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平成24年6月定例県議会 知事提案理由説明要旨(平成24年6月13日)
定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、県行政の最近の動向についてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。
(経済情勢)
まず、日本経済の動向につきましては、欧州の金融不安、円高・株安、石油価格の上昇などから、依然として厳しい状況にあります。
県経済も同様に厳しい状況にあります。
今後とも内外の経済情勢などをよく注視し、適切な経済・財政運営に努めてまいります。
(観光の振興)
さて、7月21日の「神話博しまね」の開幕まで、1ヶ月余りとなりました。
この準備状況について、まず、ご説明申し上げます。
出雲大社近くの主会場では、まず、「神話映像館」で巨大画面によるダイナミックな映像により、「出雲神話の世界」を見ていただきます。
そして「古代出雲歴史博物館」では、多数の銅剣・銅鐸など、古代からの歴史・文化遺産を見ていただき、豊かな「古代出雲の世界」を実感していただきます。
さらに主会場の「しまね魅力発信ステージ」では、会期中、毎日、神楽など県内各地に古くから伝わる郷土芸能などを、延べ約8,000人の県民の皆さんに公演していただくこととしております。
この他、神話にちなんだ写真展や県内物産市など誰もが楽しめる催しを数多く用意しております。
出雲大社では、来年の大遷宮に向け、大屋根の修復などの工事が順調に進んでおります。
また、出雲大社前の神門通りにつきましては、風格と活気のある通りとなるよう整備を進めております。
そして、地元の皆さんと一体となってにぎわい起こしの準備を進めてまいります。
さらに県内では、「万葉フェスティバル」、「隠岐ジオパークフェスティバル」や各地の神楽公演など、一年を通じ、様々な催しを展開してまいります。
「石見銀山世界遺産登録5周年」を記念した事業も並行して行ってまいります。
また県外の方々に、「古代出雲の世界」を知っていただくため、7月28日から9月9日まで、京都の国立博物館において、荒神谷や加茂岩倉の銅剣や銅鐸、出雲大社の巨大な宇豆柱などを展示する「大出雲展」を開催致します。
東京の国立博物館でも10月10日から11月25日の間、同様の展覧会を開催致します。
県外でのPR活動につきましては、主要都市で旅行会社への説明会や「しまねっこ」による観光キャラバン隊の派遣などを行ってきております。
開幕に向けて、関西や山陽方面を重点とした広報や、鳥取県や広島県と連携したPRに取り組んでまいります。
また、10月から始まるJRの「山陰デスティネーション・キャンペーン」をはじめ、旅行会社や航空会社と連携した誘客を進め、「神話博」を全国にアピールしてまいります。
今月は日本航空が、国内線・国際線において島根の観光地を機内誌に掲載し、一部の路線で、島根の食材を使った機内食を提供するなど、島根のPRを行っていただいております。
また、このたび「古事記編纂1300年」を記念して、古事記の舞台や「神話博」が紹介された貨幣セットや、八重垣神社に伝わる板絵に描かれたスサノオノミコトなどをのせた郵便切手が発行されることとなり、これらにより全国的なPR効果が期待されます。
こうした「神話博」をめぐる活動を通じて、県民の皆さんとともに、おもてなしの心を持って観光客の方々をお迎えし、島根の古き文化・歴史と豊かな自然の魅力を知っていただき、島根に何度もお出でいただけるよう努めてまいります。
(産業の振興)
次に産業の振興に関連した最近の動きについて申し上げます。
ITの分野ではこのたび、島根発のプログラミング言語「Ruby」が国際規格として正式に承認され、言語としての安定性と信頼感が大きく向上しました。
「Ruby」によるシステム開発に実績を有する県内のIT企業にとって、この正式承認が新たな市場開拓につながることが期待されます。
(企業誘致)
次に企業誘致につきましては、昨年度は、21件の立地認定を行い、総投資額は約100億円、新規雇用の創出は約370人となりました。
また、既に島根に進出している県外企業が、県内の工場を国内生産の拠点と位置づけて増設を行う場合の支援を、3つの企業に対し供与しました。
東日本の企業などが電力の供給不安やリスク分散の観点から、中国地方に工場等を建設するケースも見られ始めております。
また、県内の高速道路整備の進行に伴い、利便性が向上する山陽方面の企業が島根へ進出する動きも見られます。
こうした動きを受け、今年度は企業立地セミナーの開催を増やすなど、積極的な誘致活動を行ってまいります。
(農林水産業の振興)
次に農林水産業につきましては、今年度から始まった国の青年就農給付金事業により農業の担い手育成を図るほか、農業と他の職業や技能を組み合わせた県独自の就農モデル、いわゆる「半農半X」や、人材派遣会社を活用した雇用の仕組みづくりなどにより、新規就農を進めてまいります。
林業につきましては、今年度から国の林業再生事業に県単独事業も加えて、原木の伐採や伐採後の再造林を支援するとともに、県内の木材加工業者等と共同で県外における展示会・商談会を開催するなど、県産材の販路拡大を図ってまいります。
水産業につきましては、県内漁業の経営安定化や流通体制の強化を支援するとともに、宍道湖・中海においては漁業者や県内外の大学等と連携し、シジミなど水産資源の維持・回復に向けた取組みを推進してまいります。
(原発の安全・防災対策)
次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。
関西電力大飯原発の再稼働問題につきましては、先週8日に野田総理ご自身が国民に対し説明をされ、一定の決着に向けて動こうとしております。
私どもとしましては、今回の政府の考え方、それに対する福井県の対応、そして周辺自治体の意見などをよく精査し、今後、県としての考えを整理していく際の参考になるようにしたいと考えております。
次に島根原発に万が一の事態が生じた場合の対応につきましては、昨年以降、他の中国各県の協力を得ながら、30キロ圏内の周辺4市の住民の方々の避難体制の枠組み作りを進めてきております。
今年の秋を目途に、関係4市とともに具体的な避難場所などを織り込んだ避難計画が策定されるよう作業を進めてまいります。
こうした作業の際に想定される課題の中には、避難場所の運営の仕方、要援護者の避難体制、避難道路の整備など、県だけでは対応できないことが相当あり、重点要望などを通じて、政府の適切な対応を要請しているところであります。
(節電と再生可能エネルギー)
政府は中国電力に対して、島根原発の再稼働を現時点では求めておりませんが、この夏、全国的な電力需給のひっ迫が見込まれる中、中国電力管内においても節電要請を行っております。
これを受け中国電力は、企業への訪問やホームページなどにより、節電の協力要請を行っております。
県も、中国電力のこうした動きを受け、県民や企業に対して様々な節電の方法のPRや、県内企業における節電の影響について調査を実施するなど、必要な対応を図っているところであります。
県自身は、各庁舎内で、空調や照明などの節電対策を強化してきております。
また、県内での再生可能エネルギーの利活用につきましては、住宅や事業所への導入促進に取り組んでおります。
さらに、地域経済の活性化の観点も含め検討を進めるため、今月はじめ、県と市町村とで協議会を設立し、県内各地で再生可能エネルギーの利活用を進めることとしております。
次に岩手、宮城両県の災害廃棄物の広域処理への協力につきましては、国に対し、安全性についての説明や、財政支援等を要請してきておりますが、今後も県内市町村と連携して対応してまいります。
(自然災害対策)
次に自然災害対策について申し上げます。
現在、大規模な地震、津波が発生した場合、県内各地にどのような影響が出るのか、被害想定調査を実施中であります。
今後、この調査結果に基づき、被害軽減のための具体策などの検討を行い、県、市町村がそれぞれ地域防災計画の見直しを進め、対策の強化を図ってまいります。
また、市町村など関係機関と協力して、防災訓練や防災学習会、避難計画の策定など、ソフト面での避難対策の強化に取り組んでまいります。
(社会基盤の整備)
次に、社会インフラ整備について申し上げます。
山陰道は、「湖陵・多伎間」、「大田・静間間」、「三隅・益田間」の3区間の事業化が決まり、「温泉津・江津間」につきましては、計画の評価をするための調査が着手されることになるなど、事業化に向け一定の前進を見たところであります。
残る「益田・萩間」の事業化を含め、山陰道全体の整備促進を、引き続き国に働きかけてまいります。
また、事業着手が決定された浜田港の臨港道路につきましては、その整備促進を国に働きかけてまいります。
斐伊川・神戸川治水事業につきましては、尾原ダムが3月末に完成し、中流部の斐伊川放水路についても、今年度中に完成の見込みであります。
また、大橋川改修につきましては、順次、事業着手が進んでおります。
こうした県内の社会インフラの整備が円滑に進められるよう、引き続き、国に対して働きかけてまいります。
(航空路線の利用促進)
次に航空路線の利用促進について申し上げます。
出雲縁結び空港につきましては、7月から大阪便の最終便の機材が大型化されることとなりました。
今後も、東京便の中型機の増便に向け、「神々の国しまね」プロジェクトなど観光事業との連携を図りながら利用促進に取り組んでまいります。
萩・石見空港につきましては、昨年は、地元での様々な対策の効果もあり、利用率の上昇が見られましたが、引き続き、東京便の2便化、大阪便の通年運航再開に向け、利用促進に取り組んでまいります。
隠岐空港につきましては、5年ぶりの隠岐古典相撲の開催に合わせ、7月27日から29日までの間の大阪便の臨時増便と、8
月1日から、昨年より座席数の多い機材による夏季ジェット便の運航が決まりました。
引き続き、関西方面からの誘客を中心として利用促進に取り組んでまいります。
(離島・中山間地域対策)
次に、離島・中山間地域対策について申し上げます。
中山間地域対策につきましては、この4月に、部局間の連携強化のため、中山間地域対策プロジェクトチームを設置し、県全体として総合的・一体的な施策の展開が図られるよう取り組んでまいります。
今年度末に期限を迎える離島振興法の拡充・延長につきましては、このほど与野党において離島活性化交付金制度の創設などを含む改正大綱が取りまとめられ、延長法案の今国会での成立が期待されております。
なお、現行過疎法の延長のための法改正につきましては、これまで、全国過疎連盟から与野党に対して要請してきておりましたが、先週8日に衆議院で、5年間延長する改正法案が可決され、近々参議院で可決成立する見通しとなりました。
(医療・福祉・交通安全対策)
次に医療・福祉・交通安全対策などの最近の動きについて申し上げます。
医師確保につきましては、この4月に、島根大学医学部の地域枠推薦による第1期生4名が初めて医師となり、県内の医療機関で2年間の初期臨床研修をはじめました。
こうした若手医師のキャリア形成に対する「しまね地域医療支援センター」の支援により、若手医師が県内に定着していくことを期待しております。
高齢者福祉につきましては、今年3月に策定した「第5期島根県老人福祉計画・介護保険事業支援計画」に基づき、高齢者ができる限り住み慣れた地域で、自立した日常生活を送れるよう取り組んでまいります。
また、交通事故につきましては、年初から件数が増加しておりますので、関係団体と協働して、交通規範意識の向上、高齢者に対する安全対策などを強化し、交通死亡事故の抑止対策に取り組んでまいります。
(竹島問題)
次に竹島の問題について申し上げます。
去る4月11日、東京で初めて、「竹島問題の早期解決を求める集会」が、国会内の超党派による領土議連と島根県民会議の共催により、政府の代表や多くの国会議員、関係団体の方々の参加のもとに盛大に開催されました。
これを契機に、竹島領土権確立に向けた活動が、県内を中心としたものから、国政の場を含め、全国的な活動に展開していくよう、議会とともにさらに努力していく考えであります。
(地方分権改革)
次に地方分権改革について申し上げます。
現在、政府において、国の出先機関の事務・権限を地方に移譲するための特例法案が検討されております。
中国地方知事会では、これまで、移譲を受ける場合の対象出先機関やその受け皿などについて検討を行ってきました。
今月1日、中国5県の知事会議において、特例法が成立することを前提として、当面、経済産業局を対象に、事務・権限の移譲を受けることとして、広域連合の設立に向けた準備を進めることで合意しました。
本件につきましては、議会のご意見などをよくお聞きしながら対応していきたいと考えておりますので、宜しくお願い申し上げます。
(若者の活躍)
さて今年も島根の若者の活躍が随所に見られます。
里見香奈さんが先月、将棋の女流王位を獲得し、史上最年少で女流タイトル四冠となられ、県民に大きな喜びを与えてくれました。
また、3月の全国高校選抜大会において、弓道女子団体で松江北高校が初優勝、卓球男子シングルスで松徳学院高校の生徒が優勝、ラグビー男子で石見智翠館高校が準優勝するなど、島根の高校生たちの活躍が見られました。
夏以降の高校総体や国体などでも、大いなる活躍を期待しております。
また、今朝の新聞には、テニスの錦織圭選手が世界ランキング18位となり、ロンドン・オリンピックのテニス・シングルス出場権を獲得されたという報道がありました。
ご活躍を期待致します。
(補正予算案など提出議案)
それでは次に、今回提出致しました一般会計補正予算案の概要について申し上げます。
今回の補正予算案は、国からの補助金の内示が新たにあった再生可能エネルギー導入事業と、対象事業の取扱いに変更があった雇用創出事業の2つの事業について措置することとし、歳入・歳出ともに11億円を増額しております。
この結果、補正後の一般会計予算の規模は、5,291億4,000万円余となります。
この補正予算案のほか、条例案7件、一般事件案12件を提出しております。
これら議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることと致します。
何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げます。
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