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総務委員長報告平成18年9月定例会


総務委員長報告をいたします。
総務委員会に付託されました議案の審査結果等について御報告いたします。

今定例会において本委員会に付託されました議案は、「平成18年度島根県一般会計補正予算」など予算案4件、「島根県立短期大学条例及び島根県立大学条例を廃止する条例」など条例案8件、「公立大学法人島根県立大学の定款について」に関する議案など一般事件案3件であります。

これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案も全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

次に、議案の審査過程における執行部からの説明、委員からの質疑、意見、要望事項等のうち主なものについて御報告いたします。

第89号議案「一般会計補正予算」地域振興部関係分のうち、隠岐航路運航維持事業費についてであります。
この事業は、隠岐航路の維持確保のため隠岐汽船に対し、緊急的に5億円の無利子貸付けを行うものであります。

これに関して、委員から財政支援の必要性は認めながらも、経営改革のスピードが遅い。経営陣は経営再建に向け受け身ではなく、積極的な再建意欲を持って臨むべきである。収入見通しが甘いのではないか。貸付金の返済はどのようになされるのか。隠岐汽船でバランスシートなど経営指標を整理した上で定期的に報告することを求めるべきである。また、航路利用客を増やす方策を具体的に考える必要があるなど多くの意見等が出されました。

これに対して執行部からは、今回の貸付けはあくまでも緊急的な措置である。中小企業再生支援協議会において再建計画を策定中であり、貸付金もこの計画の中で処理される。また、経営陣が経費削減など徹底した経営合理化を行うことが重要と考えている。さらに、利用促進については、日帰り旅行等現行の船を使って観光客を増やすことが大切である。そして、何よりも隠岐航路は島民の日常生活を支え観光をはじめ隠岐地域の振興を図る上で必要不可欠であり、県として支援することについて理解いただきたいとの説明・回答がありました。

次に、請願の審査結果について御報告いたします。

このたび新規に提出された請願1件及び継続審査中の請願6件について、慎重に審査いたしました。
その結果を申し上げます。

まず、新規に付託された第82号「ゆきとどいた教育をすすめるための請願」9項目のうち本委員会所管の項目8は、「私立高校に係る教育条件の向上と父母負担の公私間格差是正のための補助の拡充」を求めるものであります。

この請願は、提出者及び趣旨が、継続審査中の3件の請願第24号、第47号及び第66号と同一であります。私学助成に係る支援の具体策については、厳しい財政状況の中にあって今後とも検討する必要があることから、継続審査中の3件とともに、「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。
 
なお、その他の継続審査中の請願についても、結論に至る状況にないことから、引き続き「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

以上が、本委員会が付託を受けた議案等に係る審査の概要であります。

次に、意見書の提出について御報告いたします。

本委員会に回付された、島根県私立中学高等学校連盟他からの陳情書「私学助成に関する意見書の提出について」は、「高等学校等に対する私学助成に係る国庫補助制度の堅持及び一層の充実が図られるよう、国に意見書の提出」を求めるものであります。

この陳情については「趣旨採択」するとともに、本委員会として、私学助成に係る財政措置の一層の充実を図るよう、国に提出する意見書(案)を取りまとめることといたしました。

次に、報告事項に関連したものについて申し上げます。

総務部所管事項についてであります。
このたびの7月豪雨災害に関連して執行部から、被災者生活再建支援制度の概要について特に説明を受けました。この説明の中で、出雲市における住宅の被害認定に当たっては、県と市で連携しながら行われたものであること、また、出雲市においては内閣府からの弾力的運用通知も踏まえ、建築士の資格をもつ職員も加わり被害認定がなされたものであること、以上のことを再度確認した旨の報告がありました。

なお、本委員会としては、この報告内容を了承したところであります。

最後に、本委員会は所管事務の調査として、「地方分権時代にふさわしい特色ある地域の実現」をテーマに設定し、昨年度から鋭意その調査に取り組んでまいりました。その結果について報告をいたします。

本格的な地方分権時代を迎え、地方は自主的・自立的な行政運営の確立を目指して改革を進め、個性豊かな活力ある地域の実現を図っていかなければなりません。そのためには、地域独自の資源や文化をしっかり把握し、拡大させていくことが重要であり、また一方で、規制緩和をはじめ民間の活力も生かせるような環境の整備を行う必要があります。

 

まず、本委員会では、国の特区等を利用し地域の活性化に取り組んでいる先進的な事例を実地に調査いたしました。

県外の事例としては、山形県においては地域振興推進の基本方針を作成するとともに、各分野の横の連携を密にするために総合支庁を設置して取り組まれていました。また、国の特区を活用し、精密加工分野で高い技術レベルを有する企業と山形大学の技術を融合し、「超精密技術」領域における産業の創造と育成が図られていました。
続いて、宮城県では、地域の活性化と地域雇用の創造を実現するため、県の推進会議を設置するとともに、市町村連絡会議を開催し市町村との情報交換や調整を行い、地域活性化の取り組みを積極的に支援されていました。また、ワンストップサービス窓口を設置し、民間事業者等からの質問・意見・相談や情報発信等を一元化し分かりやすい行政を実施されていました。更に地域再生等の推進、普及啓発を目的として、市町村や民間団体等向けのセミナー開催や、希望者にメルマガも発行されていました。
続いて、岩手県遠野市では、国の構造改革特区を活用して、自分たち独自のテーマを見つけ「日本のふるさと再生特区」として、濁酒の製造事業を日本で最初に行いました。それが、テレビ、新聞等で、「どぶろく特区」として大きく取り上げられ、遠野市を訪れる観光客が急増し、宿泊や雇用の増加などの経済的効果とともに地域の活性化に繋がったようであります。

県内の事例としては、浜田市の「ふれあい総合農場しまね」では、農村体験を遊び感覚で楽しめる農業・農村体験実習村を開催し、田舎暮らしの良さの体験を提供されていました。
続いて、江津市では、農業特区を活用した農外参入企業と健康食品関連企業が連携することにより、農業の6次産業化を推進し、健康食品産業の振興が図られていました。また、NPO法人による体験交流や空き家情報の提供等により、定住や地域の活性化への取り組みが行われていました。

次に、本県における特区の認定状況等の現状についてであります。
国の構造改革特区の認定は、これまでに11回行われ、本県は計12件認定になっています。その内訳は三歳未満児の幼稚園入園容認等の幼保連携・一体化推進関連が6件、指定介護事業所等における障害児等のデイサービスの容認等生活福祉関連が2件、IT関連の講座修了者に対する試験の一部免除関係が1件、農家民宿等における濁酒の製造免許の要件緩和が1件、網又はわなを指定しての狩猟免許取得が1件、NPO等によるボランティア輸送における使用車両の拡大が1件であります。
地域再生計画は第1回から第4回までに22件認定になっています。
その支援措置の内訳は、道整備交付金、汚水処理施設整備交付金、港整備交付金、地域提案型雇用創造促進事業、地域通貨モデルシステムの導入、公立学校の廃校校舎等の転用の弾力化、NPO等の活動支援等であります。

また、県版特区の制度を導入している都道府県は、本県を含めて全国で7道県であります。
本県では、現在までに4回募集が行われ、6件申請が出され、そのうち出雲市からの「歩道等を利用したイベントでの占用料・手数料の免除及び手続きの簡素化」と松江市の「天神市出店参加促進」を特区として認定し、旧温泉津町からの「UIターン者の住宅として県有宿舎提供」については平成17年9月から全県的に規制緩和が行われました。

以下、先進的事例の調査や本県の現状把握など、本調査を通じて取りまとめた意見を、申し述べます。

一地域の活性化のために、国の特区、地域再生計画を活用することは最も効果的な方法であります。
これまで県内における特区は12件、地域再生計画は22件認定されています。他県に先駆けて認定を受けることができれば、地域の活性化に与える効果はより大きいことから、県は、国の特区の更なる活用の推進にむけて、独自のセミナーの開催や普及啓発、情報発信、相談助言等積極的に取り組んでいただくよう要望します。
また、県単独での認定は「しまね網・わな猟免許」特区のみであり、県は、島根の特色を生かし、県の活性化につながる特区の活用をより一層検討していただくよう要望します。

一島根版特区は、平成17年3月に実施されたところであり、先進的な取り組みでありますが、現在までのところ6件の申請があり、認定されたのは2件であります。この事業の広報、指導、説明等積極的に行い、地域の活性化につながるよう努めていただきたいと思います。

一市町村への権限移譲については、現在、その計画見直しの検討が行われているところでありますが、地域の活性化や住民サービスの向上につながるものについては、今後、積極的に権限移譲される必要があることから、鋭意検討を進められるよう要望します。

以上が、総務委員会調査テーマに関する本委員会の調査結果であります。
 
以上、総務委員会における審査の概要及び調査の結果を申し述べ、委員長報告といたします。
 


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