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教育長メッセージ:平成28年度市町村教育長会議

平成28年度は、「第2期しまね教育ビジョン21」を発表してから3年目を迎えます。
県教育委員会では、その基本理念である「島根を愛し世界を志す心豊かな人づくり」を目指し、「向かっていく学力」「広がっていく社会力」「高まっていく人間力」の3つの力を育てるため、様々な教育施策を推進しています。
各市町村教育委員会におかれても、主体的な学びのための授業改善や体験的・探究的な学習活動、地域と連携した教育魅力化の推進など様々な取り組みを進めていただいており、ご尽力に感謝申し上げます。

 このような中、今年度、市町村教育委員会において取り組んでいただきたい重点事項として、次の3点をお願いします。

 1点目は、「学ぶ力」「学んだ力」の育成です。
学力をどう捉えるかという学力観については、これまで教育ビジョン21など様々な機会を通じて議論を深めてきましたし、県教育委員会と市町村教育委員会との認識の共有化にも努めてきたところです。
あらためて述べるなら、主体的に学習に取り組む意欲や態度といった「学ぶ力」を育成するため、学校教育においては、まず子どもたちの知的好奇心や学習意欲が高まるよう、学習者の主体的・能動的な学びという視点に立った不断の授業改善が求められています。
このような授業が、「知識、技能」「思考力、判断力、表現力、問題発見・解決力」などといった「学んだ力」につながっていくと捉えています。
各市町村教育委員会におかれては、このような「学ぶ力」「学んだ力」がより一層育成されるよう、授業研究や校内研修をはじめとして、教職員の授業力・指導力の向上に引き続き取り組んでいただくことを期待します。

 2点目は、ふるさと教育、キャリア教育の推進です。
少子高齢化の進行や人口減少問題は、県・市町村に共通する重要な政策課題となっています。このような状況の中、島根の子どもたちには、学校教育・社会教育を通じた学びの中で、社会とのつながりを強く意識し、ふるさと島根のことを思い、貢献したいと思うような人材に育って欲しいと願っています。
そのためには、子どもたちが地域の魅力に気づくこと、地域の課題に主体的に関わっていくことが大切です。
また、家庭や地域との連携・協働により、社会や職業について考える活動を充実させることも必要です。高校だけでなく義務教育の段階から、地域や地元の企業・産業などを理解するための取り組みも広がってきました。
このようなふるさと教育、キャリア教育を一層推進していただくとともに、幼保・小中学校・高校・特別支援学校を貫く地域ぐるみの教育活動を通じて、子どもたちが「学ぶこと」と「生きていくこと」の関連性について理解を深め、社会的・職業的な自立に向けて、求められる能力や態度を身に付けることができるよう、各市町村教育委員会における積極的な取り組みを期待します。

 3点目は、特別支援教育の充実です。
学校教育法第81条に規定されているとおり、特別支援教育は、障がいにより教育上特別な支援を必要とする児童生徒が在籍する全ての学校において実施することとされています。
特別支援学校においては、児童生徒数の増加や障がいの多様化を踏まえ、各学校における専門性の向上に努めています。また、センター的機能を発揮することにより、小中学校を含めた全ての学校において特別支援教育の推進が図られるよう支援に努めているところです。
また、高校においても、発達障がいを含め、特別な支援を必要とする生徒が在籍しており、今後とも特別支援教育についての教職員の理解を深め、情報を共有し、校内体制の整備を進めていく考えです。
各市町村教育委員会におかれては、このような特別支援学校や高校における動向も踏まえ、特別支援教育の一層の充実に向けた取り組みを期待します。

 関連して、本年4月1日から障害者差別解消法が施行されました。県教育委員会では、この法律の施行に合わせ、県立学校の教職員向け対応要領を定めたところです。
各市町村教育委員会におかれても、法律の目的・趣旨を十分理解いただき、法的義務に適切に対処できる学校組織づくりをお願いします。

 以上3点の重点事項について、よろしくお願いします。

 このほか、各市町村教育委員会にご配慮いただきたい事項について、お願いします。

 まず、学校の管理・運営や人材育成など、学校経営についてのお願いです。
校長・教頭が教職員との意思疎通を積極的に図り、また保護者や地域の方々との連携も意識しながら、組織力・総合力が発揮される「活力あふれる学校」、教職員が課題や悩みを気軽に相談し合えるような「温かい学校」となるよう、円満・円滑な学校経営に向けて適切な助言・指導をお願いします。

 次に、教職員の健康管理についてのお願いです。
教職員のワーク・ライフ・バランスを図っていくことは、島根の子どもたちに質の高い教育を提供するための基盤となるのではないでしょうか。
長年の懸案となっている課題は、構造的問題を含む厳しい諸事情の中で生じており、その打開が容易でないことも承知しています。しかしながら、教育委員会と学校現場とが共通認識を持って一歩ずつでも着実に前進を図っていこうという意志を明らかにしていくことが大切ではないかと考えます。
県教育委員会は、任命権者の立場から、特に長時間勤務縮減対策と定期健康診断後の精密検査受診勧奨について、各市町村教育委員会の積極的な取り組みをお願いしたいと考えています。その際、労働安全衛生法に基づく衛生委員会等を積極的に活用し、学校の管理職・教職員・学校管理医がよく話し合う中で、改善に向けた一歩を進めていただくことを期待します。

 期待やお願いばかり申し上げましたが、そもそも教育行政は、県教育委員会と市町村教育委員会との適切な連携・分担と協働によって成り立っています。
したがって、当然のことながら、県教育委員会から市町村教育委員会へお伝えするという方向ばかりでなく、市町村教育委員会から学校現場の実情や課題をよくお聞きしながら県教育委員会の仕事の在り方を考えていくという双方向のコミュニケーションが大切です。

 本日も、そのための貴重な機会でありますし、今後、様々な機会を設けて、私自身が、できるだけ小中学校の現場の状況を見させていただき、現場の声をよくお聞きしたいと考えています。その節はどうぞよろしくお願いいたします。

 以上、教育長メッセージとさせていただきます。


お問い合わせ先

島根県教育委員会

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