• 背景色 
  • 文字サイズ 

島根県水産技術センター研究報告第3号(2011年3月)

全文(PDF,13,719KB)

(タイトルをクリックするとPDF形式の全文がご覧頂けます。)

 

沿岸漁業の複合経営に関する研究−II(PDF,2,285KB)

−島根半島沿岸域における「いわしすくい網漁業」及び「いわし浮しき網漁業」の操業実態と漁況−

森脇晋平・開内洋・中村初男・小谷孝治・竹森昭夫

(要旨)島根半島沿岸水域における「いわしすくい網漁業」/「いわし浮しき網漁業」の操業実態と主漁獲対象魚種のカタクチイワシ及びウルメイワシ幼魚の漁況を調査した.2008年と2009年との漁況について水温環境及び卵稚仔・幼魚採集調査の結果を対比して事例解析を行った.カタクチイワシ漁況には幼魚期以降の加入量変動が反映されると予想され,地形的条件に誘因される対馬海流の変動がいわし類幼魚の漁場形成と漁況に影響を与えていることが推測された.

島根水技セ研報、No.3、1-13(2011)

 

秋季,日本海南西沿岸水域に流入する低塩分水の1990年代以降の出現特性

(PDF,794KB)

森脇晋平

(要旨)日本海側山口県〜兵庫県沿岸/沖合域に流入してくる低塩分水の量的変動を9〜11月の各月について1990年以降の海洋観測資料に基づいて調査した.秋季の低塩分水の長期的な量的変動を調べたところ,1990年代に比べ2000年代では減少したようにみえる.9月に流入した低塩分水がその後の海水に与える影響は時間の経過とともに少なくなっていくと考えられる.栄養塩が多く含まれると予想される低塩分水と低次生物生産との関係には正相関がみられる事例もあったが,両者の関係を判断することはできなかった.今後さらに検討する必要がある.

島根水技セ研報、No.3、15-19(2011)

 

隠岐島前海域におけるイワガキの天然採苗(PDF,769KB)

寺門弘悦・石橋茂人

(要旨)2004〜2006年にイワガキの天然採苗の実用化を目指して,隠岐島前の4海域においてイワガキの生殖巣指数及び浮遊幼生の出現・付着の状況から採苗器の最適な垂下場所・時期を検討した.その結果,全海域でイワガキ稚貝の付着が確認され,10月中旬〜下旬に垂下した採苗器に最も多く付着した.その付着量は2004年,2006年,2005年の順で多かった.また,付着量と浮遊幼生の出現量には正の相関関係が認められた.生殖巣指数の推移から浮遊幼生の出現時期を正確に予測することは困難であったが,浮遊幼生をモニタリングすることで効率的な天然採苗が可能と考えられた.

島根水技セ研報、No.3、21-27(2011)

 

吉田太輔・常盤茂

(要旨)イワガキ種苗生産における付着稚貝の沖出しサイズ,及び沖出し後の生残率は海域ごとに大きく異なっている.そこで,隠岐・島前海域における最適な沖出しサイズを検証するため,沖出しサイズ別のイワガキ付着稚貝の生残率・成長の調査を行った.その結果,平均殻高1.9±0.3mmサイズで沖出しした稚貝が最も生残率が高く成長も良く,生産コスト面でも比較的安価であったため,沖出しサイズとして最適であると考えられた.

島根水技セ研報、No.3、29-32(2011)

 

マダイ種苗生産におけるほっとけ飼育技術の有効性の検討(PDF,589KB)

−島根県水産技術センター栽培漁業部での事例−

栗田守人・近藤徹郎

(要旨)マダイ種苗生産に関して,従来行ってきた生産方式と併用してほっとけ飼育に準じた生産方式の両方で種苗生産を行い,ほっとけ飼育によるマダイ種苗生産技術導入の有効性を検討した.その結果,ほっとけ飼育は従来型生産方式と比較して生残率や成長に遜色がないこと,健苗性のより優れたマダイ種苗を生産できる可能性があること,および飼育作業の軽減化が見込まれること等が示され,本技術の量産種苗生産現場への積極的な導入は有益であると考えられた.

島根水技セ研報、No.3、33-40(2011)

 

ばいかご漁業におけるエッチュウバイ選別機の開発

(PDF,1,088KB)

向井哲也

(要旨)ばいかご漁業においてエッチュウバイを銘柄別に選別する作業の迅速化を図るために選別機の開発を試みた.開発した選別機は,回転するローラーを並べてふるいとし,ローラーの径を変えることによりエッチュウバイを5段階のサイズに選別することができた.試作機を実際に漁業者に3ヶ月間使用してもらった実証試験では,選別機の使用により人手とほぼ変わらない精度で選別が可能で,かつ人手による選別作業に比べ選別時間は1/3程度に短縮された.試作機は耐久性にも問題は出ず,実用に耐えうるものと考えられた.

島根水技セ研報、No.3、41-46(2011)

 

釣獲されたメダイの鮮度実態と船上における致死方法の検討(PDF,673KB)

岡本満・森脇和也・清川智之・藤川裕司

(要旨)釣で漁獲されるメダイの鮮度保持技術を確立するため,船上における適正な処理方法を検討した.メダイを延髄刺殺と脱血,脊髄切断と脱血,脱血,温度ショック,鰓切断後15分間放置,苦悶死で致死させたところ,苦悶死区の筋肉a*値が他よりも高く,脱血した試験区の筋肉中の出血が他よりも少なかったことから,脱血により筋肉の白さを保つことが出来る事がわかった.しかし,破断強度,K値には,致死条件はほとんど影響しないと思われた.鮮度実態における破断強度とK値の差は,温度管理などの致死条件以外の原因によるものと考えられた.

島根水技セ研報、No.3、47-53(2011)

 

日本海南西部島根県沖で漁獲された魚介類に確認された寄生虫

(PDF,1,927KB)

岡本満

(要旨)島根県では,近年の食品の安全・安心への関心の高まりを背景として,魚介類中の異物に関する相談件数が増えている.これらの事例の多くは寄生虫によるものである.天然魚介類における寄生虫が魚病として甚大な被害をもたらす例は少ないが,安全・安心面での問題として看過できないものがある.また,天然魚介類における寄生虫の事例を記録しておくことは,水産資源学や生態学の面でも意義があると考えられる.本報では,2004年から2009年の間に,島根県沖合域および沿岸域で漁獲された魚介類に確認された寄生虫の13症例を報告する.

島根水技セ研報、No.3、55-68(2011)

 

資料

島根県西部河川におけるアユ産卵場造成について−II

(PDF,4,268KB)

高橋勇夫・寺門弘悦・村山達朗

(要旨)島根県西部の主要河川である,高津川と江の川では,近年の夏季から秋季の少雨傾向と,堰堤による洪水調整ならびに砂利供給量の不足により,下流部のアユ産卵場の環境は年々悪化している.そこで,2008年に引き続いて両河川におけるアユ産卵場の機能回復を「造成」によって行い,さらにそこでの産卵状態を検証した.高津川では3箇所7,170m2,江の川で1箇所3,660m2を造成し,うち産卵面積の割合は高津川で65%,江の川で50%であった.また,造成した産卵場のうち高津川の長田の瀬以外は10cm以上の埋没深があり「効果有り」と判断できた.

島根水技セ研報、No.3、69-84(2011)

 

漁獲管理情報処理システムの改良(PDF,841KB)

向井哲也・村山達朗・林博文・向井雅俊

(要旨)平成18年に実施された島根県内の漁業協同組合の合併に伴い,漁獲量管理を目的に平成10年に作成した「漁獲管理情報処理システム」について改良を実施した.従来のシステムの基本設計は変更せず,合併に伴い統一された販売データ形式に併せたツールを作成することで従来のデータとの継続性を保った.改良によって全県の漁獲量の把握が可能になり,また集計にかかる作業量と保守にかかるコストと労力が大幅に軽減された.

島根水技セ研報、No.3、85-90(2011)

 

LANによる情報共有システムの開発(PDF,1,811KB)

向井哲也・若林英人・村山達朗・林博文・向井雅俊

(要旨)県水産部局内での情報共有を目的に,LANを利用した情報共有システムの開発を行った.システムは各種データを各機関から入力し,イントラネットのホームページで水産部局内に公開する仕組みとした.情報共有するデータとして取り上げたのは(1)県民等から寄せられた質問とそれに対する回答,(2)デジタルカメラで撮影した画像データ,(3)報告書や復命などの文書データ,(4)水産関連の新聞記事見出し内容,(5)水温情報である.

島根水技セ研報、No.3、91-97(2011)

 

(寄稿)宍道湖・中海水域の水産業振興に向けた調査研究等の課題

(PDF,487KB)

石飛裕・平塚純一・桑原弘道

(要旨)宍道湖・中海水系における重要水産資源生物の調査研究に関する諸課題を,最近の構築物撤去等に伴う水理・流動環境の変化及び将来的に予想される水環境・生態系変化と関連づけてレビューし,今後の水産業振興に向けた調査研究等のあり方について課題をとりまとめた.

島根水技セ研報、No.3、99-110(2011)

 


お問い合わせ先

水産技術センター

島根県水産技術センター(代表)
〒697-0051 浜田市瀬戸ヶ島町 25-1
TEL.0855-22-1720 FAX.0855-23-2079 E-Mail: suigi@pref.shimane.lg.jp