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教育長訓辞~平成24年度小中学校管理職辞令交付式

 ただいま、市町村立小中学校の校長として、採用、昇任された皆さんに辞令を交付いたしました。昇任を心からお祝い申し上げます。

 

 さて、島根の教育の現状を見ますと、少子化の進行に伴う児童・生徒数の減少や学力・体力の問題、不登校やいじめ等、困難な課題を抱える子どもたちの増大等、多くの課題に溢れています。私たちは、このような状況を十分に踏まえて教育に取り組んでいく必要があります。

 大切なことは、知・徳・体のバランスのとれた人格形成を進めていくことを基本とし、グローバル化の流れの中で世界に視野を広げつつも、自らの地域に誇りをもち、地域の未来を担うという気概を持った子どもたちを育成することであります。

 

 こうした考えのもとで、現在、特に力を入れて取り組んでいること、あるいは今年度新たな観点で取り組みたいことを皆さんへお願いを含め話したいと思います。

 

 まず、学力向上の取り組みです。小中学校では、基礎・基本の習得の上で、何よりも自ら学ぶ意欲や力を育ててほしいと思います。そのためには、授業の質を高めることはもとよりでありますが、社会や働くことに興味・関心をもたせ、「生き方」について考えさせていく、キャリア教育等の充実を図っていくことが必要だと思います。

 

 次に、豊かな心の育成です。あいさつ、礼儀、規範意識や思いやりの心などを子どもだけでなく子育て世代にも身につけてもらうための「ふるまい向上プロジェクト」事業が三年目となりました。これまでも各学校での取組を進めていただいていると思いますが、今年度はさらに各分野において、「ふるまい島根」の一層の浸透を図っていただきたいと願っています。

 

 また、子どもの読書活動を推進するため、各学校でも積極的に取組んでいただいており、その成果は昨年度の「しまね学校図書館活用教育フォーラム」での子どもたちの意見発表においても確認でき、大変心強く思ったところです。今後も、子どもたちの創造性や感性を高めるとともに、情報活用能力を高め、思考力、判断力、表現力を養うため、積極的な取り組みをお願いします。

 

 「ふるさと教育」は、地域の方にもお手伝いを頂きながら定着してきました。今年は、島根の神話が数多く取り上げられている「古事記」が編さんされてから千三百年を迎え、いよいよ七月二十一日からは古代出雲歴史博物館を主会場に「神話博しまね」が開催されます。古代出雲が誇る銅剣・銅鐸等の弥生青銅器文化等と合わせ「神々の国しまね」を県内外でPRしていきたいと思っています。これを契機に、各学校・地域においても島根の歴史・文化の奥深さを子どもから大人までしっかりと認識していきたいものです。

 島根の宝である「神話」に触れ、ふるさとへの愛情と誇りを育むことは、今後ますますグローバル化していく国際社会を生きていく子どもたちのアイデンティティの確立と、文化の多様性を認識し、異なる文化を理解し尊重する国際協調の精神を育むことにもつながると思います。

 

 また、確かな学力や豊かな心の基本は、体力であります。体力は忍耐力にもつながります。このため、今年度も「一日一時間以上体を動かす」をスローガンに、小中学校や地域において子どもの体力向上を目指し、創意工夫をこらした積極的な取り組みを行っていきたいと考えています。

 

 このような取り組みを強力に推し進めるためには、学校が組織として働くことが必要であり、校長は組織の責任者、リーダーとして、「プロ」としての教職員の育成と資質の向上に努め、学校評価や教職員評価システムなども活用しながら、学校の組織マネジメントにあたっていただきたいと思います。

 社会は急速に変化し、保護者や世間のニーズも多様化しています。従来の常識や慣行が通用しない難しい課題、安全に係る課題も多くなっています。学校経営にあたっては、アンテナを高く張り、多様化している社会や地域の動向・ニーズに敏感であってほしいと思います。

 

 もう一つ、改めてのお願いです。不祥事の防止であります。昨年度も高等学校も含めると様々な形で教職員の不祥事が発生しました。今一度、基礎・基本に立ち返り、安易に従来の慣行を踏襲することなく事務や事業等を点検するとともに、児童・生徒の指導のあり方や教師としてのふるまいについて再考するなど、教員一人一人の法令遵守(コンプライアンス)の意識を徹底していただくようお願いします。

 同時に、心に悩みを抱える教職員に寄り添うとともに、教職員の悩みや問題を相談できる校内体制づくりに務めていただきたいと思います。

 

 そして、全ての教員一人一人が明るく活力にあふれ、教育者としての自覚を高め、高い志と高潔な行動により児童・生徒、保護者、地域住民の方と向き合っていただきたいと切に願うものであります。

 

 終わりに、遠隔の地に赴任される方もおられますが、どうか健康には十分留意され、大いに活躍されるよう祈念いたしまして、訓辞といたします。

 

 

 平成24年4月2日

 島根県教育委員会教育今井康雄


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