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教育長メッセージ:令和3年度第1回県立学校長・事務長会議

 学校長、事務長の皆様には、学校運営の責任者として、日々ご尽力いただいておりますことに感謝申し上げます。

 令和3年度がスタートしましたが、昨年から続く、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策では、学校長、事務長の皆様のみならず全ての教職員の皆様に大変なお力添えをいただいておりますことに、深く感謝申し上げます。

 2月には、我が国でもワクチン接種が始まりましたが、全国各地で感染の拡大や変異株の確認、クラスターの発生など、予断を許さない状況が続いています。未だかつて経験したことのない、先の見通せない環境の中で、「子どもたちの学び」をどうやって保障するのかという課題が突きつけられています。教育の場においても、これまで当然のことと考えられていた認識や価値観を問い直すことが求められているように思います。

 長引くコロナ禍で、人とのつながりや働き方の形態が大きく変化しつつある今、子どもたちの学びそのものも大きな転換期を迎えています。健やかな学びを保障する新しい学習様式・活動様式を構築・実践していくことが喫緊の課題であり、県教育委員会といたしましては、皆様との連携を一層強めながら、必要な教育施策を一つ一つ着実に進め、各学校にとってより良い教育環境が整うよう、支援していきたいと考えています。

 

 本日は、このような情勢にある令和3年度の始まりにあたり、県教育委員会として進めていく施策の考え方と具体的な取組について、5点、お話したいと思います。

 

 まず一点目は、「しまねの学力育成推進プラン」についてです。

 県教育委員会では、令和2年3月に、「ふるさと島根を学びの原点に未来にはばたく心豊かな人づくり」を基本理念とする「しまね教育魅力化ビジョン」を策定しました。この教育ビジョンにおいては、育成したい人間像を、「自ら課題や展望を見いだし、粘り強く挑戦し学ぶ人」、「人とのかかわりやつながりを大切にし、新たな社会を創造する人」、「自然や文化を愛し、自他を共に大切にする優しく強い人」と定めました。

 このうち、「自ら課題や展望を見いだし、粘り強く挑戦し学ぶ人」は、学力を育む観点からの人間像であり、子どもたちが受け身の学習ではなく、自ら目標をもって、難しい課題に粘り強く取り組んだり、誰も取り組もうとしない課題に挑戦したりする「学びの開拓者」であってほしいとの考えによるものです。この度、策定した「しまねの学力育成推進プラン」は、県内の公立学校の現状等を踏まえ、指導や授業の充実に向けて、この「自ら課題や展望を見いだし、粘り強く挑戦し学ぶ人づくり」を具体的に推進するためのプランと位置づけています。

 このプランの柱としては、「授業の質の充実」、「家庭学習の充実」、「地域に関わる学習の充実」の3つを掲げ、基礎的な知識・技能をしっかりと身に付けさせ、人生や社会で活かすことのできる確かな学力と、学び続ける意識を育む教育を進めることとしています。このプランの考え方を理解いただき、小中学校とも連携しながら、学力の育成に取り組んでいただくようお願いします。

 

 二点目は、「ICT教育の推進」についてです。

 県内の小中学校では、国の「GIGAスクール構想」の加速により、児童生徒用の情報端末の整備が進み、多くの市町村立学校において、今年度から1人1台端末を活用した授業が始まることとなっています。このようなICT環境で学んだ生徒が中学校を卒業し、来年度から高等学校に入学してきます。

 こうした子どもたちの学びの連続性も考慮し、県立高校においては、個人負担による1人1台端末の導入を令和4年度入学生から順次、実施することとし、端末購入費の助成を行うとともに、個人負担が困難な生徒への貸出用端末等を整備することとしたところです。

 県教育委員会としましては、モデル校での活用や、教員研修を実施するなどの準備を進めていきますが、各学校においてもICTを活用した教育の推進に向けて、校内の体制を整えていただきますようお願いします。

 

 三点目は、「特別支援教育の推進」についてです。

 このほど、今後10年間の島根県の特別支援教育の方向性を示す「しまね特別支援教育魅力化ビジョン」を策定しました。

 このビジョンは、「しまね教育魅力化ビジョン」に基づき、障がいのある子どもの自立と社会参加に必要な生きる力を育成するとともに、障がいのある子どもと、障がいのない子どもが共に学ぶインクルーシブ教育システムを構築し、共生社会の形成を目指していくものです。

 多様な学びの場における教育環境を充実し、就学前から学齢期、社会参加までの切れ目ない支援体制を構築するとともに、特別支援教育の充実に向けた、教職員の専門性の向上と人材育成・確保に取り組んでいきます。

 県立高校における主な取組としては、通級による指導の拡充を図るため、今年度から順次、拠点校方式を導入し、通級による指導を全ての県立高校で受けることができる体制を構築することとしました。また、県教育委員会に合理的配慮アドバイザーを配置し、合理的配慮などに関する各学校への助言や情報の提供に取り組んでまいります。

 特別支援学校においては、大学や企業と連携しながら、障がい種や特性に応じたICTの活用に関する研修を実施するなど、先端技術の活用による学びを推進します。

 また、視覚障がいのある子どもに早期からの専門的な学びを保障するため、今年度から盲学校に幼稚部を開設しています。

 このように、「しまね特別支援教育魅力化ビジョン」に基づく施策は、既にスタートしています。このビジョンに掲げているとおり、「地域の中で、障がいのある子どもが持てる力を十分に発揮し、力強く、自分らしく生きる」ことを目指し、学校・家庭・地域が連携・協働して、魅力ある特別支援教育を展開していきたいと考えています。

 

 四点目は、「県内の大学・企業等との連携の強化と進路実現」についてです。

 島根大学、島根県立大学などの高等教育機関と、県内の経済団体、行政機関などがコンソーシアムをつくり、産学官の連携の下、地域を支え、地域で活躍する若者の人材育成と県内定着を目指した取組を進めていただいています。

 県内で学ぶ生徒たちが、県内の企業や大学との交流を深め、よく知ることは、自らの進路を考える上で、大きな意義を持つものと思います。県内就職や県内大学への進学を進路として考える生徒の希望を叶えることも、私たちの大きな役割です。

 県教育委員会としましては、各学校における企業等と連携した教育プログラムの開発やインターンシップ等の実施、また、県内大学との連携の深化や入試改革に適応した学力の底上げを支援していきます。また、今年度は、県内大学を希望する生徒の進路実現を図るため、松江、出雲、石見エリアに各1名ずつ「高大連携推進員」を新たに配置したところです。

 

 五点目は、「教職員の働き方改革と健康管理」についてです。

 複雑化、多様化する教育活動を円滑に進めるためには、教職員の力だけではなく、外部人材の力を活用していくことが一つの有効な手立てであると考え、県教育委員会では、昨年度に引き続いて、各学校に、部活動指導員や地域指導者、学習指導員、校務の事務的補助を行う業務アシスタントを配置することとしました。外部の人材の力を活用しながら、教職員の時間的・精神的な負担が緩和されるよう、働き方改革をより一層進めていきたいと考えています。

 また、各学校におかれては、パソコンの使用時間の記録を基礎とした勤務時間の客観的把握を行っていただいていますが、これによる教職員の勤務実態の詳細な把握と業務改善に向けた取組に、これまで以上の創意工夫を加えていただくようお願いします。

 快適な職場環境の実現と教職員の健康の保持増進を図ることは、教職員が心身ともに健康で活力に満ちた教育活動を行う上での基盤となります。各学校におかれては、定期健康診断及び精密検査受診を勧奨すること、メンタルヘルス対策に努めること、長時間労働による健康障害を防止すること、コロナ禍における職場環境を改善すること、以上4点について、積極的な取り組みをお願いします。その際には、衛生委員会等を活用し、学校の管理職、教職員、学校管理医等の話し合いを通じて、さらなる取組の推進を図っていただくようお願いします。

 

 以上、県教育委員会において進めている主な施策について述べました。

 改めまして、それぞれの学校が担うべき役割、学校長・事務長が担われる役割を確認していただき、教育目標や学校運営方針の下、全教職員が連携し組織的な教育活動が展開できるよう取り組んでいただくことを切にお願いします。

 県教育委員会といたしましても、様々な施策を通して各学校の支援を行い、学校と教育委員会が一つのチームとなって、島根の教育の一層の充実・推進に全力を尽くしていけるよう努めてまいります。よろしくお願いいたします。


お問い合わせ先

島根県教育委員会

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