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地域・産業振興調査特別委員長報告

 
地域・産業振興調査特別委員長をつとめました福田正明でございます。
ただいまから委員長報告を行います。
本特別委員会は、2年前、平成17年5月臨時会で、我が県の議会で初めて設置されたものであります。その背景は、島根県はこれまで中山間地域に対し様々な振興策・対策を講じてまいりました。しかし、現実は中山間地域全体として、人口の減少、高齢化に歯止めがかからず農林業の基盤となる、山林・農地の維持が困難であったり、さらには集落の消滅が危惧される限界集落が増加するなど、非常に厳しい状況に直面しております。
さらに公共事業の大幅な削減により中山間地域の主な産業であった建設業の経営縮小が進み、今後の生活維持、地域の維持が一層困難となる状況が予測されたからであります。
人口の流出、少子化の進行をくい止め、高齢者が生きがいを持って生活するなど地域の活性化を進めるためには、雇用と収入の確保、つまりは産業の振興が最重要かつ緊急の課題であるとの認識を強く持ち、議会として産業振興に視点をおきながら、地域振興と一体的に議論し、その解決の方向を見つけ出そうとするものでありました。
このように本特別委員会は、産業振興と地域振興という二つの内容をどう一体化させ、より効果を上げるような内容とするのか、今までの特別委員会には無かったテーマでありました。
そこで、この提言をまとめるにあたっては、県内外の調査、各界各層の皆様との意見交換を重ねてまいりました。現地での状況、識者の皆様の御指導、御意見をもとに、委員が議論を重ねてまいりました。より的確な現状分析に基づき今後の方向性を見いだすために現場の目線を重視いたしました。御協力をいただいた皆様には感謝申し上げます。
さて、提言の要旨をご報告いたします。1点目は、人も少ない、大きな産業基盤も少ない、立地条件に恵まれていない中で、どの様に産業を活性化するのか、そのためには知恵と力を集め、最も効果的な仕掛けを行うことが重要ではないかとの結論から、今までの行政的な計画ではない「県としての総合的な産業振興基本戦略」を立て、県内の産業の大きな方向がこの戦略に基づき行われる必要性を述べております。
実施にあたっては民間・識者を入れた産業戦略会議の設置、県庁内では柔軟で機動的、更には産業部門に権限を持つ部局横断的な組織の在り方、民間からの人材登用などを提案しております。
2点目は、本県にある地域資源を活用した産業振興の在り方を述べております。
今まで産業化が困難だった中山間地域においても、自然が見直され、安全・安心指向の広まり、ゆったりとした時間・昔からの食文化などに対し、スローライフとか田舎暮らしへのあこがれなどニーズも多様化しており、産直市、田舎ツーリズムなど新たな産業化への動きもはじまっております。「島根の固有な資源の活用」をキーワードに風景、歴史、文化、人情、伝統的な技能、安全で安心な食材などを活かした、産業振興が重要となります。
地域資源の活用を一過性の地域興しの仕掛けにとどまらず、地産地消をあらゆる場面で進めるなど産業化への一歩とすべきではないでしょうか。
更に産業化へのより具体的な例として、地域資源の価値を見つけ出すところから、マーケティングを踏まえた商品化への取組、そして経営が軌道に乗るまでの各発展段階に応じた一連の資金支援の在り方を含めた総合的な支援の必要性を提案しております。
3点目は地域並びに産業を支える人材について述べております。
委員会で県内外の調査活動をする中で、成功事例にはそれぞれに中心となって活躍される人材の存在がありました。この方々の存在なくして東京下町の商店街の活性化や、JA雲南が大阪など圏域外を含め年商6億近く売り上げる産直市形成など、あり得なかったと実感しています。
そこでまず、人材育成のためには当面団塊世代の活用について一層の体制強化、戦略強化を掲げております。
また、県内でも団塊世代の引退による産業界への影響は深刻であり、できるだけ早く現役世代の、卓越した技能、ノウハウを次世代に伝えていくことが重要であり、そのような活動を支援するマイスター制度などを提案しております。
さらに、これからの中核的人材をどう育成するかがポイントであり、少子高齢化の進行、県外への進学・就職による若年者の流出が大きい中、キャリア教育が重要であります。本県で進めるふるさと教育と併せ地域に根ざす企業への産業体験や、企業から学校への講師派遣などを進め、産業高校を中心とした産業人材の育成を企業とともに行うこと、及び県外企業に遅れをとらないような地元企業の求人時期の見直し等を行う必要があります。
そこで、産学官が一体となって魅力ある環境の中で、若手人材を育成する方策を盛り込んだところであります。
以上、産業振興の成否が本県の命運を決定づけるカギを握っているとの私ども議員の思いを受け取って頂き、知事をトップリーダーに職員一丸となって「足腰の強い島根づくり」を目指して頂くことをここに念願する次第です。
今後、われわれは、この提言を出発点として、議員の立場から産業振興と地域振興の課題解決に向け、条例の制定も視野に入れた様々な角度からの取り組みを進めてまいります。
以上、地域・産業振興調査特別委員会における調査並びに提言の概要を申し述べまして委員長報告といたします。

 


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