教育長訓辞:平成29年度小・中学校長辞令交付式
ただ今、市町村立小中学校の校長として、採用、昇任された皆さんに辞令を交付いたしました。昇任を心からお祝い申し上げます。
さて、私が教育長として島根県の教育行政に携わるにあたり、大切にしていることの一つに、「丁寧な議論を繰り返しながら、現場を支える側にある教育委員会事務局職員のベクトルを合わせること」があります。
私は、現場を支える我々自身のベクトルが揃ってくれば、島根県教育委員会の考える大きな方向性を、学校現場に対して、わかりやすく明確に伝えていくことができるようになると考えています。そうすれば、学校現場と教育委員会とが、お互いを信頼しながら、双方向のコミュニケーションを通じてベクトルを合わせやすくなり、島根の子どもたちのために共に働いていくことができると考えます。
これまでの議論の主な内容には、「学校の存在をどう考えるか」、「島根の子どもたちに身に付けてもらいたい学力とは何か」、「島根の子どもたちにそうした力を身に付けてもらうために学校はどうあればよいのか」、「島根らしい教育の魅力とは何か」、そして「『地方創生』を進める上での教育の役割は何か」などがあります。
その議論の中から、今年度、その取組を一層充実していこうとしている「教育の魅力化」についてお話しします。
「教育の魅力化」とは、ないものを取って付けるような、全く新しい教育活動を唐突に導入することではなく、それは、もっと地道でステディな取り組みのことであると考えています。つまり、今ある島根らしい教育の魅力をより一層充実するような方向性を考えるべきであると思います。
例えば、障がいがあったり困難を抱えていたりすることも含めて、多様な個性のある児童生徒一人一人と丁寧に向き合い、細やかな配慮のもとで大切に育てること。そのような個性と多様性を尊重する人権意識に裏づけられた教育の実践が、島根らしい教育の魅力になると思います。
また、島根の子どもたちがこれからの変化の激しい社会の中で生き抜いていけるように、一人一人の人生の進路選択に丁寧に立ち合い、一人一人の自己実現に向けて精一杯支援していくこと。そのような「進路保障」の理念を踏まえた丁寧で細やかなキャリア教育と進路指導の実践が、島根らしい教育の魅力になると思います。
大切なことは、「教育の魅力化」とは、誰のためでもない、島根で生まれ育つ子どもたちにとっての「魅力」にほかならないということです。このことを理解していただき、学校経営の大切な要素の一つとして考えていただきたいと思います。
皆さんは、これより校長として学校経営に邁進していただきます。様々な教育課題等について、教職員と丁寧な議論を通し、ベクトルを揃えて、子どもたちへの教育にあたっていただきたいと思います。
まずは、子どもたちの安心安全な教育環境を確立し、学力の育成に努めること。
次に、次世代の管理職やミドルリーダーの育成はもとより、すべての教職員が学び続ける姿勢をもち、切磋琢磨して、資質向上に努める組織をつくること。
さらに、アンテナを高く張り、多様化している社会や地域の動向・ニーズに敏感であること。
などなど、校長に求められることは、たくさんあります。教職員と一体となって取り組んでいただくことを期待します。
ところで、小中学校の多くの先生方が、多忙感を感じながらも、目の前の児童生徒の成長を励みにしながら、日々の指導に当たっておられます。私は、「教職員のワーク・ライフ・バランスを図っていくことが、質の高い教育を提供するための基盤である」と考えており、この基本認識を学校と教育委員会とが共有した上で、教職員の方々の健康管理に取り組んでいきたいと思います。各学校におかれても、ストレスチェックや、校内衛生委員会等による組織的対応、評価システムを通じて行う面接や支援など様々な手法を工夫しながら、教職員の健康管理と職場環境の改善に精一杯努めていただきたいと切に願うものであります。
同時に、心に悩みを抱える教職員に寄り添うとともに、教職員の悩みや問題を相談できる風通しのよい校内体制づくりにも努めていただきたいと思います。
全ての教職員一人一人が明るく活力にあふれ、教育者としての自覚を高め、決しておごることなく、高い志と高潔な行動により児童・生徒、保護者、地域住民の方方と向き合っていただきたいと強く願うものであります。
終わりに、遠隔の地に赴任される方もおられますが、どうか健康には十分留意され、大いに活躍されますよう祈念いたしまして、訓辞といたします。
平成29年4月3日
島根県教育委員会教育長_鴨木_朗
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