平成19年度島根県小学校長会理事会あいさつ
当日は時間の制約から、全国高等学校総合文化祭が成功裡に終わり、感動したこと。教育について、とかく陰の部分ばかりが報道されるが、今回のような陽の部分にも光を当てたうえで教育議論をすべきこと。はつらつとした発表や管理運営にかかわる高校生の姿を見るにつけて、まだまだ日本の教育は捨てたものではないこと。それを支えているのは現場での教師であること。などを話しました。そのうえであらためて情報を共有しながら的をしぼった対策と総合対策の両面から諸課題に対応していくことをお話ししました。
以下、文案をお読みください。
残暑の中、皆様御自愛ください。
本日、ご参集の皆様方におかれましては、日頃から学校運営の責任者として、また、指導者の一人として、小学校教育の充実・発展のため、多大なご尽力をいただいており、そのご労苦に対しまして、心から感謝申し上げますとともに、深く敬意を表します。
今日の教育課題は、我が国の社会が陥ってしまった社会状況に負うところが大であると考えております。戦後の経済的な発展は、ものの豊かさを実現しましたが、過度な市場原理主義や効率主義、自分さえよければといった風潮が蔓延し、地域や個人間の格差が広がっております。こうした社会を象徴するかのように、食品の偽造や偽装事件、少年が被害者や加害者になる犯罪が多発するなど、様々な社会病理現象を抱え込むこととなりました。こうした社会状況は、子どもたちの安全に直接関わるとともに、心身の発達等に重大な影響を与え、その結果、いじめや不登校、学力低下など、子どもたちをめぐる種々の課題が起こっております。
こうした課題は、一つ一つが個々の原因と結果によって生じていると言うよりも、むしろ複雑に絡み合い、複合的・重層的に生起しているととらえるべきでありまして、対処療法的な的を絞った対応を強化すると同時に、もっとラジカル(根元的・先鋭的)で総合的な取組が必要であります。
もとより、学校教育の役割は、教育を受ける者の発達段階に応じて知育・徳育・体育の調和のとれた教育を行うことにより、人格の完成をめざしております。この人格形成の初期段階において、ふるさと教育を通じて、島根の豊かな自然や歴史、文化、産業などを体感し、子どもたちに学ぶ喜びを感じさせ、感性豊かな人間性を育み、ふるさとを愛し、地域に貢献する心を養うことは、教育の根元的な役割を担う取組と考え推進してきました。
また、生活習慣の改善や食育の推進は、新しく教育庁内に設置しました「健康づくり推進室」を中心に、子どもだけでなく、家庭も対象にした県民運動として展開をしております。
さらに、学力向上プロジェクトによる「確かな学力」の育成や、いじめや不登校等に対応するための生徒指導専任主事の増員など、個々の問題に対しても、積極的に取組を進めてきました。
困難な問題を解決するためには、エネルギーとスピードをもって事に当たることが必要であります。このことから、本年8月には、しまね教育レシピ集「みんなで育てる島根の宝〜信頼と絆の共育リレー」を作成し、やがて、各学校や公民館等の社会教育施設に配布することになっております。このレシピ集は、学校、家庭、地域が一体となり、県民の総力で、地域の宝である子どもを育てる環境づくりのきっかけになることを期待して作成したものです。各小学校においても、ぜひ積極的な活用をお願いしたいと思います。
このように、「ふるさと教育」をはじめとして、今、学校と地域社会、また、家庭とが連携し、学校の活性化を図りながら児童生徒の「生きる力」の育成をめざした様々な事業を展開しているところであります。校長会の皆様方とも連携を図りながら、これらの事業が円滑に推進されることを願っております。
昨年から今年にかけて、教育基本法をはじめ教育に関する重要な法令が次々に改正されました。こうした教育の大きな改革期に当たり、皆様方お一人お一人の豊かな経験と識見に基づく教育理念の下に、教職員の資質向上にご尽力いただくとともに、学校や地域社会のリーダーとして、存分にその手腕を発揮されることを、心から期待しております。
終わりになりましたが、小学校長会の益々のご発展と、本日お集まりの皆様方の一層の御活躍を祈念いたしまして、挨拶といたします。
(平成十九年度島根県小学校長会理事会開会式教育長あいさつ)
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