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総務委員長報告
総務委員長報告平成十五年六月定例会
総務委員長報告をいたします。
総務委員会に付託されました議案の審査経過並びに結果について御報告申し上げます。
今定例会において本委員会に付託されました議案は、予算案一件、条例案七件、一般事件案五件であります。
これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案も全会一致をもって原案のとおり可決または承認すべきものと決定をいたしました。
次に、請願の審査について申し上げます。
まず、請願第二号についてであります。この請願は、平成十五年度の税制改正に関連して「消費税の中小事業者に対する特例措置の変更に関して、凍結などを求める意見書を国に提出してほしい」というものであります。この度の税制改正は、消費税に対する信頼性・透明性を向上させることなどを目的に「事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用上限の引き下げ」や「消費税の額を含めた価格表示の義務付け」などが実施されます。この三月に法律改正がなされていることから今後は、平成十六年四月の実施に向けて、制度の円滑な導入を図る必要があることから、この請願は「不採択」すべきとの結論でありました。
次に、請願第三号についてであります。この請願は、「消費税の税率を三パーセントへ引き下げるとともに、生活費に対しては非課税とするよう国に対して意見書の提出を求める」ものであります。現在、政府税制調査会の答申をうけて、国政の場で慎重に審議がなされているところですが、消費税は貴重な地方財源であり、将来にわたり少子・高齢社会を支える基幹税的な税目として重要な役割を果たすものと考えられることや、税制調査会の答申にもあるように、税制の歪みや世代間あるいは高齢者間での不公平があるならば、納税能力に応じた負担を適切に求めるための見直しも必要であることから、この請願についても「不採択」との結論でありました。
次に、請願第五号及び第六号の二つの請願についてであります。
この二件の請願は、「自衛隊のイラク派遣に反対して『イラク特別措置法案』の廃案などの意見書を採択し国に提出を求める」ものであります。我が国の国際貢献のあり方等については、基本的には国政の場で審議されるものであり、現在、国会で審議中であることから、その動向を見守るべきとして「継続審査」が妥当との結論でありました。
次に、議案の審査過程並びに所管事項の調査の中での主な質疑、意見、要望事項について御報告申し上げます。
まず、第八十九号議案「平成十五年度一般会計補正予算」に関してであります。
総務費に新規事業として計上されている「地域プロジェクト推進費」について、執行部から「地方機関が部局横断的に連携し、地域の参画・協働を得ながら、企画から事業実施まで一貫して展開する事業であり、圏域ごとに設けた「地域政策推進会議」(本庁における政策企画会議のいわば圏域版)での審議を経て実施することとしており、地域の実情に即した広域的なソフト事業が素早く行えるようにしている。一プロジェクトあたり三年程度までの期間を想定しており、一事業費として五百万円から二千万円程度を予定している。」との説明がありました。
地方機関が、自らの圏域において、直接に地域との協働により地域の実情にあった事業の計画・立案から実施まで行うこの事業に対して、委員からは、「各地方機関の積極的な取り組みを期待する」との意見がありました。
また、「地域公共ネットワーク構築支援制度」について、執行部から「この制度は、市町村合併を見据え、民間の光通信サービスによって地域公共ネットワークを構築する市町村に対して支援することにより、島根県における情報通信基盤の整備を着実に推進するためのものである。具体には、中山間地域等の条件不利地域においても、FTTH(ファイバー・ツウ・ザ・ホーム)の実現に向けた、局舎から集落中心地までの加入者系光ファイバの敷設などを進め、FTTHサービスの展開に向けた対策を着実に実施する。」との説明がありました。
委員から、「中山間地域等の条件不利地域における情報基盤の整備について、できるだけ地元負担のかからない方法でやっていただきたい。」との要望がありました。また、別の委員からは「CATVとFTTHとの関係はどうなるのか」との質問があり、執行部からは「技術革新に伴い選択肢の幅が広がっており、条件不利地域における今後の展開にあたっては、CATV、FTTHのいずれを志向するのか、十分に比較検討の上で最善の選択をして欲しい」との回答がありました。
また、電子自治体推進事業に関連して委員から、「システムの共同外部委託による運営が予定されているが、地元の情報産業事業者も参入できるような方法を検討していただきたい」との要望がありました。
さらに、平成十四年度の重要施策調整費調査結果に関連して、「油脂植物バイオマス利用による新産業創出可能性調査」ついて、委員から、「バイオマスは世界の潮流であり、日本においてもその研究は格段に進んできている現状にあることから、単に一過性の調査に終わるのではなく、今後の施策展開に向けた前向きな検討が必要ではないか。」との意見がありました。
次に、宍道湖・中海淡水化の中止に伴う「中浦水門の取り扱いについて」であります。
執行部から、「水門を残して利用する方法は見あたらない」と判断するに至った経緯等について、次のような説明がありました。
まず、第一点は、水門利用の面から、道路として使用する場合には、自動車の利用は江島大橋が完成すれば激減することが予想され、歩行者や自転車の利用は江島大橋の利用は難しいものの、バスや渡船等のの代替えが考えられること。現行の利用実態を考慮しても水門の管理費用や管理主体等からも課題があること。また、水門を部分的に残して公園的な利用を行うことについても、地元八束町にその考えがないこと。さらに管理費用、管理主体面からも課題があること。
第二点は、環境影響面から、水門操作により中海や本庄工区で溶存酸素濃度が一定程度増加し、塩分濃度が変化するなどのシミュレーション結果が得られているが、生物・生態系への影響の適否の予測が困難なこと。また、水質改善のための水門操作についても技術的に困難な面があること。
第三点として、シミュレーションの前提となる堤防開削や窪地の埋め戻し等に巨額の費用が必要であり、費用対効果の面からも課題があること。
以上の点について総合的に検討した結果、「中浦水門を残して利用する方法は見あたらない」との結論に至った。との説明でありました。
これに対して委員からは、「仮に水門を撤去する場合の環境影響調査はどこがするのか。また、影響調査結果のチェックはどうなっているのか。これらの問題をまず示すべきではないか」との質問がありました。これに対して執行部からは「工事に伴う影響調査は、農水省でされると聞いている。調査結果のチェックについては、今後、考えたい。」との回答がありました。
また、「撤去の工法や期間等」について執行部から、「仮締切方法は、水門柱部・閘門部を仮締切する方法、閘門部のみを仮締切する方法、仮締切を行わない方法の三つの工法が検討されていること。撤去費用は六十億円から八十億円で約四年間の工期が必要」との説明がありました。また、これに関連して、「仮締切により、治水上の影響はないのか」との質問があり、執行部からは、「農林水産省と国土交通省との協議事項であるが、影響が出ないような方法をとってもらう」との回答がありました。
さらに、各委員から、「環境回復の観点から堤防開削の必要性」をはじめ、淡水化中止にかかる事後処理について様々な意見や要望がありました。
総務委員会といたしましては、今回示された「水門を残して利用する方法は見あたらない」との判断については、「環境問題等残された課題に適切に対応すること」を条件に、受け入れることといたしました。
宍道湖・中海淡水化の中止に伴う国営中海土地改良事業の収束に向けての事後処理は、これからが本番であります。国に対しましては、環境対策の実施など、事業主体として適切な対応をとられ、責任ある事後処理を行っていただくよう強く求めるとともに、知事をはじめ執行部におかれましても、残された課題の解決に向け全力を挙げて取り組んでいただきますよう要請するものであります。
以上、総務委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告を終わります。
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