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第53回島根県小学校長会研究大会江津大会(10月10日)教育長祝辞

 おはようございます。一昨日、8日の夜、突発的に水産高校の練習船「わかしまね丸」が沈没するという、非常にショッキングな事件がありました。私は邑南町で泊まって昨日の公民館の研修大会に備えていましたところ、一報が入りましたので急遽、夜に松江まで帰ったわけでありますが、幸いにも、人命に支障はありませんでした。子どもたちの生命も、あるいは相手の船員の皆さんにも影響がなかったというのは、不幸中の幸いであったと思っています。もしも、さらなる惨事がありますれば、今日こうして皆様方の前に立つことができなかったわけでありまして、不幸中の幸いでよかったなと思いながら話をしたいと思います。

 さて、県の教育長も任期制でありまして、私の4年の任期も今年で3年目になり、「起承転結」でいいますと、「転」の年になります。さらにその「転」の年も半分が終わったところでありまして、残任期間は、あと1年半ということになったわけであります。

 少し、私なりに、教育長としての今までを振り返りまして、また今後どういうふうなことを考えてやっていきたいかということについて、話をさせていただきたいと思います。来賓の挨拶にはふさわしくないかもしれませんが、いつものことだと思って聞いてください。

 就任早々に、キャッチフレーズとして、マスコミなどの取材に対しまして申しましたことは、「明るく伸び伸びとした活力のある教育委員会、あるいは学校を作っていきたい」と申しました。もちろんその時点でも、様々な教育課題があるということは承知をしていましたが、県庁の行政マンとしてやってきた中での、私なりの島根県の振興論であり、あるいは県庁の組織論として、そういうふうに思いながらやってきましたので、教育に当たっても同じように、それぞれの組織が、明るくのびのびとした活力のある展開をしてほしいと思い、そのように申したわけであります。県庁が、あるいは市役所が元気がないと、そんな組織では、地域の皆さんに元気を出そうといっても、その言葉はむなしくしか聞こえない、語るもの自身が元気を出してやっていこう、パワーを示さないかんと感じながらやってきたところです。

 それと同時に、知育・徳育・体育の3本柱は、まさしく正しい柱立てであるけれども、それらのさらに基礎となるところに、「心の教育、心の豊かさというものを子どもたちに養っていくような教育を行っていきたい」と申しました。

 2年目は、それをスローガンとして、「感性を磨けば人生が楽しくなる。知性を高めれば人生が豊かになる」という対句のような形で、皆さん方とこのような教育を進めていこうと語ってまいりました。そして、そのための活動としては、「スピードとパワー」が必要だと。パワーということはすぐに分かることでありますが、今日のこの時代というのは、もう一つ、物事をスピード感を持って行うことが必要だと思っております。そういうことで、スピードとパワーということを申したところであります。

 そして、今年度、それに加えまして、「もう一度、基礎・基本、原理原則を見つめ直したところの教育の展開を行っていこう」と提唱してきたところです。様々な教育課題は、それぞれが単独で起きているというよりも、複合的にして重層的であるということから考えますと、それぞれに対しての的を射た対策とともに、総合的な対策が必要であるということを申しているところであります。

 今回、教育ビジョンの改正にあたりましては、今、申し上げた点をポイントにしながら、できるだけ簡潔に、分かりやすく、焦点が明確になるようなビジョンになるよう心がけたつもりであります。総花的に、あれもこれもあれもこれもという形に書いても、結果的には、メッセージとして期待するものはできないと思います。そのビジョンの中で、特に新たに入れましたのは、子どもたちの生活習慣についてであります。学力の問題、体力の問題、あるいは規範性の問題など様々な問題については、基礎・基本・原点の問題として、生活習慣というものを正していくことが、総合的な対策の一つであると強調いたしたところであります。そういうような認識の中で、現在、皆様には、それぞれの現場で、日夜四六時中、頑張っていただいているところですが、残念ながら現在の閉塞状況を打開するには至っていない。しかしながら学力の問題にしても少し改善の兆しが見えてきている。あるいは生活習慣や食育の認識についても、それぞれの現場で取組が深まりつつある。家庭、地域との三位一体での教育の展開についても、各地域において尽力いただいていると思っています。今後の今年、来年の私の務めといたしましては、そうしたビジョンに掲げました目標を全力で進めていくこと、目標に向かって努力していくことが必要であると思っています。

 さらにスローガン的に付け加えますと、「良いことはすぐに学ぼう。まねをしようよ」というふうに思っています。とかく良い情報を入手しても、それが直ちに行動に移されていないというきらいがあると感じています。もちろん、新しいことを取り入れようと思いますと、全体のフレームをどうするかという整理は必要であることは分かりますが、まずもって、これはよいことだ、うまくやっているということについては、すぐにまねをするということを実践してみてはどうかと思っています。「学ぶ」ということは「まねる」ことと語源としては一緒であると言われます。職人の技というのは、まさしくまねていくところから自らの技を極めていくということであります。教育もまねることからのスタートであります。子どもたちに、まねをしよう、やってみようという、教育を施す我々も、まねをしよう、実行しようということでやっていこうと思っています。

 去年の全国高校文化祭、もう一年前のことになりましたが、各会場を回って感じましたことは、日本の教育、あるいは島根の教育は決して捨てたもんではないと。様々な批判と言いますか、現象について、とかく問題の部分だけが報道されますが、各現場の皆さんの頑張りで、島根県の教育、日本の教育は、概ね全体としては健全な教育がなされている。あるいは子どもたちが育っているという認識でものを考えていくべきだと思ったところです。「捨てたものではない」という表現をしたら、ある方から、「公職にあるものが捨てたものではないという表現をするとは何事だ」というそしりを受けましたけれども、言葉の表現としましては、「再生会議の議論にあるような教育についての非常に低い評価があるが、そうではない。捨てたもんじゃないですよ」という気持ちで使ったわけです。

 これからも皆さん方と一緒に精一杯頑張っていきたいと思っております。どうかよろしくお願いします。

 本日のこの大会が盛会裡に終わりますことを期待しております。

 

 


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