森原下ノ原遺跡で石帯(せきたい)が出土
江津市松川町八神地区で発掘調査中の森原下ノ原遺跡から、石帯(せきたい)が出土しました。
石帯とは、奈良・平安時代において役人が身に着けた、革製ベルトにつける石製の飾りです。石帯は四角形の「巡方(じゅんぽう)」と丸い形をした「丸鞆(まるとも)」があり、今回は丸鞆が出土しました。江津市内では、過去に半田浜西(はんだはまにし)遺跡(二宮町)や波来浜(ならはま)遺跡(後地町)においても石帯が発見されています。
出土した丸鞆には四角形の穴が1つ、小さな丸い穴が7つ開いています。小さな丸い穴は、糸を通してベルトに縫い付けるためのものであると考えられます。
なぜ、江の川のほとりに所在する森原下ノ原遺跡から役人が身に着ける石帯が出土したのでしょうか?
森原下ノ原遺跡の周辺は、「人麻呂渡(ひとまろわた)し」と呼ばれる柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)が江の川を渡ったとされる伝承地があり、古来より渡(わたし)があった可能性があります。このことから、渡を管理するための公的施設があり、そこに役人が駐在していたのではないか…。今回見つかった石帯は1点ですが、様々な想像が膨らんできます。
森原下ノ原遺跡の発掘調査はこれからも続きます。今後の続報にご期待ください。
【画像1】石帯の概略図
【画像2】出土した丸鞆
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