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総務委員長報告(12月16日)


総務委員長報平成17年11月定例会(12月16日)


今定例会12月7日の本会議で総務委員会に付託されました議案7件及び請願1件の審査結果並びに経過について、委員長報告をいたします。

まず、知事提出の議案7件について、審査結果を申し上げます。
それぞれの議案について執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案についても全会一致をもって、「原案のとおり可決」すべきものと決定いたしました。
これら議案の審査過程における執行部からの説明、委員からの質疑・意見・要望事項などのうち、主なもの2点について申し上げます。
1点目は、第196号議案「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」についてであります。この議案は、人事委員会勧告に基づき、平成18年4月以降の職員給料月額を平均4.8%引き下げることや勤務成績に基づく昇給制度を導入することなどを内容とするものであります。
議案質疑の答弁では、4.8%引き下げ後の給与水準は県内民間給与水準並みとなり、さらに給与カットも合わせればそれを下回るものとなること。一方で、現給保障の措置を採ることから、財政運営上の効果は徐々に現れてくること。また、人事評価制度の給与への反映に関しては、人事評価が職員個々の絶対評価であることに対し、給与へ反映する上では相対評価への置き換えという課題を抱えていることなどの説明がありました。
また、委員から、中高年層の職員の中には、現給保障のまま退職を迎える者もあることから、人事評価を通じた意欲低下の軽減への配慮が必要との意見や、一方では「評価のない世界はない」との前提で、自信を持って人事評価制度を進めて欲しいとの要望もあったところです。
もう1点は、第201号議案「島根県行政機関等設置条例の一部を改正する条例」のうち当委員会関係分、「総務事務所の廃止と県民センターの設置」についてであります。この議案は、現行の総務事務所を東西2箇所の県民センターに再編することについて、機関の名称、位置及び所管区域を定めるものですが、再編の目的は市町村合併に伴い、地方行政機関としての機能を見直し、簡素で効率的な執行体制を確立することにあります。議案自体は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしましたが、委員からは、県税、旅券、選挙事務など個々の所掌業務について、県民生活に支障が及ばないよう最終決定して欲しいとの要望がありました。また、地方機関の見直し全般について、ポストや人的配置においても実質的なスリム化につなげていく必要があるとの意見もあったところです。
続きまして、請願の審査結果について申し上げます。
まず、新規に付託された第68号「子どもの権利条約の趣旨に沿い、私学助成制度の堅持と私学助成費の増額などを求める請願」についてでありますが、5つの請願項目のうち、「私学助成の国庫補助制度を守る決議と政府への要請」を求めた項目1につきましては、三位一体の改革を推進するため、国庫補助制度の維持を求めることは適当でないこと、また、「授業料一律助成の新設」を求めた項目3につきましては、授業料の減免は経済的困窮者に対して行われており、一律助成にはなじまないことから、「不採択」との結果に至りました。
その他の項目及び継続審査中であった5件の請願につきましては、「継続して審査」を行うことといたしました。
以上が、当委員会が付託を受けた議案と請願に係る審査の結果と概要であります。
 
続きまして、執行部からの報告事項のうち、主なもの5項目について申し上げます。
まず、政策企画局報告事項の「中海に関する協議会第8回会議の状況」についてであります。
この会議において、中国四国農政局から、懸案の堤防開削問題については島根・鳥取両県の合意を尊重し、森山堤の60m開削と橋梁設置を国営事業として事業完了の平成20年度までに完成させたいとの方針が表明されたこと。また、今後の手続きとして、本庄排水機場、大海崎堤及び大海崎堤橋梁、馬渡堤等の譲与に係る文書確認の調整が残されていることなどの説明がありました。
政策企画局からもう1点、国勢調査結果の速報について報告がありました。
前回に比べこの度の調査では、世帯数で3,200余、率にして1.3%増加したものの、人口は1万9千人余、率にして2.5%減少し、戦後最少の74万2千人余の結果であります。
委員から、これだけの人口減をどう評価しているか、県都松江市が減少した原因をどう分析しているのかなどの質問があり、執行部から、1万9千人余の人口減が予測の範囲を越えるものであったことから、これまでの定住施策の効果が人口の流出防止や自然増には直接的には表れていないこと、また、松江市の減少の原因は周辺地域への流出も一因と思うが、今後の分析を踏まえ市と一緒になって対応策を考えたいとの答弁がありました。
また、関連して別の委員から、県民の可処分所得や圏域別の地域経済構造分析も精力的に進めて欲しいとの要望もあったところです。
次に、総務部報告事項の一つ、「島根県国民保護計画(案)」についてであります。
本県の国民保護計画(案)は、国が示したモデル計画を基本としつつも、隠岐諸島住民の避難・救援、あるいは島根原発の立地に伴う国民保護措置など本県固有の事項に配慮したとの説明でありましたが、委員から、特に原発に係る措置に関し、行政区域に視点をおいた対応にとどまらず、島根原発からの実半径距離による防災対策区域の設定を求めるとの要望が出されました。
次に地域振興部報告事項の一つ、「地上デジタル放送中継局の整備計画」についてであります。
総務省の本年12月1日の公表によれば、本県での中継局の整備は平成19年から平成22年にかけて行われるとのことですが、委員の懸念は、デジタルへの完全移行後の視聴エリアの問題であります。この点について、デジタル化後においても現行アナログ放送での視聴可能エリアは確保される見通しとのことですが、共聴施設の改修により対応せざるを得ない地域にあっては、改修経費の負担のあり方が今後の課題であり、住民に過大な負担がかからないようにするための方策を検討するよう、県として国等へ要望しているとのことでありました。
執行部報告事項の最後に、警察本部からの「青色回転灯を装備した車両による防犯パトロール」について申し上げます。
広島や栃木での児童殺人事件など痛ましい事件が続発し、地域住民による自主防犯活動の必要性が高まっております。こうした中、本県での青色回転灯を装備した車両による防犯パトロールが運用開始から1年を経過し、これまでの状況について説明を受けました。
このパトロールは、自主防犯ボランティア等が組織する実施団体が、子どもの見守りや通学路の安全点検活動などを通じ、安全で安心なまちづくりに寄与するものであります。本年11月末現在、県東部を中心に14の団体が90台の車両によりパトロール活動を行っており、運用開始当初から活動している地域においては、県全体平均を上回る刑法犯認知件数の減少であるとか、警察に寄せられる苦情件数やローリング族の減少など、その効果が認められるとのことであります。
警察本部では、パトロールに必要な用品貸与等の各種支援を行いながら、この活動が全県的に広がるよう、促進と定着化に努めていくとのことであり、さらなる成果と効果に期待するものであります。
 

委員長報告の終わりに、当委員会が行った、いわゆるプルサーマル実施計画に関する調査について触れさせていただきたいと思います。
今定例会の委員会では、執行部から、「プルトニウム混合物燃料に関する懇談会」を設置し、事前了解願いについての検討を進めること。また、「島根原子力発電所周辺地域住民の安全確保等に関する協定」を県、松江市、中国電力の三者間協定に一本化し、一層の安全確保を中国電力に求めることを改定にあたっての基本的考え方とすることなど、本県での原子力発電に関連する報告も受けましたが、当委員会としましてもプルサーマル実施計画に係る主体的調査の一環として、12月12日の委員会に中国電力株式会社副社長ほか5名を地方自治法第109条第5項に規定する参考人として招致し、島根原子力発電所におけるウラン・プルトニウム混合酸化物燃料、ー以下、「MOX燃料」と略しますがーその使用計画の内容等について説明を受け、質疑を行いました。
参考人から、原発の運転により発生したプルトニウムをMOX燃料としてリサイクルすることは、将来に渡るエネルギーの安定供給に資すること。再処理により回収されたプルトニウムを発電用エネルギーとして安全かつ確実に消費することで国際的な信頼確保につながることなど、ウラン資源の有効利用並びにプルトニウムの平和利用の観点からの計画である旨の説明を受けたところです。

説明の後、委員から多くの質問がありましたが、そのいくつかを申し上げますと、
1.MOX燃料の使用実績や燃料集合体の構造変更に関する質問に対しては、海外における約5000体のMOX燃料使用実績は、主に加圧水型原子炉によるものであり、島根原発が採用している沸騰水型で考えれば、1万体以上の実績に相当すること。また、国内における6体の試験においても良好な成績が確認できていること。燃料集合体の構造上の変更は、発生するガスの溜め容量を増加させることだけだが、その安全性は確保できるものであること。
2.プルサーマル実施により使用済みとなるMOX燃料の再処理に係る質問については、2010年度頃から始まる第二再処理工場の検討において使用済みMOX燃料も扱われ、それまでは発電所プールで保管されること。
3.事前了解のタイムリミットについて、中国電力としてどう考えるかとの質問には、国の安全審査や燃料製造・輸送・検査等了解後の諸手続が必要であり、2010年度の使用開始目処からすれば、できるだけ早く了解を得たいと考えていること。
4.直接処分の方が低コストとの議論もある中で、国のプルサーマル政策の確実性は担保されるのかとの質問に対しては、エネルギー資源の自給率が4%程度である我が国において、中国電力としては、国のプルサーマル政策が変更されることはないと受けとめていること。
 なお、コスト面で再処理方式より優位性があるとされた全量直接処分方式は、政策変更に伴う費用を勘案すれば、その優位性が失われる可能性が少なからずあるとの結論が「原子力長期計画策定会議」で導き出されていること。
などであります。
当委員会としましては、今後、国の原子力政策について説明を受ける機会を設けることや原子力発電所の現地視察などを通じ、適切な意見の取りまとめができるよう、引き続き必要な調査を重ねていくことといたしております。
以上、総務委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告といたします。

 

 


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