宍道湖・中海の湖底貧酸素化現象について
事例−2中海本庄水域における魚類へい死
平成14年8月20日に中海本庄水域北東部の江島〜森山堤防にかけての沿岸部で魚類が大量にへい死しました。へい死魚の多くはマハゼなどのハゼ類で、その他マゴチ、クロソイ、スズキ(セイゴ)、アカエイ、イシガレイ、エビ類等がへい死しました。現場では岸に寄り集まるようにして鼻上げをするハゼ類も多く見られ、溶存酸素量が浅場でも1.0mg/l未満しかなく、魚類へい死の原因は明らかに酸素欠乏と考えられました。
現場の江島〜森山堤防にかけては、貧酸素水の這い上がり時に特徴的に見られる苦潮や青潮と呼ばれる現象が見られました。
図21本庄水域で起こったへい死事例
当時、本庄水域は湖底の貧酸素化が観測され、前々日から連続して強い北東風が吹いていました。この強い風により本庄水域の上層水が南西方向に吹き寄せられて、底層の貧酸素水が北東部沿岸に"這い上がり"を起こして岸に押し寄せ、貧酸素水から逃避行動をとっていた魚類も岸に追いつめられて逃げ場を失い酸欠死したものと考えられます。
これ以外にも宍道湖・中海では規模の大小はありますが、ほぼ毎年のように貧酸素水が原因の魚介類のへい死が起こっています。
※ただし、宍道湖で例年6〜7月に見られるコノシロのへい死については、貧酸素水が原因ではなく、産卵後魚体が弱ることによるものと考えられています。
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