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知事提案理由説明
平成18年9月12日知事提出議案提案理由の説明
○知事(澄田信義)第409回島根県議会の開会に当たり、諸議案の説明並びに諸般の事項の報告に先立ちまして謹んで申し上げます。
今月6日、親王殿下が無事御誕生になられたことは、まことに喜ばしい限りであります。天皇皇后両陛下や秋篠宮、同妃両殿下のお喜びも格別のものと拝察し、心からお祝い申し上げます。
秋篠宮、同妃両殿下には、平成6年に石見海浜公園で開催された世界オート・キャンプ大会へ御臨席のため、また平成14年にも水族館技術者研究会への御臨席のため、おそろいで御来県いただいています。いずれも来県時には、県内各地を御視察になり、県民の皆様と親しく接していただいたところであります。ここに県民の皆様とともに、この慶事をお喜び申し上げ、親王殿下のお健やかな御成長と皇室のますますの御繁栄を心からお祈り申し上げます。
次に、諸般の事項について御報告申し上げます。
まず、平成18年7月豪雨災害についててであります。停滞した梅雨前線による集中豪雨は、死者及び行方不明者5名という人的被害のほか、河川や道路を初め農作物や農業施設等の被害額が8月末現在で365億円余に上るなど、県内各地に大きな被害をもたらしました。ここに災害の犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に対し心からお見舞いを申し上げます。また、救助や警戒のため緊急出動いただいた関係機関やボランティアとして救援作業に御尽力いただいた皆様に対し深く敬意を表する次第です。
県においては、災害発生後、住民の安全確保を最優先し、市町村を初め関係機関と連携しながら危険箇所の警戒、住民の救助、施設の応急復旧などの対策を緊急に実施しました。また、被災者に対しては、各種の相談に応じる体制を整備するとともに、中小企業者を対象とする緊急融資制度や、農業者を対象とする施設復旧に係る補助事業の創設など、さまざまな支援策を講じたところです。被災した公共土木施設や農地、農業用施設などの災害復旧事業については、緊急を要する箇所から事業を進めており、早期の復旧に向けて全力で取り組みます。
また、このたびの災害を通じて、総合的な治水対策や山陰道、国道9号などの幹線交通ネットワーク確保の必要性を改めて深く認識したところです。私自身、災害発生後、直ちに国に対し被災箇所の早期復旧とダム・放水路の整備、大橋川改修計画の3点セットで進められている斐伊川・神戸川治水事業の促進及び山陰道の早期整備を要請したところであり、今後とも関係住民等の御理解と御協力を得ながらこれらの事業の促進に努めます。県民の生命と財産を守ることは、私に課せられた使命です。このたびの災害を契機として、防災対策の充実や災害に強い県土づくりにより一層積極的に取り組んでいきます。
次に、全国知事会議についてであります。
骨太の方針2006閣議決定直後の7月12、13の両日、松江市で開催した全国知事会議では、地方分権改革の今後の進め方などについて各都道府県知事と真摯な議論を戦わせることができました。この結果、平成19年度以降の地方分権第2期改革の基本戦略として、地方分権推進・一括法の制定を目指すことで合意が得られました。
これまでの三位一体の改革をめぐる議論を振り返ってみると、国と地方の間における税財源配分の問題が中心で、国と地方のあるべき役割分担について十分な議論が行われていませんでした。今後は、地方分権推進の基本理念と、それに基づく国と地方の役割分担を整理・明確化した法律の制定に向け地方六団体が連携を図りながら具体的な提言を取りまとめていく必要があります。
これから年末にかけて、地方財政計画の策定作業も本格化します。骨太の方針では、地方交付税の現行法定率の堅持などにより安定的な財政運営に必要となる地方税、地方交付税などの一般財源の総額を確保するとされてはいますが、本県のように税財政基盤の脆弱な団体にとって命綱である地方交付税の総額確保については、依然として予断を許しません。引き続き国における議論の動向などを踏まえながら、地方交付税の総額確保と財源保障機能・財源調整機能の堅持を国に対し強く訴えていきます。
また、今回の知事会議においては、竹島問題に係る本県の立場や考え方を私から各都道府県知事に直接説明する機会をいただきました。私の提案に対して、各都道府県知事の理解と共感が得られ、全国知事会として竹島問題に関する緊急声明が採択されたことを非常にうれしく思っています。
あわせて全国知事会による平成19年度国の施策並びに予算に関する提案・要望の中にも、国際司法裁判所における解決を含めた外交交渉の展開、国における所管組織の設置と啓発活動の推進という従来よりも積極的な取り組みを国に求める内容が盛り込まれたところです。今後、去る6月に採択された国会請願などに対する国の動きを注視していくともに、県としても、引き続き重点要望活動等あらゆる機会を通じて竹島の領土権の確立を国に対し働きかけていきます。
次に、医療制度改革についてであります。
高齢化が急速に進む中で、国民皆保険による医療制度を将来にわたり持続可能なものにしていくため、本年6月、医療費適正化の総合的な推進、新たな高齢者医療制度の創設などを主な内容とする医療制度改革関連法が公布・施行されました。
医療費の適正化に向けた数値目標の設定、療養病床の再編成と地域ケア体制の整備、生活習慣病対策など、この改革において県として取り組むべき課題は多岐にわたります。中でも高齢者医療費の負担の明確化を図るため、新たに創設される後期高齢者医療制度については、その運営主体となる県内全市町村加入の広域連合を今年度中に設立することとされています。広域連合の設立に当たっては、県が人的支援を含め主導的役割を果たしながら、市町村と一体となって準備作業を進めることとしており、去る8月24日には、全市町村長を委員とする設立準備委員会が設置されたところです。今後ともこの広域連合設立を初め、医療制度改革に係る諸施策の円滑な実施に向け積極的に取り組んでいきます。
次に、障害者福祉についてであります。
本年10月から障害者自立支援法が本格実施となります。この法律では、身体・知的・精神の3障害に係る各種の福祉サービスを一元化するとともに、自立訓練や就労移行支援など、新たなサービス体系への再編を行い、障害者の自立を積極的に促進することとしています。この4月から既に一部のサービスが実施されていることから、県ではサービスの利用動向など現状把握に努めているところです。引き続き障害者の方々はもとより事業主体である市町村やサービス提供事業者に対し適切な情報提供を行うほか、制度の効果的な運用などについて検討を行い、なお解決が必要な課題については、他県等とも連携し、その対応を国に対し強く求めていきます。
さらに、本県独自に取り組みを進めている障害者の自立に向けた特別支援事業により、住まいの場や働く場など障害者の自立に不可欠なサービス基盤の整備にも全力で取り組みます。
次に、産業の振興についてであります。
新産業創出プロジェクトとして取り組んでいるプラズマ利用技術開発の成果をもとに、これの事業化を目指す合同会社が日本パーカライジング株式会社ほか3社の出資により松江市に設立されました。今後この合同会社において、さまざまな実証研究が重ねられ、早期に県内における事業化が図られることを期待しています。
企業立地については、本年7月以降、双方向告知通信システムの開発を行う株式会社メディアトークのソフトビジネスパーク島根での事業拡大、精密金型の設計・開発、製造を行うアケボノ株式会社の益田市内での増設など5件について立地計画を認定しました。これらにより新たに約70名の雇用が生まれる予定です。
県産品の輸出拡大等については、8月17日から20日にかけて台湾を訪問し関係者へのセールスを行いました。日本との交流窓口である亜東関係協会や台北市、台湾貿易センターなどを訪問し、これまでの本県企業などに対する協力にお礼を申し上げ、引き続き御支援いただくようお願いしたところです。
また、輸入食品等を取り扱う百貨店やスーパーに出向き県産品を売り込むとともに、航空会社や旅行会社の方々にも面会し本県観光地のPRを行いました。台湾では、日本の農産品に対する高い関心を目の当たりにしました。今後、県としても県産品の輸出拡大などに一層力を入れて取り組んでいきます。
次に、新隠岐空港のジェット便の運航等についてであります。
7月6日から8月31日までの約2カ月間、隠岐空港と伊丹空港間にジェット機が就航しました。地元を中心としたさまざまな取り組みにより、関西地区を初め大都市圏から多くの方々に御利用いただき、期間中の利用者数は延べ1万5,880人で利用率は87.8%となっています。来年以降もジェット便の運航を継続し、さらに2009年の羽田空港拡張後の羽田便運航につなげていくには、大阪便のさらなる利用促進が必要となります。このため、今後とも隠岐の魅力を大都市圏などに向け積極的に発信していきます。
また、来年3月には古代出雲歴史博物館が開館し、7月には石見銀山遺跡の世界遺産への登録が期待されていることから、こうした新しい観光拠点を含む本県の多様な魅力を大都市圏に広く宣伝し、新たな観光商品開発や誘客につなげるため、来月には私自身が旅行会社等に出かけセールス活動を行います。
次に、全国高等学校総合文化祭島根大会などについてであります。
来年7月29日から8月2日までの5日間、悠久の地より吹く新しい風ー島根2007をテーマに第31回全国高等学校総合文化祭が開催されます。大会には、県内外から約2万人の高校生が集い、県内8市町において総合開会式、パレードのほか演劇、弁論、吹奏楽、合唱など23の部門別大会が開催される予定です。
本年11月にはプレ総合開会式を開催し、総合開会式で発表する創作劇を上演するなど、大会開催に向けた準備を着実に進める一方で、高校生で組織する生徒実行委員会が県内各地に出かけて県民の方々へのPR活動を行うなど地元での機運醸成にも努めます。
また、8月に開催された全国高等学校総合体育大会では、ホッケー競技において横田高校男子が15年ぶりに優勝し、陸上競技の2種目と重量挙げの1種目で準優勝するなど、昨年度を上回る入賞者数となり、県民の期待にこたえる結果となりました。選手諸君の活躍をたたえ、今後も選手を初め関係者の方々がさらなる競技力向上やスポーツ振興に取り組まれることを期待しています。
それでは今回提案した一般会計補正予算案について説明いたします。
今回の補正予算案は、島民生活を支える隠岐航路を維持するための支援など緊急に対応することが必要なものについて措置するほか、満期一括償還方式の県債の元金償還金の積み立て、国の補助金や事業費の確定などに伴う所要の補正を行い、総額18億6,200万円余を増額しようとするものです。この結果、一般会計補正後の予算規模は5,386億5,200万円余となっています。
以上、平成18年度一般会計補正予算案の大要について申し上げましたが、このほか予算案14件、条例案14件、一般事件案12件を提案しています。なお諸議案の詳細については後ほど総務部長に説明させることにいたします。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○総務部長(加松正利)提案いたしました諸議案について御説明申し上げます。
まず、第89号議案は、平成18年度一般会計補正予算案であり、第90号議案から第99号議案までの各議案は、公債管理特別会計ほか9件の特別会計補正予算案、第100号議案から第103号議案までの各議案は、病院事業会計ほか3件の企業会計補正予算案であります。
以下、一般会計補正予算案の主な内容について御説明申し上げます。
まず歳出については、隠岐航路運航維持事業5億円、犯罪のない安全で安心なまちづくり推進事業500万円、集落営農組織等の育成ための担い手総合支援事業1億6,000万円、民間施設アスベスト除去支援事業500万円、松江清心養護学校の食べる機能に障害のある児童のための段階食提供事業300万円余、満期一括償還方式の県債の元金償還金の積み立て23億4,500万余円などを計上いたしております。また年間所要額の精査により人件費の8億8,300万余円などを減額いたしております。
歳入については、県税3億4,200万余円、地方交付税1億7,500万円余、繰越金7億400万円余などを増額する一方、県債2億2,000万円などを減額いたしております。
次に、第104号議案から第117号議案までの各議案は条例案であります。第104号議案から第106号議案までは、公立大学法人島根県立大学を設立することに伴い、関係する条例を廃止及び一部改正するもの、法人評価委員会を設置するもの並びに島根県立大学短期大学部の入学検定料及び入学料を徴収するためのものであります。第107号議案は、島根県特別職報酬等審議会の担任事務について所要の改正を行うもの、第108号議案は、満期一括償還方式の県債の財源に充てる資金の経理のために所要の補正をするものであります。
第109号議案は、中心市街地活性化法の改正に伴い所要の改正を行うもの、第110号議案は、県民税の法人税割の超過課税について適用期限を延長するもの、第111号議案は、半導体集積回路を組み込んだ運転免許証を導入することに伴い免許証交付手数料等を改正するものであります。
第112号議案は、国民健康保険法の改正による保険給付の見直しに伴い所要の改正を行うもの、第113号議案は、就学前の子供に関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の施行に伴い認定こども園の認定の基準を定める条例を制定するもの、第114号議案は、栄養教諭を小学校、中学校及び特殊教育諸学校に配置するために関係する条例の改正をするものであります。
第115号議案は、島根県立青少年の家に、第116号議案は、島根県立古墳の丘古曽志公園にそれぞれ指定管理者制度を導入するための所要の改正を行うもの、第117号議案は、会社法の施行に伴い所要の改正を行うものであります。
次に、一般事件案についてであります。
第118号議案は、公立大学法人島根県立大学の定款について、第119号議案は、同法人に承継させる権利について、第120号議案は、県の行う建設事業に対する市町村の負担ついて、第121議案は、財産の取得について、第122号議案及び第123号議案は、契約の締結についてそれぞれ議決を得ようとするものであります。
承認第7号議案は、平成18年7月豪雨災害による補正予算の専決処分について承認を得ようとするものであります。
認定第1号議案から認定第5号議案までの各議案は、病院事業会計ほか4件の企業会計の平成17年度決算についてそれぞれ認定を得ようとするものであります。
以上、提案いたしました予算案及び諸議案につきまして御説明申し上げました。何とぞよろしくお願い申し上げます。
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