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2020(R2)年 <  2021(R3)年 年報  > 2022(R4)年
目次 I.概要 II-1.発生状況の解析と評価 II-2.定点把握疾患発生状況 III.検査情報
全数把握 週報(インフルエンザ・小児科・眼科・基幹定点) 月報(STD・基幹定点) 精度評価
印刷用ページ 1.発生状況の解析と評価 発生状況 表5.指数(県) 表6.指数(地区) 表7.地区 表8.月(県) 表9-1.月(東) 表9-2.月(中) 表9-3.月(西) 表9-4.月(隠) 表10.年齢
年齢区分割合
流行指数
流行指数
 2021年の感染症登録総数は、手元に集計がある2006年からでは最も少なかった2020年とほぼ同数、指数にして0.39の少ない年であった。 前年からの新型コロナウイルス感染拡大に対しての自粛の効果が続いているためと考えられる。
3)インフルエンザ定点感染症の流行状況:表5〜10、図1〜4
 2020/2021年シーズンのインフルエンザは、総数がわずかに14件、指数にすると0.00と史上最少の年であった。 新型コロナウイルス感染症による自粛で、国内で県をまたいでの人の交流が極度に制限されたこと、例年日本の冬期のインフルエンザの流行に大きく影響を与えてきたオセアニアで 直近半年間(現地の冬期、日本の夏期)においてまったく流行が見られなかったこと、さらに他の地域も含め外国との交流がほとんど無くなったことが大きな原因と考えられる。 当然といえば当然であるが、インフルエンザを含めた風邪ウイルスは、人が交流することによって流行することを改めて示した年となった。 危惧された新型コロナウイルス感染症とのツインデミックが起こらなかったのは幸いであった。
4)小児科定点感染症の発生状況
(1) RSウイルス感染症
 流行指数が1.76と、2021年では唯一流行が目立った疾患であった。しかも、過去の多くの年は秋に流行していたが、それとは異なり、6月から流行が始まり、9月に収束した。 これは、2020年にまったく流行が見られなかったことから、地域全体での集団免疫が低下しており、そのことが真夏に入る前という本疾患では異例とも考えられる時期での流行となった原因であろう。 新型コロナウイルス感染症による社会全体の行動パターンの変化は、RSウイルス感染症の流行にも大きく影響しており、コロナ前の流行パターンは参考にならなくなったと言える。 今後の流行動向を注意深く見守る必要がある。
(2) 咽頭結膜熱
 総数221(流行指数0.36)と、過去最少を記録した2020年をわずかに上まわる数であった。
(3) A群溶連菌咽頭炎
 2021年は421件、指数0.20と、2006年以降最少の年となった。小児感染症サーベイランス上数少ない細菌性疾患であるが、自粛効果はウイルス性急性感染症と同じであった。
(4) 感染性胃腸炎
 感染指数0.65と、軒並み減少の中では少し目立っていた。総数が5,000件超であったので、個別で見ると報告が1番多い疾患であった。
(5) 水痘
 流行指数0.24で、4年連続でほぼ同数であった。報告例のほとんどは軽症であり、水痘ワクチン定期化の効果が続いていると考えられる。
(6) 手足口病
 全県で759件(流行指数0.47)と、RSウイルス感染症以外ほとんどの感染症が著減した中では小流行を認めた。多かったのは11月から12月で、2022年の年頭まで流行を持ち越した。
(7) 伝染性紅斑
 流行指数0.03と、非流行年であった。
(8) 突発性発しん
 流行指数0.90と過去10年間のほぼ平均で、まったく自粛の影響を認めなかった。流行なく一定数の登録数があるために、 本サーベイランスの精度をモニターするために登録すべき疾患とされているが、そのことを如実に示していると考えられる。
月別の報告患者数 月別の報告患者数
月別の報告患者数 眼科定点の報告患者数
流行性角結膜炎の年齢分布 基幹病院定点の報告患者数
(9) ヘルパンギーナ
 総数466件、指数1.03と、例年並みであった。9月から10月に小流行が見られたためであった。
(10) 流行性耳下腺炎
 総数は20件(流行指数0.04)と、前年と同様の少なさであった。本症に関してはコロナ自粛のためもあるが、ワクチン接種の普及が大きいと思われる。
5)眼科定点感染症の流行状況:表5〜10、図7,8
(1) 急性出血性結膜炎
非常に伝染力の強い結膜炎であるが、2021(R3)年は島根県での発生の報告はなかった。
(2) 流行性角結膜炎
 2021(R3)年は、全県で11件の報告があった。東部9件、中部1件、西部1件であった。2021年は、前年に続き新型コロナウイルス感染症対策のため、マスクの着用、手洗い、手指の消毒などが徹底されており、 結膜炎の発症が少なかったと思われる。東部地区での感染が8月に多く見られ、年齢は60歳以上の感染が多くみられた。学校等での集団感染はなかったと思われる。
 流行性角結膜炎は感染力が強く、家庭内発症や職場、学校での集団感染を起こしうるので、早期の発見と診断が重要である。感冒症状を伴う結膜充血や眼脂が見られる場合、アデノウイルス感染症を念頭に置いて、 対象患者の発症状況や周辺環境を含め詳細な問診が重要であり、さらなる流行の予防のための丁寧な生活指導、治療が重要であると思われる。
6)基幹定点把握疾患の発生状況:表5〜10、図9
(1) 細菌性髄膜炎
 細菌性髄膜炎は総数13件、流行指数1.69と、過去10年間では多い方であった。診断の遅れが不幸な転帰につながる代表的的な疾患であるので、 社会状況がいかに変わろうとも注意を怠ってはいけないことを、2021年のデータは示している。
(2) 無菌性髄膜炎
 無菌性髄膜炎は総数10件、流行指数0.29であった。いわゆるカゼウイルスが原因なので、他のカゼと同様にコロナ自粛によって減少したと考えられる。
(3) マイコプラズマ肺炎
 2021年のマイコプラスマ肺炎の報告数は6件のみであった。本疾患もコロナ自粛で減少したと言える。
(4) クラミジア肺炎
 2021年は報告が無かった。
(5) 感染性胃腸炎(ロタ)
 2021年は報告が無かった。
島根県感染症情報センター