教育長訓辞~平成26年度小中学校管理職辞令交付式
ただいま、市町村立小中学校の校長として、採用、昇任された皆さんに辞令を交付いたしました。昇任を心からお祝い申し上げます。
さて、島根県の現状を見ますと、人口が減少する中で、若者の定住をはかり、産業を振興し、少子高齢化への対応を進めるなど、多くの課題があります。
これらの課題を解決するためには、何よりもその課題解決に携わる人材の育成が不可欠であり、この点から「人を育てる」という教育の果たすべき役割は大きいものがあると感じています。
大切なことは、知・徳・体のバランスのとれた人格形成を進めていくことを基本とし、グローバル化の流れの中で世界に視野を広げつつも、自らの地域に誇りをもち、地域の未来を担うという気概を持った子どもたちを育成することであります。
こうした考えのもとで、現在、特に力を入れて取り組んでいること、あるいは今年度新たな観点で取り組みたいことを皆さんへお願いを含め話したいと思います。
まず、「ふるさと教育」についてです。
ふるさとへの愛着と誇りを持ち、豊かな心を育むために、それぞれの地域の自然・歴史文化などの優れた人材や資源、伝統行事などに触れる「ふるさと教育」を進めています。皆さん自身が、それぞれの地域の歴史文化について学び、その素晴らしさを子どもたちに伝え、地域や家庭と連携しながら、島根で暮らすことに誇りを持つ子どもたちを育ててほしいと思います。
次に、学力育成の取組みです。小中学校では、基礎・基本の習得と、それを活用する能力を育成するとともに、自ら学ぶ意欲や力を身につけさせてほしいと思います。そのためには、授業の質を高めることはもとよりでありますが、社会や働くことに興味・関心をもたせ、「生き方」について考えさせていく、キャリア教育等の充実を図っていくことが必要だと思います。
次に読書活動の推進です。
島根県は、学校図書館への司書配置が最も多く、「読書県しまね」として注目されています。読書活動の充実は、学力の基礎を育み、想像力や感性を磨き、豊かな心の育成にもつながります。今後、さらに、学校の図書館等を活用した調べ学習に力を入れ、子どもたちの思考力、判断力、表現力を高めていきたいと考えています。
次に、あいさつや礼儀、規範意識や思いやりの心など「ふるまいを大切にする心」は、社会生活を送る上で、当然に身に付けておくべきものです。
島根は、地域社会での人と人との繋がりがまだまだ強く、このような心を育みやすい土壌があります。このふるまいの推進が、学校や地域社会を含めて、広く県民全体に浸透するよう、皆さんには創意工夫した取組みを期待いたします。
また、健やかな体の育成は、学力や豊かな心を培う上でも大切です。最近、子どもたちの体力や運動能力の低下傾向が見られます。現在、島根の豊かな自然など恵まれた環境を生かして、運動に親しむ習慣を身につける取組みを進めています。
このような取組みを推し進めるためには、学校が組織として働くことが必要であり、校長は組織の責任者、リーダーとして、学校評価や教職員評価システムなども活用しながら、教職員の理解と育成に努め、学校の組織マネジメントにあたっていただきたいと思います。
社会は急速に変化し、保護者や世間のニーズも多様化しています。従来の常識や慣行が通用しない難しい課題、安全に係る課題も多くなっています。学校経営にあたっては、アンテナを高く張り、多様化している社会や地域の動向・ニーズに敏感であってほしいと思います。
そして、基礎・基本に立ち返り、安易に従来の慣行を踏襲することなく事務や事業等を点検するとともに、児童・生徒の指導のあり方や教師としてのふるまいについて再考するなど、教員一人一人の法令順守(コンプライアンス)の意識を徹底していただくようお願いします。
同時に、心に悩みを抱える教職員に寄り添うとともに、教職員の悩みや問題を相談できる校内体制づくりに努めていただきたいと思います。そのこともまた、不祥事の防止につながると思います。
そして、全ての教員一人一人が明るく活力にあふれ、教育者としての自覚を高め、高い志と高潔な行動により児童・生徒、保護者、地域住民の方と向き合っていただきたいと切に願うものであります。
終わりに、遠隔の地に赴任される方もおられますが、どうか健康には十分留意され、大いに活躍されるよう祈念いたしまして、訓辞といたします。
平成26年4月1日
島根県教育委員会教育長藤原孝行
お問い合わせ先
島根県教育委員会
〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎) 島根県教育庁総務課 TEL 0852-22-5403 FAX 0852-22-5400 kyousou@pref.shimane.lg.jp