少人数学級編制の見直しについて
公立小中学校における少人数学級編制の見直しについて
~令和元年度第6回島根県総合教育審議会教育長あいさつ(抜粋)~
令和元年12月25日
公立の小中学校の少人数学級編制(国の標準[1学級40人、小学校1年は35人]を下回る人数で学級を編制すること)につきましては、県予算上の「重点見直し対象事業」となったことから、県教育委員会において検討を進めているところですが、これまで十分な説明や情報の提供が行えず、ご心配をおかけしているものと思います。
冒頭、この件につきまして私の方からご説明申し上げます。
まず、少人数学級編制の見直しに関しまして、どうしてこのような議論となっているのか、県政全体の視点から申し上げたいと思います。
全国にさきがけて人口の減少・少子高齢化が進んでいる島根県におきましては、人口減少に歯止めをかけ、人口減少に打ち勝つ「島根創生」を実現する新しい総合戦略を策定し、来年度から各施策を推進することとしております。
人口減少対策に最優先で取り組む上で、子育てに負担や不安を抱えている若い世代の方々が安心して子育てが出来るよう、子育てを支援する施策を充実することが重要であります。知事部局では、子育て世代の方々が、仕事と子育てを両立しやすくなる公的サービスの充実や経済的負担の軽減が不可欠であるとの考えから、具体には、放課後児童クラブの充実や、子どもの医療費負担を軽減する施策の充実を図ることとされました。
県の財政は、予算の規模自体は大きいのですが、大変に厳しい状況にあり、県が自由に使い道を判断できる余地は極めて小さいのが実情です。
こうした中で、小中学校の少人数学級編制は、国が法律で定めている学級編制の基準を、県が独自に設定し直して、県が自由に使える財源を使って教員の配置を増やしてきたものであります。
また、全国の都道府県の多くは、島根県と同様に、独自に基準を定めて、少人数学級編制を行っているのですが、すべての学年において、一律のルールで30人なり、35人といった基準で編制を行っているのは、全国で2県だけであり、いわば、全国で最も手厚い教員配置を行っている状況にあります。
予算編成担当部局からは、毎年度20億円の財源不足が見込まれる中で、全国で最も手厚い少人数学級編制に毎年度、約11億円を投入していることから、現在の県独自の基準を見直し、3億円程度の削減を行うよう、指示があったものであります。
県教育委員会では、これまで、少人数学級編制という一律のルールで学級を分割し、必要な担任を増員配置するという方式をとってきました。
県教育委員会において検討を重ね、このたび提案しました見直し案は、少人数学級編制を維持しながら、全国で最も手厚い水準を見直し、県単独で配置を増やしている教員数の縮減を図ること、そして、財源の捻出に合わせまして、この少人数学級編制という方式に加え、学級を増やすのではなく、学校や子どもたちの状況に応じて課題を解決できるような柔軟な形で教員を増員配置する新しい方式を、セットで取り入れようとするものです。
また、案の中では、学級編制基準の変更は、令和3年度から2ヶ年をかけて、そして、教員数の縮減は、令和3年度から3ヶ年をかけて調整しながら行う考えでおります。
この件に関しましては、様々なご意見をいただいているところでありますが、県教育委員会といたしましては、まず、予算が縮減される想定の中にあっても、県内の小中学校にとって最善と考えられる環境を整えることができるよう、力を尽くすことが責務であると考えております。
また、今回の見直し案では、少人数学級編制の考え方を大切にしながら、一方では、各学校や子どもたちの実情に応じて、教員を増員配置する新しい提案を行っております。いわば、少人数教育を軸としたベストミックスにより、これまで手当てが不足していた部分にも配慮を加え、望ましい教育環境、質の向上につながるような環境づくりに向けていきたいと考えているところであります。
従いまして、現在の見直しの方向性といたしましては、一定の制約はございますが、ご審議いただいている、次期しまね教育ビジョンの方向性にも沿うよう、検討を進めているものと考えております。
また、現在、この見直し案につきまして、市町村教育委員会、小学校・中学校校長会など関係する方々に、丁寧にご説明し、ご意見を伺っているところであり、今後、さらに検討を深めてまいりたいと考えております。
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