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神話の流れに恵みを求めて

 

斐伊川水道建設事業シリーズ連載−4−

 

宍道湖を横断し島根半島へ

 

水道事業の歴史

  

 島根県における水道事業のはじまりは明治45年にさかのぼります。この年、八束郡野波村(現松江市島根町)沖泊集落で、共同井戸に起因する集団腸チフスが発生し多数の犠牲者が出ました。このため、他の方法での取水が必要となり共同栓2カ所を設置したのが最初の水道事業です。その後、大正3年には松江市に給水人口5万人の本格的公営水道事業が実施されました。

 昭和27年に国の簡易水道施設整備事業に対する補助政策が確立し、同時に県費補助制度が設けられたことを受け、県内各地に水道施設の新設・拡張が図られ、昭和30年度には給水人口16万人・普及率20%となりました。

 昭和32年12月水道法施行、昭和35年広域簡易水道事業に対する補助制度の制定、さらには国の水道施設整備促進計画に呼応して県内でも更なる普及・施設整備促進が図られました。

 島根県水道用水供給事業では、松江市・安来市・東出雲町の水不足を解消するため、昭和44年6月に飯梨川に建設される布部ダムを水源として、1日最大供給量16,000mの水道用水供給を開始しました。

 このように県内での水道事業は確実に進んではきましたが、昭和48年夏に起こった渇水では松江市を中心に県東部で深刻な水不足が生じました。他市町村からの応援給水や自衛隊の給水出動が行われましたが、給水制限は134日に及び市民生活に多大な影響を与えました。また、都市化が進むことにより水需要も増加してきました。

 このことから新たな水源の確保が強く望まれたため、島根県水道用水供給事業では山佐川に建設される山佐ダムを水源とする第1期拡張事業を行い、昭和55年5月から松江市、安来市、東出雲町、八束町(現松江市)へ一日最大52,000m(布部ダム16,000m/日、山佐ダム36,000m/日)の水道用水供給を開始しました。

 しかしながら、現在においても県東部地域は慢性的な水不足に悩まされており、老朽化した簡易水道から上水への転換も求められています。このため、島根県水道用水供給事業では、第2期拡張事業として斐伊川に建設される尾原ダムを水源とし、松江市、出雲市、雲南市、東出雲町へ1日最大35,400mの水道用水を供給するための施設整備を進めています。

 斐伊川水道が完成すれば、飯梨川水道と併せて総量87,400m/日の水道用水が県東部地域に供給されることになります。

島根半島部の水道事業

 

 現在、島根半島の水道事業は、松江市及び出雲市により行われている上水道事業と簡易水道事業があります。この事業により島根半島部で生活される方々へ生活用水が供給されており非常に重要な役割を果たしています。

 しかしながら、簡易水道の水源の中には安定した取水が難しかったり、施設の老朽化が進んでいる箇所があります。将来的に安定した水道用水を供給するためには安定した水源への転換が必要不可欠なのです。

 

宍道湖を横断し島根半島へ

 

 島根県水道用水供給事業第2期拡張事業として現在施設整備を行っている斐伊川水道建設事業では、雲南市加茂町三代に建設を進めている(仮称)三代浄水場で、斐伊川の源流である船通山から流れてくる豊かな資源の一部を取水・浄水し、受水される市や町へ送水します。

 水道用水を送水するためには通り道となる管路を設置しなければなりません。この管路は、総延長108.5kmにもなります。この中には長年簡易水道が主流であり安定した水源への転換が求められている島根半島部へ送水するためのものも含まれています。

 斐伊川で取水した水を島根半島へ送るためには、宍道湖の東側または西側を迂回させるか、宍道湖の中に水道管を設置するしかありません。そこで、以下の3点からルート検討を行いました。

 

 1.合理的な施設配置

 第2調整池に近接した位置に送水管ルートを計画し、調整池への管路延長を最短にする。

 

2.市街地の通過を少なくする

施工時及び維持管理に際して支障となる市街地の通過をなるべく少なくする。

 

 3.経済性

 施工・維持管理を含めたトータルコストが最も経済的となる。

 

 検討の結果、下の図に示すとおり松江市宍道町から松江市大野町まで宍道湖を横断して布設するルートに決定しました。これまでの歴史を振り返っても、おそらく宍道湖の湖内を通って北と南が繋がるといったことは無かったのではないでしょうか。

 平成18年8月26日に、島根半島へ良質で安定した水道用水を供給するための大動脈である宍道湖湖底管が大野町まで到達し、宍道湖の湖南地域と湖北地域がライフラインで結ばれました。

 (※工事の詳細はこちら:宍道湖湖底管布設工事

 島根県企業局では、供用開始に向け現在着々と施設整備を進めています。平成23年度には、水道用水が宍道湖を横断し島根半島へ送り届けられる予定となっています。

斐伊川水道建設事業供給概要図

 


斐伊川水道建設事業シリーズ連載1必要不可欠なライフラインとして

斐伊川水道建設事業シリーズ連載2神話の流れに恵みを求めて

斐伊川水道建設事業シリーズ連載3恵みの源流

 


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