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財政健全化調査特別委員長報告
財政健全化調査特別委員長報告(中間報告)平成16年2月定例会
財政健全化調査特別委員会の調査結果について中間報告を申し上げます。
まず、今後の財政運営についてであります。
財政健全化集中改革期間の取り組み並びに平成16年度予算編成に関する調査結果については、平成15年11月定例会において報告を行ったところですが、その後、国において平成16年度地方財政対策が決定されました。
決定された地方財政対策では、三位一体の改革の名の下に、地方交付税及び臨時財政対策債が大幅に減額され、本県においては250億円程度の削減が見込まれております。
本県では、現在、平成18年度までの三年間で構造的な収支不足を百億円程度改善するため、公共事業費、各種事務事業、人件費などについて財政健全化指針を上回る取り組みを進めておりますが、今回の地方財政対策の決定により、この取り組みを行ってもなお、数年後には財政再建団体への転落が危惧されるという厳しい状況が生じました。
財政再建団体への転落は、本県が目指している「自立的に発展できる快適で活力のある島根」の実現が不可能となることを意味するものであり、何としても回避しなければなりません。
このような非常事態に対処し本県財政の健全化を図るため、今後の財政運営に関し、以下の二点をご報告申し上げます。
一点目は、国の三位一体改革への対応についてであります。
平成16年度においては、国庫補助負担金の見直しや税源移譲が不十分な中で、地方交付税の削減のみが突出して行われ、かつ、その内容も地方の実情を十分に理解したものとは言えません。
また、地方分権時代にふさわしい地方行財政基盤の確立は、地方のみならず国に課せられた責務であります。
国に対し、地方財政見通しや三位一体改革の具体的内容の早期公表、的確な財源保障などが行われるよう、今後も執行部、議会が一体となって、その実現を求めていく必要があります。
二点目は、歳出削減を中心とした財政健全化への取り組みについてであります。
今定例会冒頭、知事は、できるだけ早い時期に、従来の取り組みを上回る歳出削減に向けての方針を示し、財政構造の改革を進めると表明されたところであります。
国が進める構造改革の動向や経済見通しを踏まえれば、財政構造改革の検討は、地方交付税の削減傾向が継続するとの前提で行わざるを得ません。
今定例会に提案された平成16年度予算当初予算案の編成に際しては、財源不足を圧縮するための取り組みが行われていますが、当面の財源不足を回避するための措置も含まれており、これらについては、結果として負担を後年度に先送りすることとなります。
地方財政を取り巻く状況は年々厳しさを増しており、将来世代に負担を先送りする財政運営手法を繰り返す限り、本県の将来を展望することは不可能であります。
今後の財政改革に当たっては、新たに緊急避難的措置を講ずることも十分想定されますが、将来的にも財源不足を圧縮できる歳出削減を基本とすべきであります。
また、平成16年度には、大幅な財源不足を補うため、337億円にのぼる基金の取り崩しが予定されておりますが、取り崩し額を抑制するため、今後の予算執行に際しては、従来以上の節減に向けた更なる努力を併せて求めるものです。
次に総合計画についてであります。
本県は、平成6年度から22年度を計画期間とする島根県長期計画を県政推進の基本指針としてきましたが、その後の社会経済情勢の急激な変化や、交付税・県税の減少、公債費の増加等による急激な財政悪化に対応するため、昨年4月に新しい「総合計画」を策定することとされました。
しかし、財政については、さらに、先に述べました様に、昨年12月の国の地方財政対策を受けた交付税等の大幅な削減があり、この結果、本県の構造的収支不足が150億円から、16年度の当初予算編成の圧縮努力にも関わらず、400億円程度に大幅に拡大し、正に危機的な状況となったところであります。
このように、社会経済情勢の激しい変化に加え、財政見通しが予想をはるかに超えて悪化した、非常に厳しい環境下にあるだけになおさら、今、これらを踏まえた上での本県の目指すべき将来像を示し、県民に広く明らかにし理解を得ることが必要であり、その意味において、今後の県政運営の基本指針となる『総合計画』は一層重要な意味を持つこととなりました。
総合計画において本県の目指すべき将来像とされた「自立的に発展できる快適で活力のある島根」に向けて、着実に実行される計画であることを願い、次の二点を要望いたします。
一点目は、予想をはるかに超えて悪化した財政見通しを踏まえ、重点施策、事業の優先順位付けを明確にした計画とされることであります。
収支不足が今後も400億円程度見込まれる財政見通しであることから、財政再建を図りつつ「自立的に発展できる快適で活力のある島根」を実現するために、将来を見通して本県の発展のためなくてはならない重点施策を厳選し、事業の優先順位付けを明確にした計画とされることを強く要望します。
二点目は、島根の豊かな地域資源を最大限活用し、本県の独自性・良さを活かし伸ばしていくことを、強く打ち出すことであります。
道州制も議論される中、地域の独自性と魅力ある地域づくりが今後一層求められ、また、近年は真のゆとりや豊かさを求める傾向や自然志向がますます高まっていますが、本県には優れた自然、景観、歴史、多様な伝統的文化、などの誇るべく地域資源が豊富にあり、これらの地域資源を最大限活用し、島根らしい魅力ある地域づくりを目指すべきであり、このために、本県の独自性・良さを活かし伸ばしていくことを強く打ち出されることを要望します。
なお、1月23日の委員会においては、流通経済大学社会学部の恩田教授を参考人としてお招きし、御意見を伺った訳ですが、「計画を外部に委託するのでなく職員が中心となり造られた」あるいは「数値目標が設定してある」ことを教授は非常に評価されたのでありますが、我々も同感であります。
この後、5月に財政再建の基本方針を打ち出され、それを受け実施計画が策定されることとなりますが、このような厳しい状況下でありますが故に、目標に向けての計画の着実な推進が求められる訳であり、そのことを再度要望し、総合計画の報告といたします。
以上、今後の財政運営、総合計画に関する意見を申し述べましたが、こうした取り組みを行うことで、将来、島根を担う世代に、夢と希望にあふれた活力ある島根を創造できる環境と安定的な財政基盤を引き継ぐという我々の責務を果たしていく必要があると考えます。
知事をはじめ職員におかれても、我々の提言を踏まえた行財政運営に努められるよう要望し、中間報告といたします。
お問い合わせ先
島根県議会
住所 〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 TEL 0852-22-5356 FAX 0852-22-5273 メール kengikai@pref.shimane.lg.jp