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農水商工委員長報告

 

農水商工委員長報平成15年9月定例会


農水商工委員長報告をいたします。

農水商工委員会に付託されました、議案の審査経過並びに結果について、御報告いたします。

今定例会において、農水商工委員会に付託されました議案は、予算案4件、条例案2件、一般事件案2件であります。
これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案も、全会一致をもって、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。

次に、請願の審査について申し上げます。
新規に付託されました、請願第11号及び第18号の2件について、執行部に状況等の説明を求め、慎重に審査を致しました。

まず、請願第11号「森林整備に関する予算枠の確保、木材(県産材)の一層の需要拡大。間伐材の利用拡大、魚礁に間伐材を使用する取り組みへの支援」を求める請願についての審査の結果を申し述べます。
請願の内容は森林整備に関する予算枠の確保、木材の需要拡大の観点から事業化されたしまね木の香の家推進事業の拡充強化、間伐材の利用拡大、魚礁に間伐材を使用する取り組みへの支援などについてであります。
いずれも、現在の厳しい財政状況を考えれば、現状以上の拡充強化は厳しい状況にありますが、
1.執行部において、森林整備のための新たな財源確保のあり方を、中国5県共同で検討予定であること。
2.木の香の家推進事業については関係業界との協力による効率的な運用を検討予定であること。
3.間伐材の搬出・出荷に対する助成制度は現在実施している事業の成果を見ながら検討される予定であること。
4.間伐材を公共事業で使用するにあたっての耐用年数等の問題点については国が調査中であることなどから、それらの結果を踏まえた上で判断することが適当であり、いずれについても、継続して審査を行うことにいたしました。

次に、請願第18号「青年の雇用問題について」であります。
請願の内容は、青年の定住・雇用を促進するために「青年雇用対策室」を創設すること、企業立地促進助成金受け入れ企業が、若者の雇用や正規雇用を計画的に採用することを求めるものであります。
雇用問題は、若年層に限らず、厳しい情勢にあり、関係機関が連携して、総合的に取り組む必要があること。
また、厳しい経済環境の中で雇用形態も多様化しており、今後の取り組みについて調査する必要があることから、継続して審査を行うことにいたしました。
 
次に、議案の審査の過程並びに所管事項の調査において、各委員から質疑並びに意見等のありました事項のうち、主なものにつきまして、御報告申し上げます。

第111号議案、平成15年度島根県一般会計補正予算のうち、商工費に計上されている「金融対策費」についてであります。

執行部から、厳しい経済環境の中で、経営基盤の脆弱な中小企業の多い本県において、金融対策は重要な施策であり、中小企業制度融資損失補償金として金融対策費31800万円余を追加補正するものであること。
本県の代位弁済率は、平成12年度が1.2%、13年度は1.4%、14年度も1.4%と、代位弁済率だけをみれば、融資損失が増えている状況ではないこと。
不況の元での制度融資は、厳しい時期であるからこそ、大きな役割を果たしているなど説明がありました。
これに対し委員から、特に中小・零細事業者を取り巻く厳しい状況から推察すれば、代位弁済の増加が推察され、保証機関の制度融資に対する審査や融資枠は、一層慎重かつ厳しくなるのではないかとの意見や、事業者側にとって、いわゆる貸し渋りの発生を防止するため、制度融資の審査にあたっては、より緊密な保証機関との連携を図られたいとの要望がありました。

続いて、所管事項調査に関連したものについて申し上げます。

まず、農林水産部に関する事項であります。

はじめに、新たな米政策への対応についてであります。
昨年12月に決定された米政策改革大綱に基づく新たな米政策は、平成22年までに「米づくりの本来あるべき姿」を実現させようとするものであります。

多様な需要に対応できる供給体制を確立することにより、売れる米づくりを目指すために、その基本となる「地域水田農業ビジョン」の検討作業が各地域において進められています。
執行部から、この「地域水田農業ビジョン」策定の一助となる「島根県における水田農業のあり方について」の中間報告を策定したこと、
その内容は、消費者の食に対する安全安心へのニーズや、生産活動における環境負荷の軽減など、社会情勢の変化を念頭におき、10年先の水田農業のあるべき姿を描いていること。県全体で取り組むべき事項と、各地域が独自の特色や条件、資源を生かして取り組むべき事項などについて整理し、地域自らの発想・戦略を喚起したものであること。などについて報告を受けました。

委員からは、国の大規模経営者の育成・拡大政策に追随するのではなく、本県の中山間地域や兼業農家が大多数を占める現状を視野に入れた施策の振興策が必要という意見や、農家を守る観点からは、価格保障を視野に入れた農業政策も必要ではないかという意見がありました。
また、この報告の内容で、島根の米づくりが守れるのかといった質疑もありました。

これに対し、執行部からは、これは中間報告であり、今後、本県の実態を踏まえ、島根の水田農業がどうあるべきかを肉付けし、最終報告をまとめていきたいとの答弁がありました。

次に、ラムサール条約の登録についてであります。

知事は、7月に宍道湖・中海地域を水鳥の生息域として、国際的に重要な湿地を保全するラムサール条約での登録を目指す考えを明らかにされたところであります。
執行部からは、わが国は、1980年に、この条約に加入し、北海道釧路湿原の登録を初め、現在国内で13箇所が登録されていること。
次期登録は、2005年の締約国会議において行われること。
宍道湖・中海を登録する場合の環境庁が示す指定要件については、条約で示された基準には、宍道湖・中海とも該当しているが、国指定鳥獣保護区特別保護地区等の地域指定要件を満たしていないこと。
また、地元自治体等との合意形成が必要なこと。などの説明がありました。
 
委員からは、条約登録のための新たな規制や水鳥による農作物への被害など、住民生活への影響も考えられることから、水域住民の理解が得られるような説明が必要ではないかとの質問がありました。
 
これに対し、執行部からは、条約への登録や目的を達成するためには、地域の理解と協力が何よりも重要であり、情報の提供や地域での話し合いをしていきたいとの答弁がありました。

 

次に、島根県林業公社長期経営計画検討委員会の報告と今後の取り組みについてであります。

島根県林業公社については、木材価格の長期低迷や、資金源が伐採収穫期を迎えるまでは、補助金、借入金によらざるを得ず、経営環境が悪化しています。
このため、昨年度の県議会行財政改革調査特別委員会や包括外部監査から、長期的な収支計画に基づいた経営計画の策定や、借り入れ金による負担の軽減の必要性を指摘しています。

執行部からは、平成14年9月に林業公社が作成した長期収支見込みによると、伐採が終了する平成80年までに、643億円の収支不足が見込まれること。

徹底した財務改善を図るため、方策を検討する委員会を設置したこと。

検討委員会からの報告では、林業公社の自助努力、県市町村等の役割、市町村や造林所有者の協力などの今後の経営改善策が示されたこと。
しかし、これらの改善策を実施しても309億の収支不足が見込まれることが示されました。

今後の取り組みとしては、林業公社は、今回の検討委員会の報告を反映させた経営計画の策定や県民の理解を求めるための積極的な情報公開を行うこと。
県の役割としては、県民の理解が得られる支援策の検討や国に対する支援策拡充の要望が必要であることなどが、示されました。
 
執行部としては、この報告の改善策を公社と共に全力をあげて取り組みたいとの説明がありました。

これに対して、委員からは、収支不足が予測されることと発生することとは異なるということや、公社の果たしている役割、森林の多面的な機能等について、県民にきちんと説明をして理解をしていただくことが大切である、という意見がありました。

次に、県域漁協合併に関する報告についてであります。

執行部から、漁獲資源の変動や組合員の減少、水産物流通環境の変化等に対応するため、漁協組織の体質強化が急務であることから、沿海21漁協及び県漁連、信漁連など県段階系統団体を一本化する県域漁協合併計画を推進していること。
平成17年度を合併目標年度に、島根県漁協合併推進協議会を中心とした取り組みが進められており、現在、系統団体には合併推進室が、また、県等には各事業部門別検討部会が設置され、事業計画策定作業が開始されたこと。
合併後においては、産地市場の集中化、在庫管理の効率化、信用事業の合理化等を図り、組合員数約1万4千人、販売取扱高約3百億円の漁協を目指していることなどの説明がありました。

以上に関連し、委員からは、
本県のブランドイメージを高めるためには、新鮮な地域の食材として、水揚げされたその地で、提供できる体制を作り上げることが重要であり、外海の魚介類だけでなく、宍道湖のシジミなど汽水域の魚介類も含めた一元的な集荷販売体制の確立が望まれることなどの意見・要望があったところであります。

次にブランド推進室に関する事項のうち、東京拠点施設の開館についてであります。
執行部から、長年の懸案であった東京の拠点施設が日本橋に「にほんばし島根館」として11月21日ににオープンする運びとなったこと。
旬の産品の紹介や販売、飲食メニューの提供や観光スポットの照会など「島根の旬」が体感できる施設であり、物販部門、飲食部門、観光予約発券部門、行政部門からなること。開館にあたってはオープニングイベントやマスコミを通じてPRをはかりたいことなど。が報告されました。

委員からは、岩手県の東京拠点施設「いわて銀河プラザ」において、職員が商品の特性や流通の状況に詳しく、接客も丁寧で、大変好感がもてたという感想をもとに、「にほんばし島根館」においても、島根を十分にアピールするために、職員採用にあたっては、島根に精通した職員やゆかりのある職員を採用していただきたい、また、職員教育も十分に行っていただきたいという要望がありました。

次に、商工労働部に関する事項のうち、最近の雇用・失業情勢についてであります。
執行部より、今年7月の時点での全国の失業率は5.3%で前月同水準であること。月刊有効求人倍率は全国、島根県ともに0.62倍であり、県では、平成13年8月以降0.6倍台の低水準で足踏み状態が続いていること。来年度の新規の高卒予定者に対する求人倍率は、8月の時点で1.05と求人数に対して求職数が上回っているものの、県内の求職に限って見ると、求人倍率は0.55にとどまっていることなど、依然厳しい状況にあることが報告されました。

以上、概要を申し述べ、農水商工委員長報告といたします。

 


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