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決算特別委員長報告
決算特別委員長報告をいたします。
一方、国・地方の財政の状況は、公債残高が巨額に達するなど非常に厳しい状況にあります。このため国においては、持続可能な財政を構築することを重要な課題として、2010年代初頭に基礎的財政収支の均衡体質を目指し、歳出・歳入両面からバランスのとれた財政構造への改革が進められています。
こうした中で、国と地方はいわゆる「三位一体の改革」に取り組み、地方の権限と責任を拡大し、必要な行政サービスを地方自らの責任で選択できる幅を拡大するとともに、国・地方を通じた行政のスリム化を図ることが重要とされています。
三位一体改革については、去る11月30日、政府・与党合意がなされ、3兆円の税源移譲を達成できたことは今後の地方分権を進めるうえにおいて大きな前進でありましたが、地方が主張してきた真の地方分権改革の理念に沿わない内容や課題が含まれておりました。
平成19年度以降の第2期改革にあたっては真の地方分権実現のため地方6団体が一致結束し取り組みを進めることが重要であります。
また、本県の財政運営の生命線ともいえる地方交付税については、地方団体の安定的財政運営に必要な地方交付税総額の確保が図られるよう強く求めるものであります。
平成16年度、本県においては、35年ぶりとなる市町村合併が行われ新市町が誕生し、本年10月には従来のほぼ3分の1の21市町村となり県内市町村のありようは大きく変わりました。
また、「竹島の日を定める条例」の制定や「中海の諸課題解決に向けて島根・鳥取両県大筋合意」など歴史的な出来事がありました。
また「君が輝く一瞬が今伝説となる」のスローガンのもと、全国高等学校総合体育大会「中国04総体」が本県を主会場として開催されました。
さらには、「中期財政改革基本方針の策定」、「島根県総合計画策定」など財政改革、県政運営の転換を目指す施策への取り組みが積極的に推進されたところであります。
こうした中で、本県の財政状況は、県税収入の伸び悩みや地方交付税の大幅減による歳入の減少と1千億円を上回る公債費の歳出とが財政運営を圧迫しており、県財政は一段と硬直化し依然として極めて厳しい状態が続いております。
一般会計は、歳入総額5,928億円余、歳出総額5,865億円余。翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支は20億円余の黒字でありました。また、11の特別会計を合算した歳入総額291億円余、歳出総額237億円余。実質収支は53億円余の黒字を計上しております。
今後、歳入では、県税収入が大きな増加が期待できないこと、地方交付税の見通しが予断を許さない状況にあり、財政状況は引き続き大変厳しい状況であることから、引き続き財源確保に最大限の努力を傾注するとともに、県債の管理に十分配慮することを要望いたします。
歳出では、財政の健全化を図りつつ、自立的に発展できる快適で活力ある島根づくりを進めなければならないことから施策評価を的確に実施するなど、事務事業の必要性や緊急性、効率性などを十分に精査するとともに、組織・業務の効率化などの行政改革を積極的に推進し、総合的かつ効率的な行財政運営の確立に努めることを要望いたします。
中央病院については、純損失を15億円余計上し、累積欠損金は110億円余となっております。
湖陵病院については、純損失が8千万円余となり、累積欠損金は16億円余となっております。
病院事業については国の総医療費抑制策が続くなど病院経営を取り巻く環境は依然厳しい状況にあり、引き続き経営の健全化に努めることを要望いたします。
なお、審査の過程において、両病院ともに経営健全化計画に基づき経営健全化に努力されていることがうかがえるが、中央病院については、基幹的公立病院としての役割と採算性という問題が改めて議論になったところであり、不採算部門への公費負担について今後も一定の配慮が必要であること、病院建設費にかかる償還が大きな負担となっている現実も踏まえた対応が必要であること、湖陵病院については、新病院開設を契機に県内における精神医療体制が大きく前進することが期待されており、そのための体制整備に向けて一層の努力を求めること、などの要望がありました。
次に、電気事業会計、工業用水道事業会計、水道事業会計、宅地造成事業会計の決算についてであります。
各事業会計の営業実績は、電気事業は純利益2億円余、工業用水道事業は純損失5千万円余、水道事業は純利益4億円余、宅地造成事業は純利益4百万余を計上しております。一方で、企業債及び一般会計借入金の未償還残高は、工業用水道事業は約54億円、水道事業は約142億円、宅地造成事業約51億円となっております。
地方公営企業を取り巻く環境は大きく変化している中で、一層の経営努力を強く要望するものであります。
なお、審査の過程において、現在、企業局においては事業体質改善に向け、今後の経営計画について検討されているところでありますが、大胆な経営革新に向けた取り組みが急務であり、事業規模の縮小や不採算事業の切り離しはもとより、企業局の在り方自体の抜本的な見直しを含め、県として大胆な発想のもと改革に取り組む必要があるとの要望がありました。
本委員会におきましては、4つの分科会を設置し、平成16年度に係る予算執行が議会の議決の趣旨及び関係法令等の規定に従い、適正かつ効率的に行われたか、施策の効果が十分上がったか、また、今後改善を要する点は何か、などの諸点に視点を置いて、出納長及び関係各部局長から各種の資料の提出を求め、詳細な説明を聴取し、また、監査委員からは、決算審査の意見について説明を聴取したところであります。
その結果、平成16年度決算については、いずれも賛成多数により認定すべきものと決定いたしました。
なお、今後改善すべきものとして指摘した事項は、お手元に配布しております「平成16年度決算における指摘事項」のとおりであります。これらの事項を速やかに改善されるとともに、本委員会の設置の趣旨を踏まえ、審査の結果等を平成18年度の予算に反映されるよう要請し、決算特別委員長報告といたします。
(別紙)
平成16年度決算における指摘事項
(一般会計及び特別会計決算)
1中小企業近代化資金貸付金にかかる収入未済額の縮減について
中小企業近代化資金貸付金の収入未済額については、平成14度決算からその縮減を図るよう指摘しているが、平成16年度においては、新たな延滞は1件160万円に留まり、収入未済額は平成15年度に比べ1,428万円余り減少している。
これは、平成15年度に債権管理マニュアルを策定し、債権管理の状況に応じた判断基準を定めるなど、収入未済額縮減対策について体制強化が図られた効果によるものであり、評価できる。
しかし、依然として、5億3,226万円の収入未済額となっており、厳しい財政状況の中、収入の確保はより重要であることから、今後とも未収実態に応じたきめ細かな対策や徴収体制の強化等を図るとともに、関係機関との連携をより緊密にし、収入未済額の縮減に一層努められたい。
また、今後の新たな貸付けにあたっても、十分な事前審査と貸付後の事後指導等を徹底し、延滞の未然防止にも努められたい。
2県営工業団地の分譲促進について
県では、地域産業の振興と雇用の場の拡大による定住促進を図るため、企業誘致を県政の重要な柱と位置づけ、平成15年度から企業振興課企業立地推進室を企業立地課に昇格させ、意志決定の迅速化を図るととともに、フォローアップ専門員配置による誘致企業の状況把握と企業の要望把握、企業立地促進助成金の対象業種拡大などによる幅広い業種の誘致等に努められており、企業誘致数は増加傾向にある。また、旭拠点工業団地は矯正施設の設置が決定した。
しかし、平成17年8月末の県営工業団地の分譲率は、37.0パーセント、リースを含めても40.9パーセントにとどまっている状況である。今後とも、経済環境が変化するなか企業ニーズの的確な把握に努めるとともに、団地周辺の環境整備等も積極的に進め、各工業団地の特色、魅力を高め、総合的、戦略的かつ効果的な企業誘致を行い、県営工業団地分譲促進に一層努められたい。
3本県固有の観光資源の活用による観光客の誘客について
本県の観光振興事業は、関係団体等との協力のもとに、全国的な知名度と競争力を有する観光地を創出し、多くの観光客を誘致することを目的に、観光トップブランド創出事業等の事業や、外国人観光客誘致対策事業に取り組んでいるが、昨年は、台風などの影響もあり、県全体で前年比0.08パーセント、重点化地域でも1.75パーセントの微増と伸び悩んでいる。
本県は、全国唯一、「神在月」というブランドを有する地域であり、この時期の各地の神社の祭礼や、神楽などのイベントをまとめてPRするなど、本県固有の観光資源をより積極的に活用し、効率的な観光客の誘客活動に努められたい。
また、今後、石見銀山は世界遺産登録の実現により、更なる、知名度の向上が期待できることから、世界に通用する観光地としての態勢等の整備調整を促進し、効率的な観光客の誘客に努められたい。
(公営企業会計決算)
1宅地造成事業会計について
宅地造成事業は3事業が実施されているが、このうち旭拠点工業団地については、総合的観点から矯正施設誘致へと当初の目的が変更され今年3月に誘致が実現し、現在国との手続きが進められている。
江島工業団地及び江津地域拠点工業団地を加えた3事業の分譲率は、48.1パーセントで極めて厳しい状況である。また、円滑な分譲に向け割賦分譲制度、リース制度、工業用水道料金の補助制度、土地取得代金の補助制度、等々の条件整備はみられるものの分譲実績には結びついていない。
長引く景気の低迷で工業団地分譲は困難な状況にあるが、地元の経済的効果を誘発し、地域の定住促進を図るためにも分譲促進は重要であり、分譲促進の環境整備を図るとともに、知事部局や地元自治体と連携をより強化して、今後とも積極的な企業誘致活動に努められたい。
なお、旭拠点工業団地の用途変更の例もあり、「独立採算性の原則」の再確認と、「勇気をもって失敗から学ぶ姿勢」で問題をとらえ直し、今後の宅地造成事業展開の教訓とされたい。
お問い合わせ先
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