とそれに伴う中国等新興国の減速などで、世界経済全体も要注意の状況にあります。

 

 このため、今後も内外の景気動向等をよく注視し、適切かつ機動的な経済・財政運営に努めていく考えであります。

 

(観光の振興)                            

 次に、「神話博しまね」について申し上げますと、8月29日には、出雲大社横の特設会場への来場者数が20万人を超え、古代出雲歴史博物館の入館者数も例年の4倍くらいに増加しております。

 

 神話映像館や神楽などの郷土芸能を毎日上演するステージは、幅広い年齢層から好評をいただいております。

 

 また県内各地では、たとえば、浜田市での「全国子ども神楽サミット」や出雲市大社町での「高校生の文化発信ステージ」、江津市での「万葉フェスティバル」や隠岐での「ジオパークフェスティバル」などの地域イベントにも多くの方々にお出でいただいております。

 

 「神話博」に来られた観光客が、できるだけ長い時間、県内に滞在され、宿泊されるなど県全体に誘客効果が広がるようさらにPR等に努めてまいります。

 

 京都の国立博物館で開催した「大出雲展」は、約79,000人の入館者を数え、多くの方々に「神々の国しまね」に関心と興味を持っていただけたと思います。

 来月10日からは東京の国立博物館で「出雲:聖地の至宝展」を開催します。

 また、古代出雲歴史博物館では、来年4月の「平成の大遷宮・出雲大社展」まで様々な展示を行ってまいります。

 

 さらに、来月からはJRの「山陰デスティネーション・キャンペーン」がスタートします。

 鳥取県の「国際まんが博」と一緒になってこのPRに努めてまいります。

 

  今後とも県をあげて「神々の国しまね」プロジェクトに取り組んで行き、「島根」と言えば、「神話」や「神々の国」といったイメージが広がり、それが幅広い誘客につながるよう努めてまいります。

 

 また、国際観光につきましても、観光客が少なくなる冬場に向け、近県の空港へ定期便で来られる台湾などからの団体客が、島根県内で宿泊する場合に利用するバスの借上経費を支援するなど、新たな誘客支援策を実施し、外国人観光客の増加に取り組んでまいります。

 

(企業誘致)

 次に、企業誘致につきましては、今年度は4月以降、9件の立地計画を認定し、これにより約160人の雇用が見込まれております。

 

 8月末、大阪で約100社、150名の方々をお招きして立地セミナーを開催致しました。

 10月には東京でも開催します。

 さらに、松江・尾道間の高速道路の全線開通を再来年度に控え、山陽側の福山市で初めて立地セミナーを開催します。

 

(農業の振興)

  次に、農業の振興につきましては、7月に出雲市で開催された「全国農業コンクール」において、浜田市弥栄町の農業者の方が、最優秀賞を獲得されるなどすばらしい成績を収めました。

 この最優秀賞の方は、40年前に尾道市からIターンをされ、ご自分で栽培した大豆を使った味噌の生産が事業拡大の転機となり、今では、従業員30名の農業法人を経営するに至っておられます。

 今後もこうした農業の担い手が育っていくよう各種の支援を行ってまいります。

 

 畜産業につきましては、10月末に長崎で、5年に一度の「全国和牛能力共進会」が開催されます。

 この大会に向け、県としましても生産者や関係団体とともに「しまね和牛」のブランド向上に取り組んできたところであり、島根県代表の上位入賞を期待しております。

 

(エネルギー政策)

  次に、エネルギー政策について申し上げます。

  政府は、将来のエネルギー政策について、原発への依存度を2030年に「0%」、「15%」、「20から25%」とする3つの案による国民的な議論を踏まえながら、検討を進めておられます。

 

 また、3つの案それぞれについて、国民生活や経済全体への影響、代替エネルギー確保の可能性などに関連していろいろな議論も行われております。

 

 県としましては、こうした政府による検討をよく注視し、また、県民の方々や議会そして専門家などの意見をよくお聞きしながら対応を検討してまいります。

 

(再生可能エネルギーの利活用)

 次に、県が行う再生可能エネルギーの利活用促進について申し上げます。

 

 7月から再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始されたことから、県では、小水力発電や小規模地熱発電の導入についての可能性調査や、メガソーラー候補地の公表を行うなど再生可能エネルギーの利活用促進に努めているところであります。

 

 また、国の交付金を活用して、公共施設への太陽光発電等の整備に対して支援を行ってまいります。

 

(原発の安全・防災対策)

 次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。

 

 原発の安全・防災対策を担当する原子力規制委員会は、近々、設置される見込みでありますが、設置後は、この委員会が、福島原発の事故に係る国会事故調、政府事故調などの検証結果などを踏まえて新たな安全基準を示し、それを安全対策に反映していくことが重要であります。

 

 県としても、この委員会の検討をよく注視し、他の立地道県と連携しながら必要な提言等を行っていく考えであります。

 

 次に、島根原発に万が一の事態が生じた場合の対応につきましては、現在、関係4市とともに具体的な避難先などを織り込んだ避難計画が、この秋にも一定の形になるよう作業を進めております。

 こうした作業を進めながら、国の「防災基本計画」などに基づき、来年にかけて「地域防災計画」の改定を進めてまいります。

 

(自然災害対策)

 次に、自然災害対策について申し上げます。

 

 大規模な地震、津波が発生した場合、県内各地にどのような被害が出るのか、被害想定調査を実施しておりましたが、この調査が終了いたしました。

 現在、調査結果を踏まえ、被害軽減に向けた減災計画の策定を行っております。

 

 今後、この計画に基づき、市町村とともに、建物の耐震化の推進や津波避難計画の策定など防災対策の強化を図ってまいります。

(社会基盤の整備)

 次に、社会インフラ整備について申し上げます。

 

 高速道路につきましては、尾道松江線の予定通りの開通と山陰道の整備促進を引き続き、国に強く求めてまいります。

 

 斐伊川・神戸川治水事業につきましては、中流部の斐伊川放水路が今年度中に完成の見込みであります。

 また、大橋川改修は、追子地区の築堤工事に続き、井手・馬潟地区など下流部での堤防工事、天神川上流の水門建設の着手に向けた準備が進められております。

 引き続き、事業が円滑に進められるよう、取り組んでまいります。

 

(航空路線の利用促進) 

 次に、航空路線の利用促進について申し上げます。

 

 出雲縁結び空港の東京便につきましては、「神話博しまね」の開催に合わせ、中型機の運航と便数自体の増加を要望してまいりました。

 この結果、中型機の運航につきましては、今月から11月末まで1往復増え、3往復運航されることになりました。

 増便につきましては来月28日から2月末まで1往復増便され、一日6往復が運航されることになりました。

 

 萩・石見空港につきましては、7月から期間運航された大阪便の利用促進に地元とともに取り組んでまいりましたが、利用者数は、昨年並みの約4,500人となりました。

 

 隠岐空港につきましては、8月に期間運航された大阪夏季ジェット便の利用率が、約77%となりました。

 

 これらの結果を踏まえ、引き続き航空会社に対し、運航の継続や路線の再開などを働きかけてまいります。

 

(離島・中山間地域対策)

 次に、中山間地域対策につきましては、高齢化率や商店の店舗数など、人口や生活に関するデータを公民館単位で収集し、地域ごとに課題や特徴を取りまとめたところであります。

 今後、これらのデータ等を活用し、高齢化と人口減少が著しい地域で住民組織によって行われる各種施策に対し、一定の財政支援を行ってまいります。

 

 離島振興につきましては、6月に改正離島振興法が成立し、ソフト事業も対象とする離島活性化交付金の創設など施策の拡充が図られたところであります。

 この制度が、地域の実情に即したものとなるよう、活用事例を国に提案するなど、制度の充実や必要な財源確保に向けて、引き続き国等に働きかけてまいります。

 

 隠岐ジオパークにつきましては、7月に世界ジオパークネットワークによる現地審査が終了し、来週にはポルトガルで、世界ジオパークとして認定するかしないかの審査が行われる予定であります。

 認定の吉報が届くことを期待しております。

 

(地域医療と福祉の充実)

 次に地域医療について申し上げます。

 医師や看護職員の不足など、地域医療の確保は依然、厳しい状況にあります。

 

 こうした中、県内の医療機関の連携を強化するため、ITを利用して相互に診療情報を共有化する医療情報ネットワークを来年1月から本格的に運用開始することとなりました。

 

 福祉につきましては、来年4月に、障がいのある方々の日常生活や社会生活を総合的に支援するための「障害者総合支援法」が施行されます。

 

 また、子育てにつきましては、幼児期の保育・教育、子育ての支援などを総合的に進めるため、先月、子ども・子育て関連3法が成立し、今後、順次施行されることとなっております。

 

 県としましては、障がい者支援や子育て支援が地域の実情に応じて実施できる制度となるよう、引き続き国に対して働きかけてまいります。

(オスプレイ配備計画)

  次に、オスプレイの配備計画について申し上げます。

 

 この問題は、多くの県に関連することから、7月の全国知事会において知事会共通の考え方を整理し、安全性や事故原因、飛行訓練による周辺住民への影響などについて、政府は関係自治体へよく説明し、関係自治体の意向を十分に尊重して対応するよう申し入れてきております。

 

 県としましては、今後もこの全国知事会の決議や山口県の意向などを踏まえて対応してまいります。

 

(教育・交通安全対策)

  次に教育・交通安全対策などの最近の動きについて申し上げます。

 

  滋賀県大津市で起こった「いじめ」の問題に関連し、県では、子どもの様子を把握するためのアンケートを実施したり、教職員に対し、対応の手引きを作り、研修において指導の徹底を図るなど、「いじめ」の未然の防止や対応の強化を行っているところであります。

 

 また、交通事故につきましては、5月以降、交通死亡事故が急増しており、「死亡事故多発警報」を出すなど事故の抑止に取り組んできております。

  今後も交通死亡事故の抑止に向けた対策を推進してまいります。

 

(若者の活躍)

  さて、今年の夏も、スポーツや文化活動で島根の若者の活躍が見られました。

 

  全国中学生弓道大会男子個人で大田第一中学校の生徒が優勝、全国中学校体育大会では、水泳男子高飛び込みで湖東中学校の生徒が優勝するなど14種目で入賞を果たしました。

 

  平成28年度には、岡山県を中心として中国5県で全国高校総体が開催されることとなり、体操競技など4競技が島根で開催されます。

  これに向け、県内各地で高校生や中学生のスポーツがより一層盛んになるよう準備をしていく考えであります。

 

  また、文化活動でも全国高校総合文化祭において、百人一首・読み手コンクールの部で松江北高校の生徒が最優秀賞に選ばれるなどの活躍が見られました。

 

(補正予算案など提出議案)

 それでは終わりになりますが、今回提出致しました一般会計補正予算案などの概要について申し上げます。

 

 今回の補正予算案では、公共事業について国の補助金の内示等に伴い補正を必要とするもののほか、原子力防災・安全対策の強化、観光客の誘客促進など、早急に対応すべきものについて措置することとし、総額31億5,900万円余を増額しております。

 この結果、補正後の一般会計予算の規模は、5,323億円余となります。

 この補正予算案のほか、予算案13件、条例案9件、一般事件案14件の計37件を提出しております。

 これら議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることと致します。

 何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私からの説明を終了致します。

 

 

 


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