県立学校長の皆さまには、日頃から各学校の運営を通して「島根の教育」の推進に全力であたっていただき、誠にありがとうございます。

　令和２年度がスタートしましたが、昨年度の終わりから続く、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策では、学校長の皆さまのみならず全ての教職員の皆さまに大変なお力添えをいただき、心より感謝申し上げます。

　４月１６日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は「緊急事態宣言」の対象地域を全都道府県に拡大することを決定し、これによりまして、島根県も特別措置法に定める「緊急事態宣言」の対象地域とされました。

　この政府決定を受け、島根県では同１６日、県民の皆さまに、生活の維持に必要な場合を除き、自宅等からの外出の自粛を要請することとなりました。「生活の維持」という一点に絞り、「外出自粛」を徹底してもらうことにより、これ以上の感染拡大を防ぐという強い意思が伝わってきます。今、新たな予防措置をとることが感染の抑制のために必要であるとの判断から、全ての県立の高等学校と特別支援学校を休業とするよう、知事から県教育委員会に依頼がありました。生徒等の学校への登校は、極めて重要な行為ではありますが、「生活の維持」に必要な場合には該当しないとも考えられるのです。

　県教育委員会といたしましては、この知事からの依頼を受けるとともに、各学校において混乱のないよう、週明けの４月２０日（月）から緊急事態措置を実施すべき期間である５月６日（水）まで、全ての県立学校を臨時休業することといたしました。すでに臨時休業となっている松江市内の県立学校につきましても、臨時休業の終期を変更し、５月６日までとしました。

　現時点では、今後を見通すことが難しい状況が続いており、感染拡大を最小限に止めるためにも、県教育委員会といたしましてはあらゆる手段を講じながら万全な対策をとっていきたいと考えております。どうか学校長の皆さまにおかれましては、家庭や地域と十分な連携をとっていただき、所属の教職員とともに新型コロナウイルス感染症対策に力を尽くしていただきたいと願います。

　このような状況を踏まえ、例年、年度初めの４月に行っておりました県立学校長・事務長会議については中止の決定をさせていただき、さしあたって必要となる教育施策について資料をまとめ、送付させていただくことで代えさせていただきました。

　その中で１点だけ、今年３月に策定しました「しまね教育魅力化ビジョン」について述べさせていただきます。

　基本理念は、「ふるさと島根を学びの原点に未来にはばたく心豊かな人づくり」です。子どもたちが自身の生まれ育った地域との確かな絆を原点として主体的な学びを立ち上げようとする島根県の「教育の魅力化」の取組は、「ふるさと島根を学びの原点にもつ」という視点からとらえることに教育上の意義や重要性があります。この基本理念の中では、あえて「原点」という言葉を用いました。「心の中にはいつも島根がある。島根での学びがある。そこが出発点だ。」という思いが「原点」という言葉に集約されていると考えます。

　ふるさと島根での学びを自らの原点にもつ人は、県内に留まり島根の未来を創る人や、どこにいても島根を想う人、あるいは世界を島根に呼び込もうとする心豊かな人に育ちます。子どもたちが、島根に育ち学んだ自信を胸に、自らの人生と未来を切り拓くことができるよう、子どもたちの夢や希望を実現させたいという思いを、各学校の教育に関わるすべての人が共有していただきたいと考えます。

　学校長の皆さまにおかれましては、これまで取り組んできた「ふるさと教育」「地域課題解決型学習」「キャリア教育」そして「教育の魅力化」の考え方、実践の方向性を今一度整理していただき、新しい「しまね教育魅力化ビジョン」を所属の教職員とともによく理解し、共有していただきながら、魅力ある学校づくりにより一層ご尽力いただければと思います。

　新型コロナウイルス感染症の全国的な感染拡大を受け、戦後最大級の国難とも言えるこのような状況を打破するためには、国民すべての団結や協力が必要であることは言うまでもありません。学校現場においては、まさに学校長の皆さまのリーダーシップのもとで、教職員が一致団結しながら、この困難を乗り越えてほしいと思います。

　県教育委員会といたしましても全力を挙げて各学校の支援を行い、学校と教育委員会が一つのチームとなって、直面する課題に対応していきたいと思いますので、引き続き県立学校長の皆さまのお力添えをいただきますよう、よろしくお願いいたします。

　令和２年４月２１日

　島根県教育委員会教育長新田英夫