県議会答弁:令和6年6月定例会(田中議員質問分)令和6年6月21日
(議員質問)
なぜ県外の環太平洋大学と連携協定を結ぼうと考えたのか、そこに至った思いと経緯を伺う。
(教育長答弁)
IPU環太平洋大学は、大学スポーツ界のみならず世界で活躍する選手を輩出する強豪校として数々の実績があり、また、選手のセカンドキャリアとして、スポーツトレーナーなどのスポーツを支える人材の養成も行っておられます。
このような知見を生かし、選手一人ひとりの体力測定や運動能力の分析を行ったり、競技種目の特性に応じた専門的なトレーニングの個別指導を受けることができることを、私の旧知の仲であります川本高校レスリング部出身で、アトランタオリンピック7位、世界選手権2位、引退後は日本代表コーチにもなるなど、選手・指導者として優秀なキャリアをもつ担当の嘉戸洋准教授からそう聞いておりました。
そこで、昨年度、横田高校のホッケー部や島根中央高校のカヌー部などの選手を、島根かみあり国スポや、来年度中国ブロックで開催されるインターハイに向けた競技力向上のために派遣する事業を始めました。
最初に派遣しました横田高校ホッケー部には、私も状況把握のため、同行いたしましたが、その際、教員養成のための実習施設を視察したり、教員養成にかける思いを伺いました。
また、同大学は、本県の教員採用試験において、私立大学の中では、近年、受験者数、採用者数とも上位にあることから、ただちに教員採用の担当者を大学に派遣いたしまして、詳細についてお話を伺ったところ、教員を目指す学生の教育力の育成や、子どもたちへの対応力の習得に、特に力を入れて取り組んでおられるということでございました。
このような経緯から、是非とも本県からの進学者の確実な呼び戻しと、併せて、このような素晴らしい環境で学んでいる多くの学生に、本県の採用試験を受験していただきたい、島根で教員になってもらいたい、との、強い思いから、こちらから連携協定の話をさせていただいたところ、快く応じていただいたところでございます。
(議員質問)
島根県の教員採用者のなかで、環太平洋大学出身者はこれまで何人か、過去3年の採用者人数を伺う。また、環太平洋大学との連携協定は具体的にどのような内容か伺う。
(教育長答弁)
過去3年の採用者数はすべて小学校で、令和4年度7人、5年度6人、6年度7人であります。
また、昨年11月に締結した協定における連携事項は、5つあり、教職の魅力発信、学生の実践力育成、教員の資質・能力の向上、学校教育の充実、その他、となっております。
このうち、一つ目の教職の魅力発信については、県教育委員会から大学に教員を派遣し、本県の教育活動の実践紹介を含め、教職の魅力や、やりがいについて講義を行っております。また、二つ目の学生の実践力育成については、大学の2年次に行う「アウトリーチ教育実習」を本県の小学校2校で受け入れております。
三つ目の教員の資質・能力の向上と、四つ目の学校教育の充実については、本県の現職教職員のスキルアップや、児童生徒へのサポートに関わる取組を進めていきたいと考えております。
(議員質問)
昨年度から、環太平洋大学では、島根県で3日間の「アウトリーチ教育実習」という取組が行われている。その実習の内容や学生の参加人数、その成果について伺う。また今年度の実習計画についても内容を伺う。
(教育長答弁)
「アウトリーチ教育実習」は、表現教育を中心として小学校で実施されており、学生が、歌とダンスを交えた身体表現運動を児童に教え、最終日には学年単位の発表会も開催されています。
これまで他県で行っていたこの実習を、昨年度、本県の小学校2校で受け入れ、9月に江津市の高角小学校で24名、10月に出雲市の北陽小学校で48名、計72名の学生が参加しました。またそれぞれ、この実習を支える指導教員や、音響サポートスタッフ、記録スタッフなど、学校関係者が10名同行されました。
この表現教育の授業は、高角小学校では、1年生から6年生の全校児童198名、北陽小学校では、3、4年生の208名が参加しました。この授業を通して、子どもたちは、身体表現運動の楽しさや達成感を実感し、学生は、子どもたちに正面から真剣に向き合うことで、子どもの素直さと成長を感じられる体験をしました。保護者も参観した最終日の発表会では、学生と子どもたちが一緒に歌とダンスで自分の思いを表現しました。
実習に参加した学生は、約9割が県外出身者でしたが、島根の子どもたちとのふれあいや、感動的な体験を通して、将来は本県の採用試験も受験したい、との声が多く聞かれました。
また、受入れ先の小学校からは、「子どもたちが、日常の学校生活では体験できない、とても大きな感動を得ることができ、大変有意義な活動であった」との報告を受けております。
このように、本実習は、子どもたちが素直で一生懸命なところと、それを育む教職員や教育環境に恵まれているという島根の良さと教職の魅力を多くの学生が実感できる素晴らしいプログラムであり、本県の教員志望者を増やすために、今後も積極的に受入れを進めていきたいと考えております。
今年度は、9月に松江市の出雲郷小学校と、吉賀町の六日市小学校で予定しており、合わせて約100名の学生が参加する予定となっております。
(議員質問)
島根県で行うアウトリーチ教育実習以外で、環太平洋大学との連携協定の中で行われた活動、また今後予定している活動等があれば伺う。
(教育長答弁)
先ほど申し上げましたこちらからの教員を派遣する事業につきましては、昨年度は、「ふるさと教育」をテーマに、本県がこの教育に取り組んだ経緯や、子どもに身につけさせたい力についてワークショップ形式で講義を行い、学生に大変好評だったと聞いています。今年度は、「ふるさと教育」のほかに、「人権教育」についても実施することとしています。
現職教職員のスキルアップについては、大学から講師を招へいした、教職員研修が実施できるよう現在、大学と協議をしております。また、児童生徒へのサポートについては、同大学が、スポーツ科学にも力を入れていることから、児童生徒への健康づくりや体力増進のためのサポートを受けることを検討しております。
(議員質問)
県教委は近く、広島文教大学とも連携協定を締結される予定があると聞いている。この大学からの過去3年の島根県教員採用者数を伺う。また、連携協定に至る経緯とその思い、さらに連携協定はどのような内容を予定しているのかについても伺う。
(教育長答弁)
広島文教大学からの過去3年の採用者数は、令和4年度12名、5年度11名、6年度12名となっております。
同大学は、本県の採用試験において小学校だけでなく、近年、中学校の受験者も増加傾向にあり、また、その多くは県内出身者であること、そして、環太平洋大学と同様に県内で実習を行ってもらうことで、他県出身の学生にも本県の受験動機を持ってもらうことができないかと考えまして、こちらから協定締結について相談し、快諾していただいたところであります。
単に説明会などのやりとりだけでなく、学生が実際に島根に来て島根の子どもたちに触れ合ってもらう、そのことが、学生たちに向けて、島根の子どもたちとは良い関係が築ける、教えがいがある、自分の教員としての思いや力が発揮できる環境にあると思ってもらえることにつながると考えまして、大学との話し合いの中で、2年次に「学校教育の体験活動」を島根で行っていただけないかと提案したところ、これも快諾していただきました。
協定の大きなねらいである、学生が島根の教育を体験する、島根の子どもたちと触れ合う、という目的を達成できることをうれしく思っております。
(議員質問)
今後も県外の大学との連携協定を進めていく考えがあるのか伺う。
(教育長答弁)
県外の大学から、先ほどの二つの大学のように、教員が特に不足している小学校の採用試験に、継続して一定数の受験者、合格者を出しているところは、他には残念ながらございません。したがいまして、現時点で、さらなる協定先の検討はしておりません。
しかしながら今後、教員の処遇改善や、働き方改革が進み、また、島根が取り組むふるさと教育などの地域と協働した教育や、昨年12月に市町村教育委員会と行った働き方改革の「共同メッセージ」などの発表により、教員を守る姿勢が広く知れ渡れば、受験動向も変わってくるのではないかと期待しております。そういった時に状況を見極めまして、これまでと同様の内容を盛り込んだもので、候補となる大学に声をかけていきたいと思っております。
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