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知事提案理由説明
平成18年11月27日知事提出議案提案理由の説明
日程第5、「知事提出議案提案理由の説明」を求めます。
澄田知事。
〔澄田知事登壇〕
○知事(澄田信義)第410回島根県議会の開会に当たり、諸議案の説明に先立ちまして、諸般の事項について申し述べます。
まず、地方分権改革についてであります。
現在、国会において地方分権改革推進法案の審議が行われています。この法案は、7月の「骨太の方針2006」を受けて、推進委員会の設置や推進計画の作成など、新たな地方分権一括法の制定に向けた検討組織や手順を定めるものです。
地方分権改革を推進するための新たな法律については、全国知事会を初め地方六団体が、国に対し早期制定を求めてきたものであり、これらの活動が実を結んだと言えますが、地方が求めていた地方行財政会議の設置や推進委員会への地方側委員の参画については、法案中に明記されていません。引き続き地方の意見が十分に反映される仕組みづくりに向け、国に対し働きかけていく必要があると考えています。
また、来年度から導入が予定されている新型交付税についても、現在、具体的な制度設計が進められています。県としては、この制度の導入による本県への影響を慎重に見きわめながら、地域の実情を踏まえた財政需要の的確な把握や交付税算定の透明性、予見可能性の確保など、適切な対応を国に求めていきます。
さらに、これから地方財政対策の折衝が本格化します。本県では、先月31日と今月1日、県議会とともに実施した重点要望活動や今月20日に開催した県内6団体の総決起大会など、これまでさまざまな取り組みを行ってきました。平成19年度の地方財政対策は、新型交付税の動向等を考慮すれば、本県にとって決して楽観できるものではありません。今後とも地元選出国会議員を初め関係各方面に対し、地方交付税の総額確保等を強力に訴えていきます。
次に、平成19年度当初予算編成についてであります。
「骨太の方針2006」で示された歳出改革の取り組み等を踏まえると、本県財政は現状の予算水準のままでは、毎年度200億円台半ばの収支不足が続き、平成21年度にも基金が枯渇するという極めて厳しい状況が見込まれます。
平成19年度当初予算編成は、来春に知事選挙を控えていることから、骨格予算として編成します。編成に当たっては、こうした厳しい財政状況を踏まえ、引き続き収支改善の取り組みを継続することとし、人件費総額の抑制、公共事業費等の各種事業費の削減、事務事業の抜本的な見直しなど、歳出全般にわたる見直しを行います。
他方、全体として財政規模が縮小する中にあっても、限られた財源の重点的かつ効率的な配分に努め、緊急に取り組むべき課題などについては的確に対応していきます。
次に、平成18年7月豪雨災害の措置状況についてであります。
公共土木施設関係については、被害箇所2,830カ所の被害査定をほぼ終了し、その査定額は11月17日現在で、県・市町村合わせて192億円余となる見込みです。現在、復旧工事を順次実施しており、引き続き全力を挙げて早期復旧に努めます。
また、被害が甚大であった神戸川については、災害対策等緊急事業や災害関連事業を活用し、再度の災害の防止に向けた治水対策に取り組んでいきます。
土砂災害対策についても、災害関連緊急砂防事業等が9カ所採択され、事業に着手しています。
農林水産関係については、11月17日現在で、県・市町村合わせ被害箇所数の84%に当たる1,620カ所の災害査定を終えており、査定額は36億円余となっています。
年内には、すべての査定を終了する予定であり、今後緊急を要する箇所から順次工事に着手していきます。
また、災害関連緊急治山事業等については、19カ所が採択され、事業に着手しています。
次に、島根原子力発電所2号機におけるプルトニウム混合燃料の使用計画についてであります。
先般、松江市から原子炉設置変更許可申請を行うことについて了解するとの方針が示されました。これを受けて、県では10月23日、中国電力に対し、「基本的に了解する」旨を回答しました。
また、この回答にあわせて中国電力及び国に対し、「安全性の確保」、「さらなる広報活動」、「新耐震設計審査指針への対応」などにつきまして強く要望したところです。
なお、事前了解願に対する最終的な回答は、国の安全審査が終了するまで留保し、その結果を確認した上で行います。
次に、隠岐汽船の経営再建についてであります。
隠岐航路は、島民の日常生活や観光を初めとする隠岐の地域振興に必要不可欠であることから、これを維持するため、島根県中小企業再生支援協議会で策定された隠岐汽船の経営再生計画に基づき、地元町村とともに、フェリー買収による公的支援を行うことが必要と判断しました。今後、隠岐汽船は経営再生計画を着実に実行し、一日も早く経営再建を果たす責務があります。
また、公的支援を行う県と地元町村では、経営再生計画の実施状況や経営状況を注視し、適切な指導に努めていきます。
次に、町村による福祉事務所の設置についてであります。
保健・福祉に関する住民サービスについては、地方分権の進展や住民ニーズの多様化などに伴い、住民に身近な市町村での提供が求められています。
このため、県では生活保護等のサービスについて、市と同様、町村においても一元的に提供できるよう町村による福祉事務所の設置に向けた取り組みを進めてきました。
こうした中で、本年4月の飯南町での設置に続き、来年4月には東出雲町、奥出雲町、隠岐郡各町村において、新たに福祉事務所が設置されることとなりました。
これらの町村に対しては、人的支援、技術的・専門的助言など、積極的に支援を行うとともに、他の町村についても、引き続き福祉事務所設置に向けた取り組みを進めていきたいと考えています。
次に、県立病院の運営体制についてであります。
県民の医療ニーズの高度化・多様化や医療制度改革の動きなど、県立病院を取り巻く環境が大きく変化していることから、県立病院の運営体制について検討を重ねてきました。
その結果、地方公営企業法の規定のうち財務規程のみを適用する一部適用から、病院事業管理者の設置など、組織や職員に関する規定も適用する全部適用に移行することとし、今議会に関係条例の改正を提案しました。
この改正により、病院運営に現場の専門的な知識や判断を一層反映させることを通じて、県民の求める医療ニーズなどに対し、これまで以上に迅速かつ柔軟に対応していきたいと考えています。
次に、森林・林業の活性化と県民参加の森づくりについてであります。
このたび「新しまね森林・林業活性化プラン」の後期行動計画を取りまとめました。
後期の施策においては、木質資源の利活用をより一層進める観点に立って、木材生産団地の設定、木材の安定供給体制の確立、県産材の販路拡大等に重点的に取り組みます。
また、県民参加の森づくりについては、近年、企業による森づくり活動への関心が高まっていることを受け、「しまね企業参加の森づくり制度」を創設しました。
この制度では、県と市町村、森林組合が連携し、森づくり活動に取り組む企業に対象森林の紹介や活動計画の策定支援などを行うこととしています。今月29日には、初めての「森林保全活動に関する協定」を山陰合同銀行、県、松江市及び松江八束森林組合の間と同行、県、大田市及び大田市森林組合の間でそれぞれ締結することになりました。今後も多様な主体による県民参加の森づくり活動を積極的に推進していきます。
次に、高速道路網の整備についてであります。
山陰自動車道の宍道ジャンクションから斐川インターチェンジ間の4.6キロメートルが一昨日開通しました。今回の開通を契機として、今後、地域の産業・経済がより一層発展し、文化・観光の振興にもつながることを期待しています。
また、三隅ー益田間の約15キロメートルの区間については、先月、事業化の前提となる都市計画決定手続に着手しました。今後は、関係機関と連携を図りながら、早期に都市計画決定を行い、この区間の事業化促進に取り組みます。
また、ETC割引の導入を要望していた安来道路と江津道路については、先月末から通勤割引と深夜割引が導入されました。これにより、利用者の負担が軽減され、利用台数が増加するものと期待しています。
高速道路網の整備については、一般国道9号多伎朝山道路が今年度事業着手されたことを初め、これまで国など関係機関に対し、重点的に要望してきた事項が着実に実現しています。今後とも供用中の高速道路の有効活用を図るとともに、未整備区間の早期完成に向け、全力を挙げて取り組んでいきます。
次に、第61回国民体育大会についてであります。
9月末から兵庫県を中心に開催された「のじぎく兵庫国体」には、本県から434名の選手、監督が参加し、それぞれの競技に全力で取り組みました。
中でもホッケー競技では、横田高校の女子が11年ぶりに優勝、また陸上競技では杉原加代選手、福島翔太郎選手が、さらにボウリング競技では宮倉彩実選手が優勝し、平成8年以来10年ぶりに優勝種目が4つとなりました。
総合成績では、昨年を2つ上回る42位となり、入賞競技数は13競技、入賞種目数は昨年を4つ上回る29種目となるなど、幅広い競技で得点を獲得し、県民の期待にこたえる活躍を見せてくれました。
厳しい練習を積んでこられた選手諸君の健闘をたたえるとともに、選手を初め関係者の方々が今後より一層競技力向上とスポーツ振興に励まれることを期待しています。
次に、飲酒運転根絶対策についてであります。
全国では、飲酒運転による交通事故が相次いで発生しており、大きな社会問題となっています。本県においても、依然として飲酒運転が後を絶ちません。
飲酒運転は、決して容認することのできない悪質かつ危険な行為です。引き続き市町村を初め関係機関・団体等と連携し、広報啓発キャンペーンの展開や地域・職域での飲酒運転追放宣言に向けた働きかけなど、飲酒運転根絶対策を推進していきます。
なお、県職員の飲酒運転はもとよりあってはならないことですが、万が一そうした不祥事が発生した場合、社会的に納得が得られる処分であるべきとの観点から、このたび処分基準をより厳しく見直したところです。
それでは、今回提案した一般会計補正予算案について説明いたします。
今回の補正予算案は、平成18年7月豪雨災害の災害復旧事業など、緊急に措置する必要のある事業について、総額45億800万円余を計上いたしました。この結果、一般会計の補正後の予算規模は5,431億6,000万円余となっています。
このほか、予算案1件、条例案6件、一般事件案8件を提案しています。
なお、諸議案の詳細については、後ほど総務部長に説明させることにいたします。
何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
さて、来春の知事選挙を控えまして、この際、私の決意を述べたいと思います。
私は、昭和62年4月、知事に就任して以来、今日まで5期20年にわたり県民の皆様からの負託におこたえするため、県民本位、地域主体を基本理念とし、「この身を県政にささぐ」との思いで、全身全霊を傾けてまいりました。
この間、議員各位を初め県民の皆様には、多くの温かい御支援と御協力をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。
知事に求められる資質や姿勢にはさまざまなものがあろうかと思います。私は、まず第一には、「ふるさと島根」をこよなく愛していること、そして本県を最善の道へと導いていく先見性、指導力、行動力、忍耐力を持つことが大切であると考えております。
さらに、私にとりましては20年間県政をおあずかりする中で、みずからがなした決断や行動の蓄積、さらには国内外で培ってきた肝胆相照らす人的なネットワークなど、年数を経るとともに積み上げてきた自負と誇りが現在の県政運営に当たる上での大きな底力になっているものと考えております。
その一方では、マンネリズムに陥っていないか、もっと違うやり方があるのではないかと常にみずからに厳しく問いかけてまいりました。挑戦者としての緊張感を持続するために要する力は、年を経るごとに大きな負担となりつつあることも実感しております。
知事の職を続けることにより高まる県政推進の力と何事にも挑戦し続けるための精神力の維持を静かにみずからに問いかける日々を過ごしてまいりました。
そして、私がみずからに下しましたのは、「この5期目の4年間がみずからの知事としてのきわみである」との判断であります。
私は、ここに来春の知事選挙に出馬しないことを県議会の皆様を初め県民の皆様に対し、表明いたします。
「知進知退」、進む時を知り、退くべき時を知る。この私の決意を何とぞお酌み取りいただき、御理解賜りますようお願い申し上げます。
本県は、今まさに「県政改革勝負の時」にあります。一瞬たりともおろそかにはできません。私に与えられた任期の限り、これまでどおり持てる力を振り絞って、「愛する島根」のために粉骨砕身の努力をする決意であります。
県民並びに議員各位の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(倉井毅)加松総務部長。
〔加松総務部長登壇〕
○総務部長(加松正利)提案いたしました諸議案について御説明申し上げます。
まず、第127号議案は平成18年度一般会計補正予算であり、平成18年7月豪雨災害に係る災害復旧費17億7,000万円余、災害関連の公共事業費27億3,300万円余などを計上いたしております。
第128号議案は、電気事業会計補正予算案であります。
次に、第129号議案から第134号議案までの各議案は条例案であります。
第129号議案は、島根県特別職報酬等審議会の答申に基づき、特別職の職員の退職手当について所要の改正を行うもの、第130号議案は特別職の職員の退職手当に関する条例の見直しに準じて、教育長の退職手当について所要の改正を行うものであります。
第131号議案は、八束郡東出雲町ほか5町村が福祉事務所を設置することに伴う所要の改正を行うもの、第132号議案は、病院事業に地方公営企業法の規定の全部を適用することについて所要の改正を行うものであります。
第133号議案は、島根県立島根中央高等学校を設置することについて所要の改正を行うもの、第134号議案は、独立行政法人緑資源機構が実施する特定地域整備事業について、事業参加資格者等から負担金等を徴収するために必要な規定を整備するものであります。
次に、一般事件案についてであります。
第135号議案は公の施設の指定管理者の指定について、第136号議案は当せん金付証票の発売について、第137号議案は隠岐広域連合規約の変更について、第138号議案は境港管理組合規約の変更について、第139号議案は国営土地改良事業に対する市町の負担について、第140号議案及び第141号議案は契約の締結について、それぞれ議決を得ようとするものであります。
認定第6号議案は、一般会計及び特別会計の平成17年度決算について認定を得ようとするものであります。
以上、提案いたしました予算案及び諸議案につきまして御説明申し上げました。何とぞよろしくお願い申し上げます。
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