学校管理職に求めること
島根県教育委員会教育長今井康雄
■本県教育の重点施策
本県では、県が目指す子どもの教育の基本的な方向や考え方を明らかにするために平成16年3月に策定した「しまね教育ビジョン21」を昨年度末改訂し、新たな目標項目や目標数値を設定し、各施策に取り組んでいます。
主な取り組みとしては、まず、学力向上対策です。小中学校では、基礎・基本の習得の上で、自ら学ぶ意欲や力を育てたいと考えています。高校では、そうした力を十分に発揮させるとともに、職業観や社会で自立して生きていく能力を磨くための「キャリア教育」を進めたいと思います。
次に、「読書活動」の推進です。読書による言語活動の充実は、想像力や感性を磨くなど幅広い人格を形成し、心豊かな子どもたちを育成することにつながります。現在、島根県が積極的に取り組んでいる学校図書館を活用した教育は、全国からも注目されています。今後も、読書活動をさらに推進していきたいと思います。
豊かな心を育む取り組みでは、あいさつ、礼儀、規範意識や思いやりの心などを子どもだけでなく子育てする世代にも身につけてもらうために、学校や公民館等を核として、「ふるまい向上プロジェクト」事業を進めています。
また、ふるさとへの愛情と誇りを育む「ふるさと教育」にも力を入れています。「ふるさと教育」は、国際社会を生きていく子どもたちのアイデンティティの確立と、異なる文化を理解し尊重する国際協調の精神を育むことにもつながると考えています。
■管理職に求めること
このような取り組みを推し進めるためには、まずは、学校が組織として機能することが必要であり、管理職は組織のリーダーとして、「プロ」としての教職員の育成と資質の向上に努め、学校評価や教職員評価システムなども活用しながら、学校の組織マネジメントにあたってほしいと思います。
また、社会は急速に変化し、保護者や世間のニーズも多様化しています。従来の常識や慣行が通用しない難しい課題や安全に係る課題も多くなっています。学校経営にあたっては、アンテナを高く張り、多様化している社会や地域の動向・ニーズに敏感であることも重要です。
また、当然のことながら、教員一人一人の法令遵守(コンプライアンス)の意識を徹底させることも大切です。安易に従来の慣行を踏襲することなく事務の点検を行ったり、児童・生徒の指導のあり方や教師としてのふるまいについても常に再考する態度で臨むことが重要です。同時に、心に悩みを抱える教職員に寄り添い、悩みや問題を相談できる校内体制づくりに務めることも大切なことです。
明るく活力にあふれ、教育者としての自覚と高い志を持ち、児童・生徒、保護者、地域住民の方と正面から向き合うことのできる後進の育成を期待しています。
『月刊教職研修11月号掲載文』
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