- トップ
- >
- 島根県議会
- >
- 県議会の動き
- >
- 過去の定例会の概要
- >
- 平成19年2月定例会の概要
- >
- 文教厚生委員長報告
文教厚生委員長報告
平成19年2月定例会
文教厚生委員長報告をいたします。
文教厚生委員会に付託されました議案の審査結果等について、御報告いたします。
議案は、「平成19年度島根県一般会計予算」など予算案6件、「島根県病院局職員定数条例」など条例案18件及び一般事件案2件であります。
これら議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。
議案の審査過程における質疑、委員から出された意見・要望等のうち、特に、19年度当初予算にかかる主なものについて申し上げます。
最初に、キャリア教育のあり方についてであります。
委員から、最近、いわゆる「ワーキングプア」と言われる人々の存在が社会問題化しており、それには教育も深く関わっていると思うが、近年、学校では二宮尊徳の生き方に象徴される「勤労」の精神や職業の意味といったものがきちんと教えられているかとの質問がありました。
これに対し、執行部からは、現代の子どもたちは将来に夢が持ちにくく、親の働く姿を見る機会も少ない。現在、義務教育においては、小学校段階から職業を意識し、授業に職場体験を取り入れたり、ふるさと教育の中でも地域の大人との関わりを持つなど、勉強の動機づけを学力向上と並行して行っている。
高校においては、インターンシップ制度の実施や、キャリアカウンセリング事業をすべての高校で実施するなど、自分の適性に合った職業を見つけさせるような取組を進めていく。
また、子どもたちに社会人として必要な教養、知識を身につけさせるには、乳幼児期から高校に至る1本の太い軸が必要と考えており、健康福祉部との連携の中で取り組んでいきたいとの回答がありました。
次に、医師及び看護師不足とその対策についてであります。
委員から、県内でも医師の偏在が言われているが、実際に、松江・出雲地区には医師の過剰感があるのか、そもそも医師不足の実態は、もっと掘り下げた検証が必要なのではないか。また、今後は開業医の役割の明確化とともに、診療報酬面で開業医より勤務医を優遇するなど、勤務医への志向を高めていくような施策が必要なのではないかといった質問、意見がありました。
これに対し、執行部からは、松江・出雲地区においては、一次医療はある程度充足しているものの、病院を見ると要員が不足する診療科もある。
また、県では、これまで国に対し、医師の地方勤務を義務づける等の施策も求めてきたところだが、医師確保のためには、給与面だけでなく、勤務条件も含めた処遇についても十分な検討が必要である。
医療にかかる制度設計は国の権限であることから、こうした地域の実情を踏まえつつ、引き続き国に対して強く働きかけていきたい、との回答がありました。
また、看護師について、現在、看護師、准看護師ともに不足してきているが、養成不足もその一因ではないかとの質問がありました。
これに対し、執行部からは、近年、高看養成所の定員充足率は80パーセント台の後半で推移しているが、背景には学力低下という問題もある。また、卒業しても国家試験に合格できない学生も出てきている実態がある。准看についても、卒業後、6割が高看に進み、すぐには就職しないという状況がある。
一方、昨年度行った看護師の「第6次需給見通し」策定後、診療報酬の改定や医療制度改革の影響もあり、新たに、今月末を目途に県独自の需給調査を行っているところであり、また、今後は、他県の養成所に行っている者の実態把握も必要と考えている。これらの結果を基に、先般立ち上げた検討委員会で議論していただき、今後の対策を考えていきたいとの回答がありました。
次に、少子化対策についてであります。
委員から、零細企業の中にも、1年間の育児休業を設けるなど、積極的に少子化対策に取り組む事業所が現れてきているが、このような取組は広がりつつあるのかという質問、また、そうした取組を評価し、県内に大いにPRして欲しいとの要望がありました。
これに対し、執行部からは、県内では30名以下の零細な企業に勤めている人が半分を占めている状況であり、企業活動と子育ての両立は困難性が高く、言われるような事例はまだ少ないが、従業員が働きながら子育てできるよう、労働条件や雇用環境の整備を内容とする行動計画を定める企業が、徐々に増加してきている。
また、4月から「こっころカンパニー認証制度」というものを設け、子育てに協力的な企業に対し行政上の優遇措置も考えており、そうした企業を大いに後押ししていきたいとの回答がありました。
さらに、委員から、県内を歩いていると、伴侶さえ見つかれば将来に希望が持て、安心して暮らしていけるとの声が非常に強い。結婚対策は、少子化の歯止め、定住化、担い手確保等につながるもので、その意味において、今度県が取り組もうとしている「はっぴぃこーでぃねーたー事業」は、成功すれば素晴らしい事業になると思う。ぜひ本気で取り組んで欲しいとの強い要望がありました。
次に、請願の審査結果について申し上げます。
新規の請願4件及び継続審査中の請願21件について、慎重に審査いたしました。
新規の請願第85号は、全額国庫負担による最低保障年金制度の創設を求める意見書を国へ提出するよう求めるものであります。
年金のあり方は、雇用施策、税制等を含む総合的観点から、国の社会保障制度全体の中で検討されるべき事柄であり、その動向を見守る必要があることから、「審査未了」との結論になりました。
同じく、新規の請願第86号は、昨年4月の診療報酬改定において、リハビリテーション医療に日数制限が設けられたことに対し、その撤廃を求める意見書を国へ提出するよう求めるものであります。
リハビリテーション医療の日数制限については、医療保険と介護保険の間で、十分な連携が取られていない面があり、現在、国においては、介護保険のリハビリテーションサービスの内容をより充実したものとする方向で検討がなされているようであります。
その状況を見守る必要があるとの判断から、「審査未了」との結論になりました。
同じく、新規の請願第88号は、国の構造改革路線が、格差の拡大と地方切り捨てにつながっているとの理由から、医療・福祉等の公共サービスの充実、社会保障制度の充実等を求める意見書を国へ提出するよう求めるものであります。
医療・福祉等の公共サービスや社会保障制度の充実は、今後も我々が追求していかなければならない課題ではありますが、請願内容はいささか具体性に欠ける面もあり、すぐには結論が出せないことから、「審査未了」との結論になりました。
また、新規の請願第89号は、来年度から計画されている県立高校の授業料値上げについて、子どもたちの家庭の経済事情に配慮し、中止するよう求めるものであります。
県立高校の授業料値上げについては、本定例会において条例提案がなされているところですが、本委員会としては、財政状況が厳しい中、一定の受益者負担を求めることはやむを得ないと判断したところであります。
したがって、本請願は、「不採択」とすべきとの審査結果でありました。
なお、この結論を出すにあたっては、子どもたちの学ぶ権利を保障するための施策である授業料減免制度、奨学金制度などが今後も適切に運用されるよう、あらためて執行部に求めたところであります。
次に、継続審査中の請願について申し上げます。
請願第9号の請願項目の2は、「高額療養費」の対象となっている前期高齢者及び70歳未満の被保険者等への支給を、「高額医療費」の支給と同様の扱いとするよう求めるものであります。
医療制度改革の一環で、国民健康保険法施行令等の一部改正があり、今年4月から70歳未満の被保険者の入院に係る「高額療養費」が、「高額医療費」と同様の取り扱いとされたことから、本項目については、「採択」とすべきとの審査結果でありました。
また、請願第81号は、障害を持ちながら、学校が遠い、通学手段がない等の理由で養護学校にいけない子どもたちのために、養護学校に通学用のスクールバス設置を求めるものであります。
本請願について、執行部では前向きに検討され、今年9月から校外学習用に配備されているスクールバスを登校時の通学用に使う方向で予算案に盛り込まれていることから、「採択」とすべきとの審査結果でありました。
なお、その他の継続審査中の請願については、特に状況に変化がなく、本定例会中に結論を出すことは困難であり、「審査未了」との結論になりました。
次に、報告事項など所管事項調査に関連したものについて申し上げます。
執行部から、この度、高校における「スポーツ推進教員」認定制度を設けたので、今後は、この制度も活用しながら、高校生の競技力の向上等を図っていきたいとの報告がありました。
これに関連して委員からは、県内高校には文化系でも全国レベルの成績を上げている教員がいる。この制度を文化系にも拡大できないかとの質問がありました。
執行部からは、文化系についても、合唱、吹奏楽、演劇など全国レベルで活躍している教員がおり、同様な制度の必要性を認識しているので、今後しっかり検討させていただきたいとの回答がありました。
また、来年度から病院事業に地方公営企業法が全部適用され、新たに病院局が設けられることとなりますが、各病院関係者出席のもと、今委員会において、来年度以降の病院事業中期計画案が示されたところであります。
これに関連して、委員から、県立中央病院は、県民誰もが利用する姿が望ましいが、東に偏っているため、西部地域ではかなりの部分、県外の病院を利用しているのが実態だ。そのことについてどう考えているかとの質問がありました。
執行部からは、医療は生活の一部であり、生活圏の中での完結が望まれる。したがって、現実には近い所にある医療機関の利用を優先し、県内・県外を含めた医療の完結ということを考えていく必要がある。
中央病院では、これまで西部地域に対しては、地域医療支援という形でいろいろ関わってきたが、今後もその役割は変わらないと思うとの回答がありました。
以上、文教厚生委員会における審査等の概要を申し述べ、委員長報告といたします。
お問い合わせ先
島根県議会
住所 〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 TEL 0852-22-5356 FAX 0852-22-5273 メール kengikai@pref.shimane.lg.jp