学校運営について
(臨時県立学校校長・事務長会議教育長訓辞)
本日は相次ぐ刑事事件の発覚により臨時召集しこのような会議を開催することは極めて遺憾。
痛恨の限り。犯罪行為が起こされたことに加えて自主点検では確認できなかった。すなわち自浄
作用が機能しなかった。
川本・浜田水産の事件はいずれも長年にわたって反復・継続的に行われていた。
学校は教員、事務室とも高学歴な職員による高度な教育や事務処理に携わる現場である。こ
うした知的集団でありながら未然防止も発見もできなかった。教育全職員がこの危機をひとりひ
とり深刻に受け止める必要がある。でなければ、いかなる教育上の言葉も生徒達、保護者に対
してパワーを持たない、メッセージ力のない空言にすぎなくなる。
今回の事件が起こされたことについて、H17年に通知したマニュアルの不備を指摘する声もある。
更なる徹底した、あいまいさのない改正を必要としているのであれば、厳格化をせざるをえない。
私は、もともと管理統制型の組織管理、運営は好むところではない。できるだけ、現場を尊重して
いきたいと就任以来語ってきた。未履修の処理にあたってもそうした。
様々な教育課題が次から次へと増大していく中にあって現場が多忙、多忙感で息苦しくなっている。
重荷を背負い、肩がパンパンに張っていることも承知している。これをときほぐす、少なくとも心理的
負担を軽減することが必要だ。明るく伸び伸びした学校運営が目標だ。
事件は私が就任する以前、浜田に至っては15〜6年も前からのこととはいえ、こういう事件が続
発する状況にあっては、組織管理が甘いのではと指摘されてもしかたがない。県内の様々な職場の
中にあっても、教養ある人間が集まった、知的業務を行う組織においての失態である。
私や教育監などが発する言葉は現場のひとりひとりの教職員まで果たして届いているのか?今回
の案件に限らず県民の教育に対する信頼は、学力、体力、徳性、社会規範意識等様々な面でゆら
いでいる。
情報の受信力を高め、組織としてひとつひとつの課題に的確に対応すると同時に、問題は複合的・
重層的に生起していると把えるべきことから総合的な対策が必要だと説いてきた。
現場を信頼する中にあってこそ教育向上は進むと信じていると明言してきた。教育委員会のホーム
ページの「両鏡相照」ではこうした発言をオープンにしてきた。今もこの考えに変わりはない。しかし、
残念なことにこうした臨時の会合において、あらためて綱紀粛正を指示することは本意とするところで
はない。
どうか、現場を信頼し、現場を励ますことこそが教育改革につながるとの考えを変更させないで欲しい。
すべての教職員ひとりひとりが教育者としての自覚を今一度高め、高い志と高潔な行動により、生徒、
保護者、県民と全人格的に向き合い、県民の信頼を回復し、高めるよう努めて欲しい。
このことを全職員に徹底して欲しい。
そして、必ずやると、必ずできると強い決意を持って欲しい。
本日、校長、事務長の両者に出席を求めたのは意味があってのことである。学校運営に当たっての
校長・教頭と事務長の責任と責務について、学校ごとに違いはあるが、必ずしも理想形で機能してい
ないことが指摘されている。
こうした点についても、この機会に明確化を図り、より機動的、機能的、効率的な組織運営が図られ
るよう改善していきたい。勿論、この改善に当たっては現場の実態をよく把握し、協議しながら実施し
ていく。
川本の事件では校長の事務長に対する監督のあり方が問われた。いうまでもなく、最終的な学校運
営の責任は校長にあるとはいえ、行政のプロとして永年禄をはんできた管理職である事務長が犯罪を
犯すリスクを有しているとの疑心暗鬼で人事管理しろと私は言いたくない。
今回の両事件、犯罪は特異な職員によるものだと思いたい。そして、組織の不祥事というより組織に
属する職員の起こした事案だと整理したい。
しかし、事務処理に甘さがあり、それを許してしまったことを現場も、そして私も、教育委員会も厳しく
受け止め反省しなければならない。
最後に今一度申し上げる。
「羮(アツモノ)に懲りて膾(ナマス)を吹く」という故事があるが、今回のことで現場をガンジガラメにはしな
いつもりでいる。
しかしながら、一定のマニュアル改正により今以上の事務処理の分業化、責任の明確化は求めて
いかざるをえないこと、経理事務に限らず、教育職員として公私全般にわたり、厳しく自らの身を律す
ることを求めることを申し上げる。どうかよろしくお願いする。
平成20年6月25日
島根県教育委員会教育長藤原義光
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島根県教育委員会
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