しまねの集落営農の歩み
全国的に過疎化・高齢化が進み、島根県でも農業の担い手不足や耕作放棄地の増加が大きな問題となっています。そのような状況の中で島根県は、島根農業振興対策事業、いわゆる新島根方式(昭和50年-63年)をスタートさせ、その後、ふるさと農業活性化事業(平成元年-5年)、中山間地域集落営農推進事業(平成3年-5年)、しまね地域農業活性化特別対策事業(平成6年-8年)、ハツラツ集落・農村づくり事業(平成8年-)、がんばる島根農林総合事業(平成10年-)へと引き継ぎ、集落を単位とする農業生産体制「集落営農」の確立を積極的に支援してきました。
その結果、一集落、あるいは数集落を一つの単位として、集落ぐるみで土地・機械・施設・労働力の有効活用、高収益作物の導入や担い手の育成等を目指した「集落営農」が数多く誕生しました。平成29年3月末現在で、626の集落営農組織が県内各地で活動しています。
そして平成19年からは、「農地の維持」はもとより、女性や高齢者を活用した「地域経済の維持」、生活支援や福祉、環境保全などの「生活の維持」、雇用機会の創出による「人材の維持」など、多様な役割を果たす集落営農を「地域貢献型集落営農」として評価し、地域の重要な担い手としてその育成・確保を図っています。
また、平成29年からは、「集落営農体制強化スピードアップ事業」として、広域連携組織の設立や集落営農組織の法人化、経営の多角化等を支援し、組織の更なるステップアップを支援することで、地域を面的に守る体制づくりを支援し、担い手不在地域の解消に努めています。
地域貢献型集落営農とは?
平成20年からは、「農地の維持」だけでなく、女性や高齢者を活用した「地域経済の維持」、生活支援や福祉、環境保全などの「生活の維持」、雇用機会の創出による「人材の維持」など、多様な役割を果たす集落営農を「地域貢献型集落営農」として評価し、地域の重要な担い手としてその育成・確保を図ってきました。
- 地域貢献型集落営農の定義
農業生産活動による農地の維持を含め、地域の経済維持、生活の維持、人材の維持に貢献する地域公益的な集落営農組織
- 農業振興と地域振興を両面から推進する施策を県単事業として実施
H20-22地域貢献型集落営農確保・育成事業
H23-25地域貢献型集落営農ステップアップ事業
H26-28地域貢献型集落営農連携・強化支援事業
- 取り組み事例
1.女性・高齢者の活躍の場づくり
例)水稲育苗ハウスを利用した野菜栽培、加工
2.耕作放棄地の発生防止
例)放牧牛の導入
3.集落内の生活の助け合い
例)除雪、生活必需品の供給
4.集落のコミュニティづくり、賑わいの復活
例)お祭りの復活、地域伝統文化の継承
5.集落に人を呼び込むこと
例)都市農村交流、UIターン向けトレーラーハウス・空き屋整備
- 地域貢献施策の効果
1.多様な人材の確保・育成
女性や後継者、高齢者等、水稲栽培のみの場合には活躍の場がなかったメンバーの参加が可能になった。
2.地域内経済の好循環
これまで地域外に流出していたお金を地域内で回すことが可能になった。
3.地域・組織の活性化
集落行事や地域活動が活発になり、集落に対する愛着・誇りが高まった。
マンネリからの脱却につながった。
事業実施前と比較して、上記のような効果がありました。
集落営農関連事業の推移
年度 |
事業名 |
内容 |
---|---|---|
S50ー63 |
島根農業振興対策事業 (新島根方式) |
集落での話し合いによる機械・施設の共同利用基盤整備等、生産の効率化、生活環境等の整備を支援 ●集落営農を担い手と位置づける ●生産性の向上と併せ自治機能の強化を目指した ●行政主導ではなく、農家主導。農業と農村振興を一体的に推進 |
H元ー8 |
ふるさと農業活性化事業 |
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H5ー8 |
中山間地域集落営農推進事業 |
集落営農を目指す中山間集落へ機械施設整備支援 |
H6ー11 |
しまね地域農業活性化特別対策事業 |
認定農業者、集落営農、市町村公社等への施設機械整備支援 |
H12ー16 |
【国】中山間直接支払制度1期対策 |
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H10ー16 |
がんばる島根農林総合事業 (集落活動支援事業、生産振興事業) |
認定農業者、集落営農、市町村公社等への施設機械整備支援 |
H17ー21 |
【国】中山間直接支払制度2期対策 |
|
H18ー19 |
しまね型経営体育成事業 |
特定農業団体の設立を支援 |
H16ー18 |
いきいき集落営農推進事業 |
特定農業法人への農地集積、ハード支援 米政策改革大綱に呼応し法人化を支援 |
H19ー |
【国】品目横断的経営安定対策、【国】農地・水・環境保全向上対策 |
|
H20ー22 |
地域貢献型集落営農確保・育成事業 |
農業分野のみならず幅広く集落機能の維持・活性化に貢献する集落営農の活動を支援 |
H20ー22 |
経営発展型担い手確保・育成事業 |
集落営農法人、特定農業団体等の規模拡大・経営多角化の支援 |
H22ー26 |
【国】戸別所得補償モデル対策、【国】中山間直接支払制度3期対策 |
|
H23ー25 |
地域貢献型集落営農ステップアップ事業 |
集落機能の維持・活性化に貢献する集落営農の新規設立、近隣集落のサポート活動、人材育成・確保を支援 |
H26ー28 |
地域貢献型集落営農連携・強化支援事業 |
集落機能の維持・活性化に貢献する集落営農の新規設立、法人化へのハード支援、近隣集落のサポート活動、人材育成・確保、広域連携組織設立を支援 |
H29ー | 集落営農体制強化スピードアップ事業 | 広域連携組織の設立と集落営農組織の法人化を同時に推進。ナリワイづくりの発想に基づいた多角化等を支援。広域連携コーディネーターの配置。多業化実践者育成コースをしまねアグリビジネス実践スクールに設置。 |
お問い合わせ先
農業経営課
〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 島根県農林水産部農業経営課 Tel:0852-22-5139 Fax:0852-22-5968 nogyo-keiei@pref.shimane.lg.jp