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建設環境委員長報告

 

建設環境委員長報告  平成23年2月定例会(3月4日)

 

 建設環境委員長報告をいたします。

 今定例会で建設環境委員会に付託されました議案の審査結果等について、報告いたします。本委員会に付託されました議案は、予算案17件、条例案4件及び一般事件案6件であります。

 

 これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査をいたしました結果、いずれの議案も全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

 

 付託されました議案の審査過程における執行部からの説明、委員からの質疑、意見、要望事項等のうち主なものについて報告をいたします。

 

  土木部の予算案についてであります。

 執行部から、国の公共事業費削減や、依然続く厳しい景気・雇用情勢を踏まえ、国庫補助金や交付金の積極的な確保に努めるとともに、国庫補助金や交付金事業で対応できないものについては、県単独事業を追加し公共事業費の確保と切れ目のない経済対策を実施する、との説明がありました。

 委員から、土木部公共事業費については、石見・隠岐地域や中山間地域の実態を勘案した予算配分や県内各地域の特性に配慮した執行を求めてきたところであるが、今回の予算配分においては、どのような考え方で箇所づけがされるのか、との質問がありました。

 執行部からは、松江第五大橋道路やダムなどの大規模事業を除いた公共事業費の箇所づけについては、決算特別委員会の指摘を踏まえながら、各圏域の経済動向等をしっかり把握し、緊急性や事業効果が早期に現れる箇所や各圏域への影響等を考慮し行っていきたい、との説明がありました。

 

 また、委員から、除雪費に関連し、これまで災害対応は、ボランティア的なもの、サービス的なものとして建設業者が対応してきていた。しかし、公共事業が減り県内建設業者の経営環境が厳しくなっている中で、災害関係経費の単価については、深夜の作業であることや危険性などを考慮すべきではないか、との意見がありました。

 執行部からは、これまでも除雪機械の固定経費の見直しや、今年度から休日の出動経費の見直しを行ったところであるが、除雪関係経費の単価の見直し等について、今後も検討していきたい、との説明がありました。

 

 次に、本委員会の調査テーマ「地域を守る建設産業のあり方について」に関する調査結果を報告いたします。

 建設産業は、本県の基幹的な産業として地域経済・雇用を支えており、建設産業の経営状況の悪化は、地域経済、雇用及び県民生活に重大な影響を及ぼすとともに、今後、建設業者がいなくなるような地域では、災害時等の応急対応や、冬期の除雪活動に支障が生じることが懸念されます。

 そこで、本委員会では、建設業者が新分野に進出する際の支援のあり方や、冬期における除雪等の道路の維持管理について、産業生産額の中で建設投資額の比重が高く、公共事業費が大きなウエイトを占め、加えて、積雪寒冷地域であります福島県と青森県において調査を行いました。

 まず、地域における建設業者の新分野進出の取り組みへの支援であります。

 調査を行った建設業者は、いずれも中山間地域にあり、公共事業の受注が主の中堅業者であり、公共事業費削減の影響を受けており、雇用の確保のため、建設業の収入減を補うべく農業分野への事業進出を果たしていました。しかしながら、それぞれ事業化の過程では、問題も多く、企業努力で解決できたもの、行政の協力なくしてできなかったもの、また、地域の理解が得られず難航したもの、などいろいろであり、参考にすべき点が多くありました。

 一般的に、建設業者が新分野に進出する場合、第一に経営者の強い意志が決め手であり、その上で収益が短期間で望めるもの、会社の資産や技術、労働力が活かせるものなどが有望とされますが、事業化はそう簡単ではありません。

 中山間地域では、建設業者の比較的取り組みやすい分野として、農業分野が引き合いに出されますが、農業は天候に左右されやすいこと、農作業の労務単価が低いこと、収益性が低いことなど既存農業でも課題は多く、新規参入では苦労話が尽きませんでした。

 調査先の企業においては、できるだけ付加価値の高い農産品や、地域ブランド品目を取り扱うことで、差別化を図り、後発性を補い、特に消費地である都市圏での販売ルートの安定化に努力されていました。事業化の過程では、技術力、市場調査力、販売力などを高め、他産地との競争に勝てるだけのバックグラウンドが必要であり、行政や農商工団体、生産者との連携協力が不可欠であります。

 農業分野で安定した収益を上げるためには相当な努力期間が必要であり、しかも、その間の資金のつなぎが最大の課題であります。いずれの業者においても、建設業本業での収益を活用しながらのチャレンジでありますが、そういう意味では、公共事業への依存が高い地域では、安定した公共事業の受注と収益が必要であり、発注者としては、入札における透明性、公平性、競争性を保ちながらも、地域の建設業者が受注機会を失わないように配慮も必要であると思われました。

 本県も、平成15年から公共事業の縮減、建設市場の後退などの環境の変化もあって、建設産業のソフトランディングに力を入れてきております。県内業者優先、県内資材の使用義務の徹底など行う一方、今後の経営方針を選択しやすいよう、相談窓口業務やアドバイザー派遣事業、また新分野進出にあたっては事業化調査の支援、初期投資の助成など支援施策として展開しており、支援メニューや相談アドバイス支援体制では機能充実を図っております。

 今回の調査を踏まえ、本県が建設産業の新分野進出への支援を進めるにあたっては、次の点を考慮する必要があると考えます。

 まず、新分野進出後の支援をどう高めるかであります。事業着手後の市場調査や経営支援、販売経路の開拓、技術援助などへの要望が多く聞かれました。特に、経験の乏しい建設業者が販売経路を開拓することは非常に難しく、県として、それを支援するための仕組みづくりが必要であると考えます。

 建設産業は地域の企業であります。地域の経済や雇用を支えていることを考えれば、身近な自治体の関わりも重要であり、建設産業のチャレンジを地域全体で支援する機運が必要であります。県としても、市町村が地域課題の一つとして、建設産業の経営革新の取り組みを支援する体制を作れるよう、今まで以上に働きかける必要があると考えます。

 次に冬期における県民生活や社会経済活動のために欠かすことができない、建設業者の除雪等の共同受注に向けた取り組みについてであります。

  本委員会では、福島県会津若松市内にある宮下土木事務所管内において実施されている「中山間地域道路等維持補修業務委託モデル事業」について、調査を行いました。

 この事業は、県が地域の雇用の確保や、迅速な災害対応など、過疎地域の住民の安全安心を守るために、住民生活に身近な土木業務を地元の複数の業者に委託するものであります。今回調査しました宮下地区建設業協同組合では、10社で協同組合を設立し、道路や河川の維持管理、除雪作業を共同で受注をしていました。共同受注は、安定的な受注を確保できるため、年間の雇用、施工の予定が立てやすく、少ない人員や建設機械でも業者間でお互いにやりくりしあうことにより、効率的に業務が実施できるとのことでありました。

 本県においても、昨年度から、大田事業所管内において県と市の相互協力のもと「除雪作業業務の共同受注方式」を試行的に実施されたところです。

  昨年度の試行では、「機械やオペレーターの相互協力が図れた」、「除雪機械を保有していない業者からオペレーターの確保が可能となった」、「県管理道路と市管理道路で、一連の作業が可能となった」など、地元や建設業者から評価する声があったと聞いております。

 この度の豪雪被害などを見ますと、中山間地の多い本県においては、除雪の「共同受注方式」を進める必要があります。

 併せて、本県の地域性、独自性を十分に配慮し、道路・河川の維持管理の共同受注方式も進め、地域住民の安全安心を確保する仕組みを構築する必要があると考えます。

 最後になりましたが、地域社会にあって建設産業の役割はますます大きくなっています。経営基盤の安定した技術力の長けた優秀な建設産業が生き残ることは県民にとっても有益なことであり、一方、建設産業が地域社会の多方面で活躍できることは、地域そのものの活力に結びつくことを強く感じたところであります。

 

 以上、建設環境委員会における審査の概要等を申し述べまして、委員長報告といたします。

 

 

 


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