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2021(R3)年 <  2022(R4)年 年報  > 2023(R5)年
目次 I.概要 II-1.発生状況の解析と評価 II-2.定点把握疾患発生状況 III.検査情報
全数把握 週報(インフルエンザ・小児科・眼科・基幹定点) 月報(STD・基幹定点) 精度評価
印刷用ページ 1.発生状況の解析と評価 発生状況 表5.指数(県) 表6.指数(地区) 表7.地区 表8.月(県) 表9-1.月(東) 表9-2.月(中) 表9-3.月(西) 表9-4.月(隠) 表10.年齢
3)インフルエンザ定点感染症の流行状況
年齢区分割合
 2021/2022年シーズンのインフルエンザは、総数がわずかに22、指数にすると0.00と、史上最少の登録数14を記録した2021年とほぼ同じで、2シーズン連続でまったく流行がみられなかった。  新型コロナによる自粛生活が広く定着したことがその主因と考えられる。2021年に流行しなかったことから、インフルエンザの大流行や新型コロナとのツインデミックを危惧する声があったが、 流行がみられなかったのは幸いであった。
4)小児科定点感染症の発生状況
(1) RSウイルス感染症
 総数1,014、流行指数1.00と、新型コロナ前の平均的な年の登録数であった。コロナ前の多くの年は、流行のピークは秋で、年を越して春先まで流行していたが、2022年は2021年と同じく6月から流行が始まり、 7月がピークで、9月に収束した。コロナによる社会全体の行動パターンの変化がRSの流行にも大きく影響しており、コロナ前の流行パターンは参考にならなくなったと言える。 ハイリスク児へのパリビズマブ(商品名シナジス)投与の時期にも関連するので、今後の流行動向を注意深く見守る必要がある。
流行指数
流行指数
(2) 咽頭結膜熱
 総数167、流行指数0.29と、過去最少記録を更新した。
(3) A群溶連菌咽頭炎
 2022年は総数223件、指数0.11と、過去最少の年となった。小児感染症サーベイランス上数少ない細菌性疾患であるが、自粛効果は本疾患においても顕著であった。
(4) 感染性胃腸炎
 総数4,921、感染指数0.64と、ほぼ2021年と同数であった。2022年の感染症の中では指数0.64は3番目に多かったが、総数4,921は、絶対数としてはもっとも多い感染症であった。 本症の起炎ウイルスに対しては、アルコール消毒が有効ではなく、速やかな吐物や汚物の処理とこまめな手洗いしか感染拡大を防ぐ方法はないが、感染力が強いことを再認識させられた結果である。
(5) 水痘
 総数96、流行指数0.16で、2021年のほぼ半数であった。私のクリニックで経験したもののほとんどは、ワクチン接種後に罹患した軽症例であった。全体での登録数と自院という1クリニックの状況から、 水痘ワクチン定期化の効果は顕著であると考えている。
(6) 手足口病
 総数1,150、流行指数0.88と、2021年の1.5倍の登録数であった。2021年11月から1月までと、6月から11月までの2回流行があったためで、それぞれの流行規模は中くらいのものであった。 全体が少なかったので、RSウイルス感染症以外では少し目立ったものとなった。
(7) 伝染性紅斑
 総数3、流行指数0.01とまったく流行しなかった年であった。
(8) 突発性発しん
 もともと変動が少ない疾患であるが、総数481、流行指数0.68と、過去10年間ではもっとも少ない年であった。しかし、変動の範囲内と考えられる減少幅であった。 本サーベイランスの精度をモニターするために登録されている疾患であるが、その役割は果たしていると考えられる。
月別の報告患者数 月別の報告患者数
月別の報告患者数 眼科定点の報告患者数
流行性角結膜炎の年齢分布 基幹病院定点の報告患者数
(9) ヘルパンギーナ
 総数77件、指数0.17と、流行らしいものがなかった年であった。
(10) 流行性耳下腺炎
 総数は22、流行指数0.05と、2021年とほぼ同数の、まったく流行がみられなかった年であった。本症に関しては、コロナ自粛よりもワクチン接種の普及が大きいと思われ、 今後も大きな流行はみられないと予想される。
5)眼科定点感染症の流行状況
(1) 急性出血性結膜炎
 非常に伝染力の強い結膜炎であるが、2022(R4)年は島根県での発生の報告はなかった。
(2) 流行性角結膜炎
 2022(R4)年は、全県で5件の報告があり、東部2件、中部0件、西部3件であった。過去10年で最も発生数が少なく、新型コロナウイルス感染症対策のためのマスクの着用、 手洗い、手指の消毒などの徹底が、発生数の減少に影響したと思われる。新型コロナウイルス感染症が落ち着きを見せ、マスク着用が個人の判断となったことにより、 今後の感染症発生状況が増加に転じるのか注視したい。
 流行性角結膜炎は感染力が強く、家庭内発症や職場、学校での集団感染を起こしうるので、早期の発見と診断が重要である。感冒症状を伴う結膜充血や眼脂が見られる場合、 アデノウイルス感染症を念頭に置いて、対象患者の発症状況や周辺環境を含め詳細な問診が重要であり、さらなる流行の予防のための丁寧な生活指導、治療が重要であると思われる。
6)基幹定点把握疾患の発生状況
(1) 細菌性髄膜炎
 総数15、流行指数1.97と、過去10年間では多い方であった。本症は、診断の遅れが不幸な転帰につながる代表的な疾患である。 コロナ禍で、発熱疾患に遭遇するとまずはコロナを疑う流れになっているが、本症を絶対に見落とさないよう、強く啓発していく必要があることを改めて思い知らされた。
(2) 無菌性髄膜炎
 総数7、流行指数0.21であった。いわゆるカゼウイルスが原因なので、他のカゼと同様にコロナ自粛によって減少したと考えられる。
(3) マイコプラズマ肺炎
 2022年のマイコプラスマ肺炎の登録は1例のみであった。本症もコロナ自粛で減少したと言える。
(4) クラミジア肺炎
2022年は、報告がなかった。
(5) 感染性胃腸炎(ロタ)
2022年は、1件の報告があった。
島根県感染症情報センター