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県議会答弁:令和6年6月定例会(成相議員質問分)令和6年6月24日

(議員質問)

 一昨年の11月議会、昨年の9月議会でいじめと不登校について質問した。教育長は生徒に対して直接アンケートを行うと答え、今年3月には調査が終わり、纏めたと伺った。前向きに取り組んでいただきお礼を申し上げたい。その結果の概要について伺う。

 

(教育長答弁)

 今回の調査は、宍道高校、浜田高校両校の定時制・通信制の生徒1,944名を対象に、メール配信により、ウェブアンケートフォームで実施し、309人から回答がございました。そのうち210人が、小学校または中学校において、不登校になったことがあると回答しております。
その主たる要因は、小・中学校とも、順不同でございますが、「いじめ」「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「教職員との関係をめぐる問題」「無気力、不安」が多いという結果でございました。


 

(議員質問)

 国においても奇しくも同じ時期に1県3市において生徒、保護者、教師にアンケート調査が行われたと聞く。どのような調査結果となっているのか伺う。

 

(教育長答弁)

 議員が今お取り上げになった調査は、昨年度、公益社団法人子どもの発達科学研究所、及び浜松医科大学子どものこころの発達研究センターが受託いたしまして、「不登校の要因分析に関する調査研究」を実施したものであります。
1県、3市の教育委員会が調査に協力し、調査対象者は、令和4年度に小学3年生から高校1年生であった児童生徒、その保護者、及び当時の担任等となっており、高校進学などで調査対象を追い切れない中学3年生は除かれております。
この調査は、不登校児童生徒に関する教師回答、本人回答、保護者回答の三者間比較を行い、回答の傾向を把握するもので、教師または児童生徒本人からみえる不登校の関連要因を明らかにすることなどを目的としております。
この調査では、「いじめ被害」に該当すると回答した児童生徒の割合が、26.2%であるのに対し、教師の同じ回答は、4.2%となっています。同様に「教職員への反抗・反発」は、それぞれ35.9%と3.5%、いずれも教師回答が、児童生徒本人回答より、20ポイント以上低くなっており、双方の認識に大きな差があることが示されております。

 

 

(議員質問)

 それまで県が示してこられた調査結果との違いはどういう点か伺う。

 

(教育長答弁)

 冒頭に申し上げた国の毎年度の調査では、調査対象が生徒本人ではなく、学校であります。昨年度、学校が要因として挙げたのは、多い順に、小学校では、「無気力、不安」、「親子の関わり方」、「生活リズムの乱れ、遊び、非行」、中学校では、「例示項目に該当なし」を除きますと、「無気力、不安」、「生活リズムの乱れ、遊び、非行」、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」となっております。
今回の調査により、不登校を経験した生徒の受け止めとしては、人間関係に起因するものが多い傾向にあります。文部科学省の調査時に要因を分析した学校との認識には違いがあるということがわかったところでございます。

 

 

(議員質問)

 なぜそうした違いが出たと考えられるか見解を伺う。

 

(教育長答弁)

 今回の調査は、文部科学省調査の不登校の要因を分類した対象者のそれぞれの割合を均等に抽出して調査したものではございません。宍道高校、浜田高校両校の定時制・通信制の生徒のうち、現時点で回答ができた生徒のみが回答しているため、直接に、不登校となった要因の比率を二つの調査で比較することはできない点に、特に留意する必要がございます。
そのうえで、それぞれの項目に回答した生徒数の分布から推察いたしますと、この調査に回答した生徒は、現時点で過去を振り返って不登校になったきっかけを冷静に分析して回答しているのに対し、文部科学省調査では、学校が調査に回答する時点で、調査項目にある要因に振り分けざるを得ないことや、その当時は、児童生徒に聞いても不登校となった要因が児童生徒本人自身もわからない場合が多く、外形的な要因を回答する傾向にあったと思われます。
このことから、現時点の生徒自身の捉えと当時の学校の捉えに違いが生じたものと考えております。

 

(議員質問)

 国の継続調査における令和4年度の結果と今回の県調査結果によると、「いじめ」、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」、「教職員との関係をめぐる問題」は県調査では多いという結果が出た。「無気力・不安」については、県調査では少なくなっている。国が県と同時期に実施したアンケート調査結果でも同様の傾向が見えている。これらの調査結果を踏まえ、知事はどのような感想を持ったのか伺う。

 

(知事答弁)

 今回の教育委員会の調査、また、文部科学省が今回行った調査(研究)というのは、これまで文部科学省のもとで継続的に行われていた学校の先生から見た原因推定の数値と、顕著な差があるということが判明しまして、先生が見た見方と生徒が見た見方に差があるということが判明しました。
原因は、厳密にはわかりませんけれども普通に考えて、いかに先生とは言え、生徒のことが何でもわかるというわけではないので、傍から見た見方では限界があるということと、先生が問うたとしても、本人が正直に言われるかどうか、正直に言った方が面倒なことになるという環境があるのではないかというふうに思いますけれども、そういうことじゃないかと、つまり、これまでの継続してきた学校、教員目線の調査結果ではなく、要するに、無気力とか不安とかという本人起因で不登校になっているというケースというのは、その多くの場合が、もうひとつ遡って背景があると推測すべきだということが明らかになっているのではないかというふうに思います。
ただ、つとめて、学校教育の、教育内容そのものでございますので、県教育委員会には、この結果を市町村教育委員会を中心として、各方面に周知をしていただきまして、学校が捉えている不登校要因と子どもが捉えている不登校要因には構造的に差があるということを認識してもらい、学校の先生方には、自分の認識をさらに修正をして、補正をして、生徒への対応を行ってもらうということに期待するところであります。

 

 

(議員質問)

 不登校、中でもいじめによるものは徹底した防止対策と発生したときの対処やその後の対応を、アンケート結果を踏まえた新たな視点に立って講ずる必要がある。どのように考えているか伺う。

 

(教育長答弁)

 一点、議員が、例えば、「いじめ」を原因と答えた割合が二つの調査で大きく違って、その比率が何十倍違うということをおっしゃいましたけれども、実は、分母が正確にとらえて、国の調査の縮小系でやっておりませんので、そういった比率を直接比較することはなかなか難しいというふうに先ほど答弁させていただきました。ただ、今回の調査で、「いじめ」というもの、人間関係によるものが多いということは事実でございます。その点、非常に注意して、この比較しなければならないというふうに思っておるところでございます。
言いましたように、実際、人間関係によるものが多いという結果というのは出ておりますので、やはり、これにつきましては、これまで子どもたちが休みがちになるという外形的な部分を中心として捉え、支援の在り方を考えてきた、ただ、今回の調査に、その背景に、先ほど、知事も申し上げましたけれども、人間関係の悩みが隠れているかもしれない、という視点を持つことがとても大事なことであります。
特にいじめに関して、行っている側も、あるいは、場合によっては受けている側も、その時にはいじめであるという認識はないかもしれません。
しかし、それが数を重ね、時間を経ていくと、知らぬ間に、心が傷ついていき、不登校になるケースが現実にあるということを、子どもたちを含めて関係者に啓発していく必要がございます。
そして、周囲の大人全体で子どもたちのわずかな変化を感じた時に声掛けをしていくことの重要性を改めて感じたところでございます。
こういったケースなどの対応を含め、今回の調査結果に対して、どのような対応をとるべきかしっかり検討してまいります。


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