令和2年度県立学校長会議
本日は、久方ぶりに学校長の皆さまにお会いし、お話しする機会が持てることをうれしく思います。
皆さまには、季節が冬に向かう中、新型コロナウイルス感染症対策の一層の徹底に向けて、改めて気を引き締めておられることと思います。学校における新型コロナウイルス感染症対策については、「県立学校運営ガイドライン」と「Q&A」を必要の都度、更新することにより、各学校においてその時々に必要とされる情報をお伝えし、対応をお願いしているところです。各学校におかれては、感染症の感染リスクを極力低減しつつ、子どもたちの健やかな学びを保障する、新しい学習様式・活動様式を実践し、定着させる取組を引き続き徹底していただきますようお願いします。
新型コロナウイルス感染症は、依然収束の目途が立っておらず、今後も長期間にわたりこの感染症と向き合っていかなければならない状況が続くものと思われます。その時々の状況に合わせた最適な判断を重ねていく必要があります。県教育委員会としましても各学校に対し、できうる限りの支援を行います。引き続き、学校と教育委員会が一つのチームとなって対応していきたいと考えています。
さて、本日、私からは、県教育委員会で取り組んでおります各施策の中から、4点についてお話ししたいと思います。
まず1点目は、「県立高校魅力化ビジョンの推進」についてです。
県教育委員会では、平成31年2月に策定しました「県立高校魅力化ビジョン」の実現に向けて、学校企画課と教育指導課を中心に各高校と連携しながら取り組んでいるところです。また、各高校におかれても、学校と地域の皆さまのご努力により、地域との協働によるカリキュラムの構築、地域課題解決型学習の質の向上など具体的な動きとともに、その成果が見え始めています。
一方、高校で令和4年度から始まる新学習指導要領による教育課程を見据えますと、令和3年度末までに、高校魅力化コンソーシアムの設置やカリキュラム構築など、新しい教育的基盤を県内全ての高校において確立していくことが重要です。令和3年度末までの1年半という期間を意識して、これまで以上に計画的に進めていく必要があると考えます。
各高校におかれては、鋭意、新しい学びの体制の構築に向け、検討を進めておられることと思いますが、県教育委員会でも並行して、ビジョンの実現に向けまして、全庁的に教育の魅力化を進める推進本部の所管を、学校企画課から教育魅力化事業を所管する教育指導課へ移行するとともに、学校からの要望に対して素早く対応できるよう体制を見直したところです。
推進本部が機動力を活かし、重要な案件について素早く判断や指示が出せるように、毎月、推進本部会議を開催し、現状の課題や情報を共有するとともに、具体的な課題に対しては、「教育魅力化推進チーム」を再編成してあたるなど、今後も、魅力化の推進にスピード感を持って取り組んでまいります。
2点目は、「しまね特別支援教育魅力化ビジョンの策定」についてです。
県教育委員会では、平成24年2月に策定しました「しまね特別支援教育推進プラン」に基づき、特別支援教育の充実に向け取り組んできました。この取組の間にも、障害者権利条約の批准に基づく関連法整備やインクルーシブ教育システムの構築に向けた動きの加速など、特別支援教育を巡る社会情勢や環境は変化しております。また、特別な支援を必要とする子どもたちは増加傾向にあり、障がいのある子どもたちの自立と社会参加に向けた適切な指導、必要な支援の重要性は、これまで以上に高まってきています。
こうしたことから、「特別支援教育在り方検討委員会」の提言内容を踏まえ、本県の特別支援教育の現状と課題を整理し、今後10年間の特別支援教育の在り方を示す「しまね特別支援教育魅力化ビジョン」を今年度中に策定する計画です。このビジョンは、(1)多様な学びの場における教育環境の充実、(2)就学前から学齢期、社会参加までの切れ目ない支援体制の構築、(3)特別支援教育の充実に向けた教職員の専門性の向上と人材育成・確保の3本柱で構成し、地域の中で障がいのある子どもが持てる力を十分に発揮し、力強く、自分らしく生きることを目指して、特別支援教育の一層の充実に取り組んでいくこととする考えでおります。
3点目は、「教育のICT化の推進」についてです。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う臨時休業の際には、各学校では家庭学習のための課題の提供などにより、生徒の学びに遅れが生じないよう努めていただきました。県教育委員会としては、今後の臨時休業などを想定した場合のオンライン学習等への対応、さらには、「主体的・対話的で深い学び」を実現する新しい教育活動につなげていくとの位置づけで、校内情報基盤の強化、端末等を持たない生徒への貸出用の端末やモバイルWi-Fi機器等の整備を進めているところです。
各学校におかれては、まずは、配布しました端末等を活用し、引き続き、オンライン学習の試行をしていただくようお願いします。また、教育センターでの教員研修や、来月12月に開設を予定しているヘルプデスクも活用し、子どもたちの学びの保障に努めていただきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大時の対応のためにも、また、島根の子どもたちの力を最大限引き出す教育を進めるためにも、学校の授業等でのICT機器の活用は、積極的に検討し推進する必要があります。その際の生徒用端末の整備については、今年度、県内高校3校で実施しているICT活用教育の実証研究等を踏まえ、整備手法も含めた具体の検討を進めてまいります。
加えて、教材作成等に必要となる教員用の端末についても、既に配備されている端末の有効活用も踏まえ、適切な整備のあり方について検討を進めてまいります。
4点目は、「教職員の働き方改革」についてです。
昨年3月に「教職員の働き方改革プラン」を策定し、各学校には、教職員の長時間勤務是正に向けた取組をお願いしているところです。昨年8月からは、パソコンの使用時間の記録を基礎とした勤務時間の客観的把握を行っていただいており、各学校では、教職員の勤務実態の詳細な把握と業務改善に向け、創意工夫を加え取り組んでいただいています。
一方で、きめ細かな学習指導や生徒一人一人の個性に応じた生活指導など、多岐にわたる教育活動を進めていくことに加え、今年度は、新型コロナウイルス感染症への対応として、日々の健康観察や消毒作業、寄宿舎における児童生徒の感染防止策の徹底など、大きな負担をおかけしているところです。
県教育委員会では、今年度当初からの業務アシスタント、部活動指導員等の配置に加え、年度中途から、新型コロナウイルス感染症対策としての業務アシスタントの追加配置と学習指導員の配置を進めてきました。各学校におかれては、是非ともこれらの外部人材の力を大いに活用していただきながら、必要な学びの環境を確保するとともに、教職員の時間的・精神的な負担が緩和されるよう対応いただきますようお願いします。
以上、主な教育施策について4点のことを述べました。
おわりに、学校長の皆さまに、学校運営の中で、「成果が見える学校づくり」を意識していただくようお願いしたいと思います。
「成果」という言葉に違和感をもたれるかもしれませんが、一つには、「成果を出すこと」(たとえば、子どもたちが夢や志の実現に近づき、達成感を得ること)、そして二つ目には、「そうした成果を教職員が皆で喜び、共有すること」。こうした思いでおります。新型コロナウイルス感染症への対応なども重なり、どうしても、課題への対応や問題の解決などに意識が集中しがちになるように思います。
生徒が日々、成長しているように、学校も日々、何らかの成長があります。地域との新しい協働の芽生え、生徒支援に向けた一体感の醸成、若い教職員のアイディア提案なども大切な成長です。
まず、学校長である皆さまが、子どもたちのよい面やよい成果、チーム学校として教職員の良い面、よい成果にもしっかりと目を向け、「いいですね」「よかったですね」という思いの共有を図っていただきたいと思います。
県教育委員会といたしましては、引き続きまして各学校と双方向のコミュニケーションをしっかりと行い、全力をあげて島根の教育の推進に取り組んでいきたいと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。
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