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はじめに

 いじめ、不登校、自殺、犯罪の加害者、被害者、幼児虐待、学力低下、生活リズムの乱れなど、教育上の諸課題はそれぞれが複雑かつ重層的にからみあっています。こうしたいわば社会病理に対応する取り組みを進めるためには、情報を的確に捕捉し、分析し、スピードを持って事に当たることが求められます。私はそれを"情報の受信力"と称しているところです。

 

 情報の受信力は丁度携帯電話と同様で、電源の入っていないところではいかなる情報も意味をなさないし、感度が鈍かったり、電波の届かないところ、弱いところでは受信力は低下したり、無力であったりします。

 「心ここにあらざれば、見れども見えず、聞けども聞こえず」という俚諺(格言・ことわざ)もあります。皆さん方の日常は、非常に多忙だと承知しています。そうした中にあっても、最低限必要な情報の受信力をいかにして維持し、高めていくかということが強く求められます。

 自らの専門領域外についての知識・知見・情報についても身につけるよう努めたいものです。

 情報については、もうひとつ、「情報の共有」が求められています。私ども教育委員会の事務局と学校現場・地域・家庭との情報の共有があってこそ諸課題に連携して取り組むことが可能となります。

 「情報社会」における情報能力は、情報の洪水の中でいかに必要とする情報を(必要とする情報だけを)取捨選択するかと言うことでもあります。幸いにIT社会は、情報の伝達手段としてはかつてない利便性を与えてくれました。こうしたIT(informationtechnology)の活用は私自身は全くの石器人(stoneman)でありますが、威力・能力・効力は承知しております。

 今回開設する「両鏡相照」のコーナーは、こうした考え方で、私ども事務局からの発信だけでなく、県民の皆さんや現場の皆さんから得た必要な情報、有益と思われる情報などをインターネットで配信することで、前述した情報の受信力、情報の共有にITの利点を活用して対応しようとするものであります。

 私自身が考えていること、県教委の方針や方向性をはじめ、種々の情報をできるだけタイムリーにスピードを持って提供してまいりたいと考えます。必ずしも公式的な発言・見解だけでなく、個人的な見解も含めた、最近のIT用語でいうところの「ブログ」風のものも含むものとお考えいただきたいと思っています。なお、コピー・引用はすべて自由です。

 さて、「両鏡相照」の意味についてです。

 この言葉に初めて巡りあったのは、息子達が通っていた松江市立城北小学校の会議室の扁額でありました。爾来気に入った言葉であり、折にふれて使ってきましたが、今回も使うことにしました。中国の故事からの引用で、既に著作権の心配はありません。

 意味は「二つの鏡が真正面から相照らしていれば、互いのすべてがわかるし、余分なものも写らない」という意味のようですが、もう少しくだいて、「両鏡(ふたつの鏡)が双方相照らし合う、切磋琢磨しあう」という意味で私自身は考えております。

 

 趣旨に賛同いただき、できるだけ多くの皆さんと「見る・読む・投稿する・意見交換する」ことができるよう願っております。


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