県議会答弁:令和7年2月定例会(須山議員質問分)令和7年3月4日
(議員質問)
これまでの県学力調査をどのように評価しているのか、伺う。
(教育長答弁)
文部科学省は、学力調査を健康診断に例え、毎年悉皆で調査することで、一人ひとりの子どもたちの学力を把握し、それだけにとどまらず、個人に対しても学校に対しても自治体に対してもフィードバックして更なる学びにつないでいくことが大切であるという旨、全国の会議などでも説明しております。私も同様の考えでございます。
そのうえで、県の学力調査は、平成18年度の導入以来、学年や教科の範囲を変更しながらも毎年12月に実施しております。例えば、小学校5年生の12月に県調査を、6年生の4月に全国調査を、さらに12月に県調査を受けることで、どのような学びの成長があったかを、一人ひとり確認することができます。
一部の市町村においては、これに加えまして、県とこれまで折半していた独自財源を活用するなどして、県調査と同じ日に、教科を増やしたり実施学年の範囲を広げたりしながら、より多くの教科や長い期間で子どもたちの様子を追跡調査しております。
このように、学びの確認とそれを受けた授業改善をしていくことで、学力習得の一助としておりました。
しかし、私は昨年度の全国調査、小学校算数のいわゆる「椅子の問題」、これを契機といたしまして、ある問題が解けない理由を「数式に苦手意識がある」とか「問題の意図を読み解く力が足りなかった」など、抽象的に分析して終えてしまう、長年実施している影響もあるかと思いますが、全体的に分析がやや形骸していると感じているのが今の評価でございます。
(議員質問)
その評価を受けて、今後どのような取組を行うのか、伺う。
(教育長答弁)
調査結果の分析におきましては、「なぜこの問題が解けなかったのか」という原因や背景を把握し、「解けるようになるためにはどういう時期に、どういう指導が有効なのか」を考え、実践していく必要があると、この一年半をかけまして市町村の教育長さん方と共通認識を持つに至りました。
この再スタートラインに立ちまして、全国調査結果に集中して取組を進めることとし、全国調査の結果を文部科学省から提供された分析シートの活用により、学校ごと、児童生徒ごと、問題ごとに何が課題であるかを把握し、単元のつまずきを改善するように、県がリードして授業改善をしていくことが効果的と考えました。
具体的には、来年度から、課題のあった全国調査の問題に関連して、県が作成する評価問題や授業プランを各学校が活用できるようにする「小学校理数教科指導力向上プロジェクト」におきまして、問題の解けなかった子どもがどのように理解が進んだのかを確認するとともに、本来その内容を学ぶ学年の授業改善が進むよう、市町村教育委員会と一緒に取り組んでまいります。
(議員質問)
「たつじんテスト」を実施した学校の具体的な成果とはどのようなものだったのか教育長に伺う。また、今後、この「たつじんテスト」の効果をどのようなものさしで測ろうとしているのか伺う。
(教育長質問)
「たつじんテスト」の実施校からは、次のような報告がございました。
「思っていたより分数の理解が進んでいないことが分かった。小数との大小関係の理解を促したい」とか、「形の穴埋め、図形の変わり方で決まりをみつけることにつまずきが多かった」とか、「『一週間は何日か』などに関するつまずきが意外なほど多かった」というものがございました。
全体的な傾向で申しあげますと、分数や小数の大小関係、図形の認識、文章の読解などで、子どもたちのつまずきは、教員が思っていた以上にあったようでございます。
このことは、子どもたちが、何につまずいているのか、どのようにつまずいているのかを十分に把握できていないことを表しているのではないかと思います。このギャップが、子どもたちが分からないまま授業が進み、高学年になるにつれ、学びへの興味を失うことにつながっているのではないか、とも思います。
今回の結果を受けて、教員の意識の変容も見られます。単なる点数ではなく、子どもたちの解答そのものに目を向け、このように教えたら分かるだろうという方法論だけではなく、誤答の背景にある概念の不足や思い込みなどを考えるようになったことで、これまで以上に、児童生徒の理解や指導の工夫、授業改善につながったという声が多く聞かれました。教員同士で課題を共有し、協力して指導方法を検討するなど、学校全体で組織的に、子どもたちの学びを支える意識が高まったとも聞いております。
また、「たつじんテスト」の結果を受けて、その後の授業で具体物や視覚的な教材を活用するといった指導の工夫がなされ、学習内容の理解が深まったという直接的な授業改善の例もございます。
「たつじんテスト」の目的は、児童生徒の学びの基盤を把握し、適切な指導につなげることにございます。そのため、児童生徒のつまずきを発見し、適切な支援ができているか、学校全体で指導の工夫が共有され、授業改善につながっているか、児童生徒が「分かる」喜びを実感し、学習意欲が向上しているか、といった点を、市町村教育委員会や各学校が、検証していくことが大切です。
先ほど申しあげた全国調査の活用と「たつじんテスト」の取組を通じまして、各学校における組織的な授業改善が進むこと、学習内容が分からなくて困っている子どもたちが減り、自信を持って学べるようになること、こういった成果が多く出ることを期待しております。
この取組だけで子どもたちの学習が進んでいくという訳ではございませんので、「たつじんテスト」の効果を直接、目盛りのついた「ものさし」のようなもので測ることは難しゅうございますが、学力調査で正答率が低い子どもが減っていくこと、これがひとつの目安になるのではないかと思っております。
お問い合わせ先
島根県教育委員会
〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
島根県教育庁総務課
TEL 0852-22-6605
FAX 0852-22-5400
kyousou@pref.shimane.lg.jp