教育長メッセージ:令和元年度県立学校長・事務長会議
5月に元号が改まり、「令和」の新たな時代がスタートしました。令和元年度も半ばを過ぎましたが、教育を取り巻く環境は、平成の時代に引き続き、大きなうねりをもって変動しているように思います。また、「教育」に対する県民の皆様の期待も、日々高まっていると感じます。私たち教育に携わる職員には、時代の変化に対応した新たな施策に果敢に取り組みながらも、これまで培ってきた島根の教育の良さを継承し、発展させていくという、大変重い使命が課せられているという自覚を皆さんと共有していきたいと考えています。
このような大きな変化の時代の中にあっても、今年度前半を振り返りますと、島根の子どもたちの、これまでと変わらぬ活躍が見られました。
夏のインターハイでは、陸上競技やボート、カヌーなどでの入賞、同じ時期に行われた全国定時制通信制陸上競技大会では、宍道高校の生徒が3000m障害で見事1位の活躍を見せてくれました。また、全国高等学校総合文化祭においては、自然科学部門で出雲高校の生徒が文部科学大臣賞に輝き、放送部門や演劇部門などで好成績が見られました。
そして、先週土曜日にくにびきメッセで行われた、「食の縁結び甲子園全国大会」では、出雲農林高校と松江養護学校の2校が島根県代表として出場し、全国各ブロックから選ばれた代表校とともに調理の腕を競いました。昨年度の松江養護学校に続き、今回は、出雲農林高校が見事、優勝を勝ち取りました。この大会には、大会ボランティアをはじめ、県内各校からたくさんの子どもたちが参加し、全国から来県した出場者に「おもてなし」の心をもって、大会全体を盛り上げてくれました。このような子どもたちの活躍を大変頼もしく感じましたし、主催者側として各学校のご協力に改めて感謝申し上げます。
このような子どもたちの活躍を目の当たりにし、県教育委員会としても各学校の教育活動をより一層支援していく決意を新たにしたところです。
本日は、今後取り組んでいく各種施策について、県立学校長・事務長の皆様に、3点、お話しをしたいと思います。
まず1点目は、「教育の魅力化」についてです。
これまで中山間地域・離島の高校を中心に進められてきた「教育の魅力化」は、学校の教育課程を地域に開くことによって得られた多様性や協働性が、主体的・対話的な学びを生み、さらにそれらの学校や生徒の姿が「地域の魅力」にもつながるという好循環を生み出しています。
これらのいわば「島根モデル」を基盤に、今年度から文部科学省においても「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」がスタートしました。島根県では全国最多の3校が採択され、各校で活発に事業が展開されているところです。この事業については全国でも要望が多く、来年度の概算要求を見ますと、更に拡充する内容となっています。
また、県立高校に県外から入学する「しまね留学」も過去最多の195名となり、この10年で約3.5倍に増加しました。この取組による多様な価値観との出会いや視野の広がり、交流の拡大、地域の魅力の再発見などの教育効果が全国に認知され、「地域留学」に関する事業が内閣府でも計画される動きとなっています。
県教育委員会では、全国に魁けて県内で取り組まれてきた「教育の魅力化」を、市部も含めた全ての高校で展開し、生徒一人一人に、自らの人生と地域や社会の未来を切り拓くために必要となる「生きる力」を育むため、県立学校と地域社会がその目標を共有し、さらには、保・幼・小・中学校・県内大学とも連携しながら、豊かな地域資源を活かして魅力ある学校づくりを進めていくための支援を更に行っていきたいと考えています。
2点目は、「特別支援教育の推進」についてです。
障がいのある生徒への合理的配慮の提供については、「島根県立学校における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」に基づき、各学校で丁寧な対応を進めていただいているところです。その一方で、過重な負担の判断について、苦慮しておられるケースもあると聞いています。
県立高校においては、今後も障がいのある生徒の入学が想定されます。高校への入学を検討される本人や保護者に対し、まずはじっくりと相談に応じるという姿勢で対応していただきたいと思います。各学校の体制を支援するため、ネットワーク構築事業として4つの圏域で推進教員を1名指名し、コーディネーターの研修会を実施しています。来年度は隠岐圏域でも実施する予定です。また、特別支援教育課に設置した相談窓口への相談や特別支援学校のセンター的機能の活用など、積極的に利用・相談していただきたいと思います。
また、高校における通級による指導については、邇摩高校、松江農林高校、宍道高校に加え、来年度から三刀屋高校掛合分校で実施していただきます。さらに、来年度から、難聴のある生徒を対象とした通級による指導を、全ての高校を対象に実施する方向で検討しているところです。高校と特別支援学校との更なる連携に期待するものです。
今後も、障がいのある生徒が県立高校で生き生きと学ぶことができるよう、学校全体で特別支援教育を推進していただきますようお願いします。
3点目は、「教職員の働き方改革と健康管理」についてです。
県教育委員会では、今年3月に「教職員の働き方改革プラン」を策定し、各学校には、教職員の長時間勤務是正に向けた取組をお願いしているところです。日頃から各学校の先生方には、きめ細かな学習指導や生徒一人一人の個性に応じた生活指導など、多岐にわたる教育活動に熱心に取り組んでいただいておりますが、一方で、先生方が子どもたちと向き合う時間を確保し、心身ともに健康でいられるためには、各学校における業務改善の取組が不可欠となっています。
県教育委員会では、各学校の先生方が本来の業務に一層専念できるよう、昨年度から「業務アシスタント」の配置を行っており、今年度は配置人数を拡充したところです。現場の先生方の意見をうかがいますと、8割を超える教職員の方が「多忙・多忙感の解消に役立っている」と感じられており、配置の効果が少しずつ表れてきていると受け止めています。また、今年度からは「部活動指導員」の配置も始まり、部活動指導にかかる負担が軽減されるよう取組を進めているところです。いずれについても、未だ十分な配置数には至っていない現状もありますので、県教育委員会といたしましては、来年度以降の配置拡充に向けた検討を進め、教職員の働き方改革が一層進むよう支援を進めていきたいと考えています。
県立学校長・事務長の皆様には、このような教員以外の人材の効果的な活用を進めながら「チームとしての学校」の取組をより一層進めていただきますようお願いします。合わせて、教職員の健康管理にも十分に留意いただき、定期健康診断後の精密検査受診の働きかけなど、所属の教職員の心身の健康保持に努めていただきますようお願いします。
以上、今後取り組むべき主な課題について、3点述べさせていただきました。
最後になりますが、現在、島根県総合教育審議会では、次期教育ビジョンの策定に向けて、熱心にご議論をいただいています。新学習指導要領が順次実施される中、島根が目指すべき教育の実現に向けてはなお取り組むべき課題が多く、学校現場と教育委員会が一体となって対応していくことが、今後益々必要となってきます。
皆様には健康にも十分に留意いただき、引き続き各学校における教育活動の推進にリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
島根の子どもたちの明るい未来のために、皆様と知恵を出し合いながら取り組んでいきたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いします。
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