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決算特別委員長報告
決算特別委員長報告平成16年12月定例会
決算特別委員長報告をいたします。
本年9月定例会で付託された企業会計並びに今定例会で付託された一般会計及び特別会計に係る平成15年度の決算の認定議案6件につきましては、本年9月、決算特別委員会を設置して以来、決算審査の結果を平成17年度の予算に反映させるべく精力的に審査等を行ってきたところでありますが、以下その経過及び結果について申し上げます。
平成15年度は、激動するイラク情勢に揺れた年でありました。イラクへの自衛隊派遣や、イラクで日本人外交官2人が殺害された悲劇は、戦後復興に日本がどうかかわるのかという問いをあらためて突きつけられました。
また、初のマニフェスト選挙となった衆議院選挙では、本格的な二大政党時代の幕開けを告げました。
その一方では、長崎の男児殺害事件に代表される凶悪犯罪の低年齢化や、外国人犯罪の多発は、安全神話崩壊をさらに進めました。
また、我が国の経済は、全体として景気回復基調にありますが、中小企業や地場産業への広がりに欠け、まだら模様の回復にとどまっており、また、完全失業率は依然高い水準で推移しているなど厳しい経済、雇用情勢が続いております。
こうした中で、地方を取り巻く状況は、三位一体の改革や全国的な市町村合併の動きなどが急速なスピードで進展しており、厳しく難しい局面を迎えております。
三位一体改革については、去る11月26日、政府・与党合意による「三位一体の改革について」が決定されました。
よりよい三位一体の改革案づくりのため、国と地方が対等の立場で真剣に協議を重ねられたことは、地方分権の実現、地方自治の確立の観点から画期的なことでありますが、その内容は、多くの課題が先送りされるとともに、地方の改革案の趣旨からして不十分な点が多いものでありました。
これらの課題については、地方の改革案に沿った解決が図られとともに、これから、年末の予算編成に入りますが、何よりも、平成17年度の地方交付税の総額確保が図られるよう強く期待するものであります。
さて、平成15年度、本県においては、「第23回全国豊かな海づくり大会」が、天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ開催されました。また、「尾道松江線三刀屋木次ー宍道間及び江津道路の開通」「にほんばし島根館のオープン」「市町村合併に向けた取り組みの進展」「新産業創出に向けた取り組みの展開」「小学1年生を対象とした30人学級編成のスタート」「しまね少子化対策ステップアップの策定」など、各種施策への取り組みが積極的に推進されたところであります。
しかしながら、本県の財政状況は、県税・地方交付税の減少に加え、社会資本の整備や戦略的なプロジェクト事業実施に伴う公債費の増加等により、極めて厳しい状況にあります。
平成15年度の歳入歳出決算においては、NTT債を除いた地方債残高は、1兆189億円余となり、ついに1兆円を超えて歳出決算額の1.7倍の大きな額となりました。県民1人あたりでは、133万円余の負担となり、全国で最も高い状況が続いております。起債制限比率も、16.6パーセントと、警戒ラインの15パーセントを超えて上昇しているところであります。
こうした中で、平成14年12月に策定された「財政健全化指針」に基づき、歳出削減などの努力を重ねられてきたところ、昨年末に本県が大きく依存する地方交付税の大幅な削減、いわゆる「地財ショック」の影響をまともに受け、その結果、今後の構造的な収支不足はさらに拡大し450億円程度と見込まれ、このまま推移すれば、平成18年には財政再建団体への転落が避けられない状況にあるとの危機的な見通しが明らかにされました。
このため、本年10月には「中期財政改革基本方針」を策定され、本県が直面している深刻な財政危機を回避するため、概ね10年後における収支均衡体質への転換を目指し、構造的な収支不足450億円のうち、300億円程度を平成18年度までに圧縮することとされたところであります。
国、地方を通じたかってない厳しい財政状況の中で、県民の理解を得ながら、これまでの発想を超えた歳入歳出全般にわたる大胆な改革を図り、財政の健全化を推進されるよう強く要望するものであります。
本委員会におきましては、4つの分科会を設置し、平成15年度に係る予算執行が議会の議決の趣旨及び関係法令等の規定に従い、適正かつ効率的に行われたか、施策の効果が十分上がったか、また、今後改善を要する点は何か、などの諸点に視点を置いて、出納長及び関係各部局長から各種の資料の提出を求め、詳細な説明を聴取し、また、監査委員からは、決算審査の意見について説明を聴取したところであります。
その結果、平成15年度決算については、いずれも賛成多数により認定すべきものと決定いたしました。
なお、今後改善すべきものとして指摘した事項は、お手元に配布しております「平成15年度決算における指摘事項」のとおりであります。これらの事項を速やかに改善されるとともに、本委員会の設置の趣旨を踏まえ、審査の結果等を平成17年度の予算に反映されるよう要請し、決算特別委員長報告といたします。
(別紙)
平成15年度決算における指摘事項
(公営企業会計決算)
1宅地造成事業会計について
宅地造成事業は、江島工業団地、江津地域拠点工業団地、旭拠点工業団地の3事業を実施しているが、それぞれの団地の造成済用地に対する分譲率は、江島工業団地では、当年度、一件譲渡契約があり、88.8パーセント、江津地域拠点工業団地においても、一件既存の企業に分譲があり、63.4パーセント、旭拠点工業団地に至っては、昨年度初めての分譲があったものの、2.2パーセントであり、全体では、48.0パーセントと極めて厳しい状況である。
平成14年度から、江津地域拠点工業団地については、工業用水道料金に対する助成措置が、旭拠点工業団地については、分譲単価を一平方メートルあたり14,980円から9,100円へ大幅に引き下げを行っている。
景気の低迷が続く中、これらの施策の取り組みや、知事部局、地元自治体との連携により、初めて旭拠点工業団地の分譲が行われるなど、分譲促進活動の成果も見られる。
今後とも、地域の定住促進を図るため、分譲促進は重要であり、また、企業債の償還についても厳しい状況にあることから、知事部局及び地元自治体との連携をより一層密接にし、積極的な企業誘致活動を行い、分譲促進に努められたい。
(一般会計及び特別会計決算)
1県税収入未済額の縮減について
県税の収入未済額の縮減については、昨年度も指摘したところであるが、平成15年度末の県税及び県税付帯金(加算金)の収入未済額は、12億8,614万円余となっており、前年度に比べ約2億円減少はしているものの依然として多額の収入未済金がある。
収入未済額の内、個人県民税が、5億4,252万円余と4割強を占めているほか、法人事業税と自動車税を合わせた収入未済額は4億8,518万円余で、前年度に比べ16.7パーセント増加している。
県では、昨年の指摘を踏まえ、「滞納処分の徹底」、「個人県民税の徴収対策の推進」、「納期内納付の促進」の3目標を掲げ各種取り組みを行っているが、税目によっては目に見えた効果となって現れていない状況にある。
ついては、税負担の公平性確保や本県財政状況の点から、徴収部門に専門職員の配置や人員の増強をするなど、徴収体制の強化を図り、収入未済額の縮減を一層進めること。
2未利用財産の処分促進について
県内には、数多くの未利用の県有財産があり、土地について見ると合計で10.6ヘクタールを超える多くの利用されていないものがあり、その大部分は、今後も利用の計画はないものである。
危機的な財政事情のもとに、これらの未利用財産を保有する必要性はなく、早急に処分すべきものと考える。
ついては、地元市町村などと連携し、それぞれの未利用財産の特性に合わせた処分の促進を図ること。
3「新農業・農村活性化プラン」の目標達成に向けた効率的な予算の執行について
近年の農業を取り巻く社会・経済環境は、農産物消費の減少、消費者の嗜好の多様化、直接流通の進展、農産物価格の低下、国際化の圧力、食の安全・安心に対するニーズの高まり、農業従事者の急激な減少、新たな米政策の実施などめまぐるしく変化してきている。
県では、農業生産の拡大と農業・農村の活性化をめざす十年間の計画として、平成12年3月に「新農業・農村活性化プラン」が策定され、同プランに基づく農業施策が推進されているが、策定から4年間を経過し、担い手育成等の面で一定の成果が現れつつあるものの、10年後に一千億円達成を掲げた農業産出額は逆に減少を続け、平成14年実績では645億円にとどまるなど、今後の目標達成が危ぶまれる状況にある。
現在、平成16年度中の同プラン見直しに向けて作業が進められているところであるが、昨今の厳しい財政状況下において、今後、同プランを推進するにあたっては、今まで以上に消費者の視点を重視し、産業として自立できる農業の確立をめざし、施策の選択と集中により、効率的かつ効果的な予算執行に努めるとともに、関係機関との役割分担と連携強化を図る必要がある。
また、これまで実施されてきた各種基盤整備事業やソフト事業が、真に効果を上げてきたか等についても厳しく点検し、一つ一つの事業が明確な目標を持ち、具体的な成果を上げるよう事業の進行管理を徹底され、「新農業・農村活性化プラン」に掲げた目標の達成に向けて一層努力されたい。
4公共工事における落札率等について
農林水産部所管の公共工事契約における落札率等については、平成14年度決算において指摘したところであるが、平成15年度決算においても工事落札率は前年度とほぼ変わらず、90パーセント代後半で推移している。
公共工事の落札率は、県が定めた設計単価に基づき積算した工事予定価格に対して、受注者が積算し、必要な利潤を見込んで応札した結果であり、落札率が高いということをもって不適切な入札であるとは一概には言えないが、特に本県は公共工事への依存度が高いにも関わらず、厳しい財政状況下で事業費削減を求められる昨今の状況にあっては、より低廉な価格で良質な社会資本を調達、提供することが求められているところであり、落札率の推移などを常に注視していく姿勢が必要である。
また、公共工事に係る入札制度については、公共工事削減見直し方針のもと、より一層、透明性、公平性、公正性、競争性を高めるとともに、企業の経営努力や創意工夫が的確に反映されるよう、関係部局が連携して公共工事の執行に努められたい。
5公共事業費における繰越額の縮減について
農林水産部所管の公共事業における平成十五年度から平成16年度への繰越件数は市町村営事業を含めて129件、繰越額は59億6,700万円余りで、全事業費の約12パーセントを占めている。
繰越の原因は、工事条件の変更、工法・設計の変更、用地買収・用地補償に起因するものなどであるが、昨今の緊縮財政により公共工事予算が削減され、より効率的な予算執行が求められる中で、工事の繰越は翌年度の事業執行にも影響を与え、県民からの要望が強い社会資本の整備をますます遅らせる要因の一つになりかねないことから、その発生を最小限に抑制する必要がある。
繰越を行った事業については、その理由を詳細に点検し、工事計画は妥当であったか、事業の進め方に問題はなかったか等を検証のうえ、あらためて繰越は真にやむを得ない場合のみとするよう、工期の遵守について関係機関への指導を強化するなど、今後の工事遅延防止対策を徹底し、繰越額の縮減を図られたい。
6中小企業近代化資金貸付金にかかる収入未済額の縮減について
中小企業近代化資金貸付金の収入未済額については、平成14度決算においてその縮減を図るよう指摘したところであるが、長引く景気低迷により平成15年度においても新たな延滞が発生し、収入未済額は、5億4,654万3,442円に上り、対前年度比55.4パーセントと、さらに増加をしている。
同貸付金の収入未済額縮減対策については、平成15年度に債権管理マニュアル策定により債権管理の状況に応じた判断基準を定めるなど体制強化が図られるとともに、債権者及び連帯保証人に対する個別面談や文書等による督促などを行いその回収に努められているところであるが、厳しい財政状況の中、収入の確保はより重要となっており、今後とも未収実態に応じたきめ細かな対策や徴収体制の強化等を図るとともに、関係機関との連携をより緊密にし、収入未済額の縮減に一層努められたい。
また、今後の新たな貸付けにあたっては、十分な事前審査と貸付後の事後指導等を徹底し、延滞の未然防止にも努められたい。
7県営工業団地の分譲促進について
企業誘致については、長引く景気の低迷、産業構造の変化や各県との誘致活動競争激化等により、引き続き厳しい状況である。
県では地域産業の振興と雇用の場の拡大による定住促進を図るため、企業誘致を県政の重要な柱と位置づけ、平成15年度から企業振興課企業立地推進室を企業立地課に昇格させて意志決定の迅速化を図るととともに、フォローアップ専門員配置による誘致企業の状況把握と企業の要望把握、また、企業立地促進助成金の対象業種拡大などによる幅広い業種の誘致等に努められているが、平成16年9月1日現在の県営工業団地の分譲率は、32.5パーセント、リースを含めても35.1パーセントにとどまっている状況である。
今後とも、経済環境が変化するなか企業ニーズの的確な把握に努めるとともに、団地周辺の環境整備等も積極的に進め、各工業団地の特色、魅力を高め、総合的、戦略的かつ効果的な企業誘致を行い、県営工業団地分譲促進に一層努められたい。
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