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知事提案理由説明

 

平成18年6月16知事提出議案提案理由の説明

 

○知事(澄田信義第408回島根県議会の開会に当たり、諸議案の説明に先立ちまして諸般の事項について申し述べます。

 初めに、県政を取り巻く諸情勢についてであります。

 今年度の当初予算においては、目標としていた100億円程度の収支改善をおおむね達成し、中期財政改革基本方針に掲げた300億円程度の収支不足圧縮に見通しがつきました。しかしながら、骨太の方針2006に向けてさまざまな議論が行われる中で、本県のように税財政基盤の脆弱な地方団体にとって決して看過することのできない極めて憂慮すべき主張がなされています。

 とりわけ経済財政諮問会議では、地方交付税総額の削減が既定路線であるかのような議論がなされていますが、これは行政が果たすべき役割や国と地方の役割分担のあり方などについて、十分な検討もなしに地方に対して一方的に歳出削減を求める極めて不合理な議論であると言わざるを得ません。また、竹中総務大臣の私的懇談会である地方分権21世紀ビジョン懇談会からは、人口と面積を基本として算定する新型交付税の導入が提言されています。制度設計の詳細は不明ですが、仮にこのような制度が極端な形で導入された場合、地方交付税は都市部に手厚く配分されるため、財政力の豊かな団体とそうでない団体との格差が一段と拡大することになります。これら地方交付税に係る議論の動向次第では、本県のような財政力の弱い地方団体の存立基盤そのものが揺らぎかねません。

 間もなく骨太の方針が決定されますが、それ以後、年末にかけて極めて重大な局面が続くことになります。このため今後地方六団体、県内六団体が一致団結し国などへの働きかけを一段と強化していく必要があります。

 私も先月31日、地方六団体の総決起大会やそれに併せて実施した県内六団体による要望活動、今月7日と8日の2日間、県議会とともに行った本県重点要望活動、さらに今月10日の県内六団体の総決起大会において、国や地元選出国会議員に対し、地方交付税の充実確保や新型交付税に対する懸念を強く訴えたところです。引き続き来月12、13の両日、本県で開催される全国知事会議を初め、あらゆる機会をとらえ、国と地方、都市と地方の連携・共生の必要性と、それを財源面から支える地方交付税の意義、重要性をより一層強力に主張していきます。

 次に、医師確保対策についてであります。

 隠岐病院の産婦人科医師については、4月から予定していた医師が直前になって着任できなくなったため、緊急避難的に本土出産という苦渋の選択をせざるを得ませんでした。しかしその後、関係機関の一体となった取り組みによって常勤医師の確保にめどが立ち、11月には複数の医師を派遣できる見込みとなりました。

 今回の例に象徴されるように、本県では離島や中山間地域における医師不足や、小児科や産婦人科など特定診療科における医師不足が深刻な状況となっており、県内の地域医療を取り巻く環境は一段と厳しさを増しています。県としては、まず即戦力となる医師の確保に全力を尽くすとともに、あわせて国に対し抜本的な医師確保対策の早期制度化を強力に働きかけていきます。また、島根大学医学部との連携を強化し、医師の養成や派遣が安定的になされる仕組みづくりに取り組んでいきます。

 次に、少子化対策についてであります。

 先般発表された平成17年の人口動態統計によると、本県の合計特殊出生率は1.40、また年間に生まれた子供の数も5,697人となり、いずれも過去最低の結果となりました。地域の存立をも脅かす少子化の一層の進行に改めて強い危機感を持つとともに、産業振興や定住対策の推進、子育て環境の整備、仕事と家庭の両立支援など少子化対策の充実強化の必要性を強く感じたところです。

 こうした取り組みの一環として、次代を担う子供たちが健やかに生まれ育つ環境を社会全体でつくり上げていくため、民間企業や団体の主体的な参画を得て、しまね子育て応援パスポート、愛称「こっころ」事業を7月からスタートさせます。この事業は、民間企業や団体から商品や料金の割引を初め、親子の触れ合いの場や子供の夢をはぐくむ体験の場の提供など、創意工夫を凝らしたさまざまな応援サービスを提供いただくものです。5月末までの第1次募集を終えた時点で、協賛企業の数は566、サービス店舗等の数は1,064となっています。今後、このパスポートを子育て家庭、企業、行政をつなぐかけ橋としながら、安心して子育てできる環境づくりに向けた機運を醸成していきます。

 次に、犯罪のない安全で安心なまちづくりについてであります。

 昨年12月に設置した犯罪のない安全で安心なまちづくり懇話会から、ことし3月、犯罪のない地域づくり等についての基本的な考え方、取り組みの基本的方向、広域的で継続的な取り組みとするための条例制定の必要性などについて提言をいただきました。この提言を踏まえ、このたび県民等による自主的な活動の推進などを定めた島根県犯罪のない安全で安心なまちづくり条例を提案しました。今後、この条例に基づき、県、市町村、県民等からなる全県的な推進組織の設置や関連施策の総合的な推進に取り組んでいきます。

 次に、交通安全対策についてであります。

 県内の交通事故による死者は、県民総参加のきめ細かな交通安全運動などにより、昨年同時期と比べ大幅に減少しています。しかし、依然として交通事故死者に占める高齢者の割合が高いことから、高齢者交通安全個別訪問事業など高齢者の交通安全対策をさらに強化していきます。

 次に、県産品の輸出拡大等についてであります。

 本県産品の輸出実績については、関係機関の一体となった取り組み等により、ヘルシー元氣米、石州瓦、牡丹など着実に増加しています。こうした状況の中、今月21日から台湾で開催されるフード台北2006に県内から八つの企業・団体の参加を得て、本県として初めて出展し、県産品の一層の販路拡大を図ることとしました。

 一方で、本県を訪れる台湾からの観光客も増加しており、とりわけ温泉地が好評を得ていると聞いています。今後は、本県の豊かな自然や来年夏の世界遺産登録を目指す石見銀山遺跡など魅力あふれる観光資源を一体的に売り込み、さらなる誘客を図っていく必要があります。私も来月22日から25日にかけて台湾を訪問し、関係者へのトップセールスを行うことを通して、県産品の輸出拡大や観光客の誘致をより一層促進したいと考えています。

次に、企業誘致等についてであります。

企業誘致については、昨年度過去最高となる24件の立地計画認定を行い、今後665人の新規雇用が見込めることとなりました。本年4月以降も機械部品の鋳物製造などを行う株式会社ニノミヤメタルの江津市内での工場増設や、高性能断熱塗装材を使用した製品の開発を行う株式会社日進産業の雲南市内での工場新設など5件の立地計画の認定を行いました。企業誘致は、県内の雇用拡大と産業振興のために重要な役割を果たすことから、今後も私自身が率先して積極的な誘致活動を展開します。

また、県内の中小企業では、金型やITなど専門分野の技術者を初め、優秀な人材の確保が難しく大きな課題となっています。そこで、企業の要望と求職者の希望にきめ細かく対応し、人材の確保を図るため、4月から県による無料職業紹介を始めました。これにより、早速誘致企業からの求人に対応することができ、順調な滑り出しとなりました。加えて今月からは、大手の民間人材確保事業者を介した職業紹介にも着手しました。こうした取り組みにより、求人企業と求職者を確実に結び、県内の産業振興に不可欠な人材の確保に努めていきます。

次に、高速道路網の整備についてであります。

山陰道の出雲以西における未着手区間のうち、県としてかねてから強く要望してきた一般国道9号多伎朝山道路が今年度新規事業着手となりました。また、仁摩温泉津道路、浜田三隅道路及び中国横断自動車道尾道松江線の三刀屋木次インターチェンジから県境間については、先般それぞれ起工式が挙行され工事着手されたところです。今後、国土交通省を初め、沿線市など関係機関と一体となって、これらの区間について早期に供用が図られるよう努めます。さらに出雲以西の未着手区間についても、早期事業化に向け全力を挙げ取り組んでいきます。

次に、新隠岐空港の開港についてであります。

隠岐島の振興と航空機運航の安全性、就航率の向上のため整備を進めてきた新隠岐空港について、来る7月6日に開港することが決定しました。また、ジェット機の運航についても7月6日から8月31日まで、伊丹空港発着便の運航が決定しました。開港に当たっては、新隠岐空港の整備とジェット機の就航を祝って記念式典を挙行することとしており、これにあわせ地元では慶事の際に隠岐島を挙げて行われる古典相撲を初め、さまざまなイベントが計画されています。新隠岐空港が都市圏からの観光客の増加、交流人口の拡大をもたらし、隠岐地域の活性化に大いに寄与することを期待しています。

次に、教育の振興についてであります。

平成19年4月、川本高校と邑智高校との統合により開校する新設高校の校名については、島根中央高等学校と決定しました。この校名は、県内初の普通科コース制・総合選択制高校としてスタートする統合新設校が本県の中央に位置していることに加え、本県を代表する高校の一つとなるよう思いを込めたものです。今後、この新設校において生徒一人一人が幅広い興味・関心を持ち、進路希望に応じた知識・技能を深めることができるよう教育環境の整備に努めていきます。

また、先月9日、10日、小学校3年生から中学校3年生までの児童生徒を対象とした学力調査を県下一斉に実施しました。現在、その内容を分析中です。この調査では、学力と学習や生活の意識・実態との関連等も分析することとしています。これらの調査結果をもとに、今後子供たちの家庭での学習習慣や生活習慣の改善も含めた学力向上対策に積極的に取り組んでいきます。

次に、国際交流の推進についてであります。

本年は、ブラジル島根県人会の創立50周年に当たります。これを記念してサンパウロの島根県人会館で式典が開催されることから、来る10月5日から14日にかけてブラジルを訪問する予定にしています。今回の訪問は、平成10年の島根県人会館竣工記念の際に訪問して以来となりますが、移住された皆様の筆舌に尽くしがたい御労苦と御努力に対して、改めて敬意を表するとともに旧交を温め、県人会と島根県とのきずなを一層強固なものにしたいと考えています。

また本年は、島根県とロシア連邦の沿海地方政府が友好交流に関する覚書を締結して15周年に当たります。この記念事業として、ウラジオストック・沿海地方写真展ほか幾つかの事業を予定しています。8月下旬には、ウラジオストック市において15周年記念式典を開催することから、松尾副知事を派遣することとしました。日本海を挟んだ位置にある沿海地方と島根県との友好関係を一層強くしたいと考えています。

最後に、島根原子力発電所2号機におけるプルトニウム混合燃料の使用計画についてであります。

昨年9月12日に中国電力から島根原子力発電所2号機のプルトニウム混合燃料の使用計画について、「島根原子力発電所周辺地域住民の安全確保等に関する協定」に基づき事前了解願いが提出されました。この事前了解願いの判断に当たって、広く県民の意見を伺うため、昨年11月、県民各層の有識者などで構成するプルトニウム混合燃料に関する懇談会を設置し検討をいただきました。5月8日には、懇談会から「事前了解については可とすべき」との報告書が提出されたところです。県としては、この懇談会の報告に加え、島根県原子力発電所周辺環境安全対策協議会顧問の方々の専門的意見などを踏まえ、今回の計画の安全性、必要性について、さまざまな角度から慎重に検討してきました。

その結果、安全性については国による厳格な安全審査と中国電力における適正な運転を前提に、従来の原子力発電と同等の安全性が確保されること、また必要性については長期的エネルギーの安定供給の確保などの点において合理性があり、理解できることから、中国電力からの事前了解願いについては基本的に了解するとの判断に至りました。今後、県議会の意見をいただき、地元松江市の意向も伺った上で、中国電力に回答したいと考えています。なお、事前了解願いに対する最終的な判断は、国の安全審査が終了するまで留保し、その結果を確認した上で行いたいと考えています。

今回提案しました案件は、条例案11件、一般事件案9件の計20件であります。詳細については後ほど総務部長に説明させることにいたします。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 

○総務部長(加松正利提案いたしました諸議案について御説明申し上げます。

今回提案いたしました案件は、条例案11件、一般事件案9件の計20件であります。

まず、第73号議案から第83号議案までの各議案は、条例案であります。

第73号議案は、地方公務員災害補償法の改正に伴い、議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償範囲等を改正するものであります。

第74号議案は、工業再配置促進法の廃止に伴い、第75号議案は、三位一体改革に伴う税源移譲等を内容とする地方税法の改正等に伴い、それぞれ関係条例について所要の改正を行うものであります。

第76号議案は、漁協再編により島根県漁業協同組合連合会が漁業協同組合JFしまねに包括承継されたことに伴い、第77号議案は、電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律の改正に伴い、第78号議案は、児童福祉法の改正に伴い、第79号議案は、漁協再編等に伴い、それぞれ関係条例について所要の改正及び規定の整理を行うものであります。

第80号議案は、島根県立農業大学校において受益者負担の適正化を図るため入学検定料及び入学料を新設するもの、第81号議案は、花ふれあい公園における住民サービスの向上等を図るため利用料金制を導入し、開園時間及び休園日を変更するための改正を行うもの、第82号議案は、島根県立高等技術校の入校検定料を新設するものであります。

第83号議案は、犯罪のない安全で安心なまちづくりに関する施策を総合的に推進するため、当該施策の基本となる事項を定める条例を制定するものであります。

次に、一般事件案についてであります。

第84号議案は、県道の路線認定について、第85号議案は、一級河川の指定についての知事意見について、第86号議案は、契約の締結について、それぞれ議決を得ようとするものであります。

承認第1号議案は、県債、地方交付税等の額の確定に伴い平成17年度一般会計予算を補正したもの、承認第2号議案及び承認第3号議案は、一般会計予算の補正に伴い平成17年度公債管理特別会計予算及び平成17年度証紙特別会計予算を補正したもの、承認第4号議案及び承認第5号議案は、県債等の額の確定に伴い平成17年度流域下水道特別会計予算及び県営住宅特別会計予算を補正したものであります。承認第6号議案は、地方税法の改正に伴い島根県県税条例の所要の改正をしたものであります。いずれもその性質上急を要したため、地方自治法第179条の規定に基づき専決処分をいたしましたので、これを報告し承認を得ようとするものであります。

以上、提案いたしました諸議案につきまして御説明申し上げました。何とぞよろしくお願い申し上げます。


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