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教育長訓辞~平成22年度小中学校管理職辞令交付式

 ただいま、市町村立小中学校の校長として、採用、昇任された皆さんに辞令を交付いたしました。昇任を心からお祝い申し上げます。

 

 皆さんは本日学校のトップとしてスタートを切られました。私も本日が教育長としてのスタートです。

 いわば教育長一年生でありますが、教育に対する考え方は前藤原教育長と変わるものではないと思っています。「知性と感性を育む教育」、「知・徳・体を基礎に据えた心の豊かさを育む教育」、「明るくのびのびとした活力ある学校づくり」などの基本的な理念・精神を引き継いでまいります。

 

 さて、現在、学校においては、引き続きいじめや不登校、学力や体力の低下など、子供たちをめぐる種々の教育課題を抱えています。私達は、こうした今日の複雑で困難な教育課題の解決に向け、迅速に、かつ、強力に取組みを進めていかなければなりません。

 

 このため、

 ○子ども一人一人の感性を基盤とした確かな学力・豊かな心・健やかな体をバランスよく育む。

 ○島根県の豊かな自然や歴史、文化、教育熱心な人など恵まれた教育資源を生かす。

 ○教育活動の計画に沿った多面的・総合的な指導と、教科等の特質に応じた重点的な指導の両面から、指導を工夫する。

という三つの基本的な考え方を根底に据えた取組を実施していこうと考えています。

 

 その施策の一つとして、今年度から「ふるまい向上プロジェクト」をスタートさせます。この事業における「ふるまい」とは、礼儀、作法、挨拶、しぐさ、モラル、ルール、躾、道徳、倫理観、生活行動、生活動作、思いやりの総称をいいます。こうした問題意識を持ち、それに対応した取り組みは既に行っているところです。例えばふるさと教育や総合的な学習、また、公民館活動等があげられます。今回は、こうした活動をより明確に意識し、乳幼児から、事柄によっては出産前から、乳幼児とそれを育てる親を対象として行おうとするものです。こうしたふるまい向上は、言うまでもなく教育を授ける立場の教育者自らが正すことから始まります。礼儀・作法や、細かいことをいえば正しい箸や鉛筆の持ち方を教員自らが正しくすることです。各学校が地域におけるふるまい向上の中心となり、子ども達や教員はもとより、家庭や地域へ取組を広げていただきたいと思います。

 このような取組を強力に推し進めるためには、学校が組織として機能的であることが必要であり、校長は組織の責任者、リーダーとして、「プロ」としての教職員の育成と資質の向上に努め、学校評価や教職員評価システムなども活用しながら、学校の組織マネジメントにあたっていただきたいと思います。

 

 とりわけ、教職員の不祥事により、教職員や学校教育に対する信用がゆらいでおります。今一度、基礎・基本・原点に立ち返り、全ての教員一人一人が明るく活力にあふれ、教育者としての自覚を高め、高い志と高潔な行動により児童・生徒、保護者、地域住民の方と全人格的に向き合い、学校教育の信頼回復に全力で努めていただきたいと切に願うものであります。

 

 今ひとつお願いしたいのは、情報の受信力についてであります。学校経営にあたっては、アンテナを高く張り、多様化している社会や地域の動向・ニーズに敏感であってほしいものです。

 もとより、アンテナを高く張りつつも、流行に過度に動ずることなく、これまで培ってきた教育についての不易の信念に自信を持っていただきたいということは申し上げるまでもありません。そして、四季の移ろいや自然、生命などに感動する感性を磨き、知性を高め、全人格的に子どもと向き合う学校経営を行っていただきたいと願っております。

 

 終わりに、遠隔の地に赴任される方もおられますが、どうか健康には十分留意され、大いに活躍されるよう祈念いたしまして、訓辞といたします。

 

 平成22年4月1日

 島根県教育委員会教育今井康雄

 


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