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決算特別委員長報告平成18年11月定例会
決算特別委員長報告をいたします。
本年9月定例会で付託された公営企業会計並びに今定例会で付託された一般会計及び特別会計に係る平成17年度の決算の認定議案6件につきましては、本年9月、決算特別委員会を設置して以来、決算審査の結果を平成19年度の予算に反映させるべく精力的に審議・調査を行ってきたところであります。
以下その経過及び結果について申し上げます。
我が国経済は、長い停滞のトンネルを抜け、着実に回復を続けているとされています。政府の11月の月例経済報告では、2001年1月を底に翌2月から回復過程に入った景気が、連続57ヶ月の拡張となり、戦後最長の景気拡大期だった「いざなぎ景気」の記録を塗り替えられたとされています。
しかし、本県をはじめ地方経済は、必ずしも順調に回復基調にあるとはいえず、その要因の一つに大幅な公共投資の削減があるともいわれています。
一方、財政面に目を向けると、財政健全化に向け、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」が本年7月に閣議決定されました。
同方針においては、これまでの財政健全化努力を継続し、平成23年度には、国・地方の基礎的財政収支を確実に黒字化することを目標に、さらなる財政再建を進めるとされています。
具体には、平成19年度国の予算編成に当たって、歳出改革路線を一層強化し、更なる行政のスリム化、効率化の促進や歳出全般にわたる徹底した見直しを行い、一般会計歳出について厳しく抑制するとされており、地方財政についても、平成19年度予算において国の取り組みと歩調を合わせ、人件費、投資的経費、一般行政経費の各分野にわたり地方歳出を厳しく抑制するとされています。
一方、地方の財政状況は、歳入の柱である地方交付税をはじめ、来年度以降の地方財政対策が極めて不透明であり、その動向によっては、さらなる厳しい財政運営を強いられることも考えられます。
このため、本県の財政見通しは、きわめて厳しく、現状のまま推移すると早ければ平成21年度には基金が底をつき、財政破綻が懸念され、今後さらなる歳出カットが避けられない状況にあります。
こうした中、地方6団体と地方分権推進連盟は、11月27日、「地方分権改革推進全国大会」を開催し、2007年度の地方交付税総額確保などを強く求めるアピールを採択、政府・与党などに要請を行い、厳しい地方財政状況に対応した地方交付税の総額確保を求めたところであります。
さて、平成17年度は、本県行財政運営にとって節目の年でありました。
新たな地方自治の枠組みがスタートした年であり、市町村合併が進み、59市町村から21市町村の体制となり、県と市町村があらたなパートナーシップを構築し、相互に連携しながら地域の活性化に全力をあげて取り組むことになりました。
また、中期財政改革の基本方針に基づく緊縮予算がスタートし、50年ぶりの抜本的な給与制度の改革、1,000人の定員削減計画の着手等がなされました。
さらに、中海・本庄工区堤防開削問題が決着し、中海圏域の発展に向けて一つの大きな課題がクリアされました。その他、宍道湖・中海ラムサール条約登録、石見銀山遺跡の世界遺産登録への推薦が決定されました。
以下、平成17年度における歳入歳出決算について、申し述べます。
まず、一般会計についてであります。歳入総額5,613億円余、歳出総額5,551億円余。翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支は22億円余の黒字でありました。また、12の特別会計を合算した歳入総額1,328億円余、歳出総額1,250億円余、実質収支は77億円余の黒字を計上しております。
今後、歳入では、先ほど申し上げましたように、大変厳しい状況が見込まれることから、引き続き財源確保に最大限の努力を傾注するとともに、県債の管理に十分配慮することを要望します。
歳出では、なお一層の事務事業の見直し、事業の質的改善、補助金の合理化、民間活力の活用など、その時々の行政ニーズに的確に対応しうるスリムで効率的な行財政運営に努めることを要望します。
次に、病院事業会計の決算についてであります。
中央病院については、純損失を8億円余計上し、累積欠損金は119億円余となっております。
湖陵病院については、純利益が3千万円余となり、累積欠損金は16億円余となっております。
病院事業については国の総医療費抑制策が続くなど病院経営を取り巻く環境は依然厳しい状況にあり、引き続き経営の健全化に努めることを要望します。
なお、審査の過程における説明の聴取により、両病院ともに経営健全化計画に基づき経営に努力されていることがうかがえましたが、中央病院については、県の基幹病院として果たすべき役割、機能をふまえ、良質な医療サービスを継続的かつ安定的に提供すべく経営の健全化に努めるとともに、全国的にも、また本県においても産婦人科医をはじめ医師不足が深刻するなど、変化する医療情勢に臨機応変に対応され、本県基幹病院としての役割を果たされるよう要望します。
湖陵病院については、PFIによる新病院開設を契機に県内における精神医療体制が大きく前進することが期待されており、さらなる医療の質の向上に努めるとともに、今後整備に係る経費負担の増加等も想定されることから、引き続き経営基盤の強化に努めることを要望します。
次に、電気事業会計、工業用水道事業会計、水道事業会計及び宅地造成事業会計の決算についてであります。
各事業会計の営業実績は、電気事業は純利益1億円余、工業用水道事業は純損失3千万円余、水道事業は純利益4億円余、宅地造成事業は純損失4百万円余を計上しております。一方で、企業債及び一般会計・電気事業会計からの借入金の未償還残高は、工業用水道事業は約54億円、水道事業は約144億円、宅地造成事業約52億円となっております。
地方公営企業を取り巻く環境は大きく変化している中、平成18年3月には企業局経営計画が策定されております。経費の抑制、低利、安定した資金の調達に向け努力されるとともに、この計画に掲げられている成果・目標の確実な達成に向け、着実な歩みとなるよう毎年度経営の総点検を行うなどにより一層の経営効率化に努めることを要望します。
本委員会におきましては、委員会及び4つの分科会において、平成17年度に係る予算執行が議会の議決の趣旨及び関係法令等の規定に従い、適正かつ効率的に行われたか、施策の効果が十分上がったか、また、今後改善を要する点は何か、などの諸点に視点を置いて、出納長及び関係各部局長から各種の資料の提出を求め、詳細な説明を聴取し、また、監査委員からは、決算審査の意見について説明を聴取したところであります。
その結果、平成17年度決算については、いずれも賛成多数により認定すべきものと決定いたしました。
なお、今後改善すべきものとして指摘した事項は、お手元に配布しております「平成17年度決算における指摘事項」のとおりであります。これらの事項を速やかに改善されるとともに、本委員会の設置の趣旨を踏まえ、審査の結果等を平成19年度の予算に反映されるよう要請し、決算特別委員長報告といたします。
(別紙)
平成17年度決算における指摘事項
(一般会計及び特別会計決算)
1「しまね電子申請サービス」の利用促進について
申請・届出等行政手続のオンライン化については、平成16年10月からサービスを開始し、平成17年度実績で105の手続においてインターネットによる申請・届出等が可能となっている。
しかし、このサービスの利用件数は、17年度までの累計で2,599件であり、投資額2億2,955万円からみると1件当たりのコストは、約8万8千円となっている。また、サービス利用率(総申請件数に占める電子申請の割合)は、17年度実績で6パーセント程度に止まっており、現時点ではシステム導入の目的である住民の利便性の向上が実現されていない。
ついては、その目的を達成するため、電子申請サービスの広報・普及を強化するとともに、利用時の利便性向上や利用した場合のメリットの拡大など積極的に取り組まれ、一層の利用促進を図られたい。
2中小企業近代化資金貸付金にかかる収入未済額の縮減について
中小企業近代化資金貸付金の収入未済額については、平成14度決算からその縮減を図るよう指摘している。平成17年度においては、大型商業施設の民事再生申立て等により、11億9,594万円の多額の新規延滞が発生した。この案件については、既に、新たな商業施設が再開されており、長期にわたるものの債権回収が可能な状況になっている。
本県では、依然として低迷した景気状況が続いており、厳しい財政状況にある中で、収入の確保は重要であることから、今後とも未収実態に応じたきめ細かな対策や徴収体制の強化等を図るとともに、関係機関との連携をより密接にし、収入未済額の縮減に一層努められたい。
また、今後の新たな貸付けにあたっても、十分な事前審査と貸付後の事後指導等を徹底し、延滞の未然防止にも努められたい。
3県営工業団地の分譲促進について
県では、地域産業の振興と雇用の場の拡大による定住促進を図るため、企業誘致を県政の重要な柱と位置づけ、平成15年度から企業振興課企業立地推進室を企業立地課に昇格させ、意志決定の迅速化を図るととともに、フォローアップ専門員配置による誘致企業の状況把握と企業の要望把握、企業立地促進助成金の対象業種拡大などによる幅広い業種の誘致等に努められており、企業誘致数は増加傾向にある。
しかし、平成18年8月末の県営工業団地の分譲率は、40.5パーセント、リースを含めても44.3パーセントにとどまっている状況である。今後とも、経済環境が変化するなか企業ニーズの的確な把握に努めるとともに、団地周辺の環境整備等も積極的に進め、各工業団地の特色、魅力を高め、総合的、戦略的かつ効果的な企業誘致を行い、県営工業団地分譲促進に一層努められたい。
4本県固有の観光資源の活用による観光客の誘客について
本県の観光振興事業は、関係団体等との協力のもとに、全国的な知名度と競争力を有する観光地を創出し、多くの観光客を誘致することを目的に、観光トップブランド創出事業等の事業や、外国人観光客誘致対策事業に取り組んでいる。
平成17年観光客入り込み数は、平成15年対比4.4パーセントの増加となってはいるが、より一層の観光産業の振興に期待が寄せられている。
来年には、石見銀山の世界遺産登録が実現される見込みであるが、地元大田市における体制整備に関係機関とともに協力・支援に努められたい。
また、ふるさと案内人の充実などにより、本県固有の観光資源の一層の活用に努められたい。
5島根県総合計画における農林水産、商工の連携推進によるブランド品目の販路拡大について
本県産品のブランド化の目的は、「しまね県産品ブランド化基本方針」を基に、商品選択の際に同種の産品と比較して競争上有利な地位を築き、有利な販売を実現すること及び、有利販売によって生産・製造者の利益向上をもたらし、生産・販売意欲の向上や後継者の確保、ひいては産業の振興やその地域の活性化等、魅力ある地域づくりにつなげて行くこととしている。
ブランド品目の販路拡大は、島根県総合計画にも位置づけられ、農林水産部、商工労働部の両部共管事業として取り組まれているが、目標値には未達の状況にあることから、今後、更なる両部の連携のもとに、目標値の達成に向けた生産から販売までの体制の整備を進めるとともに、ブランドイメージが確立されつつある品目で、生産量の拡大が可能な品目については、生産振興の一層の促進に努められたい。
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