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県議会答弁:令和6年2月定例会(成相議員質問分)令和6年3月1日

 

(議員質問)

「国スポ大会競技力向上対策事業」の対象とならないクラブでは、県選抜メンバーに選ばれない選手や指導者は、中学校から何等支援が受けられず改善されないままである。

松江市や出雲市のように生徒数も多く学校数も多い地域では、希望する部がないことは、たとえ強化するクラブでなくても、子供にはスポーツを楽しむ権利を奪い、教育サービスの低下は学校満足度を低いままにしていることになる。
学ぶ中学校にニーズのある部活を設置してもらい、そののち社会体育移行を図るのも方法ではないかと思うが、教育長の所見を伺う。

 

(教育長答弁)

部活動を学校に設置することについて、要件としては、継続的な部員の確保、練習環境の確保、専門的な指導者の確保、などが、考えられますが、現状では、少子化による部員数の減少により既存の部活動すら維持が困難になっている状況があることや、多くの学校で部活動に係る経費を支援しているPTA会費も、生徒数の減少により予算額が年々縮小している中で、新たな部活動を設置することによって、一部活動当たりの予算額の配分がさらに減少し、安定的な活動に支障をきたす可能性があること、などから、学校側が、新たな設置を躊躇している例が見受けられます。
これまで、子どもたちが、スポーツに親しむ、継続して取り組んでいく、といった、入口を、中学校の部活動が、担ってきた状況は大きく変化し、「まずは部活動から」とは、必ずしも、といいますか、むしろ多くの場合、そうはいかなくなってきている、と思います。
その一方で、社会体育で活動する生徒について、これまでも可能な限り大会参加への機会を確保できるよう、一部では、学校長等の判断により、部活動として認定した上で、部活動で活動する生徒と同様に学校名での大会参加を可能にしたり、欠席扱いとはしないようにしてきた事例がございます。
その際の費用負担がどのように行われているかについては、様々な状況があり一概には言えませんが、学校において、他の予算を削って大会参加費を捻出し、負担をする事例や、市町村のスポーツ担当部局やスポーツ協会等から社会体育への助成という形で、費用の一部を支援したり、激励費という形で支援する事例もあると聞いております。
また、そもそも、大会参加に限らず、スポーツ協会に加入している組織に対して、指導者謝金、練習会場の使用料など年間の活動費の一部を助成している例もございます。
公立中学校の部活動において、新たな部活動を設置するかどうか、は、最終的には学校長が判断することではございますが、子どもたちが、大会への参加を含め、安定的に継続してスポーツ活動を行えるようにするには、仮に、部活動として現在活動ができない状況のものであれば、社会体育での活動を、状況に応じて部活動として認定してもらうことが現実的ではないかと、私は考えております。

 

(議員質問)

公立中学校において「働き方改革」イコール学校の関与をなくしていく「部活の社会体育への移行」とならないように、県教育委員会と市町村教育委員会とが、共通認識を持って、子供たちのことを第一に考え、取り組んでいってほしいと思うが、教育長の所見を伺う。

 

(教育長答弁)

公立中学校の部活動の地域移行について、国のガイドラインでは、少子化が進む中で、子どもたちが、将来にわたりスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむことができる機会を確保することなどを目的に、令和5年度から7年度までの3年間を、改革推進期間として、部活動の地域連携を含めた地域移行に取り組みつつ、地域の実情に応じて可能な限り早期の実現を目指す、との方針が示されております。
しかしながら、部活動を完全に地域移行するには、主に次の3つの課題、活動の受け皿の確保、費用負担、指導者の確保、といった、課題を解決する必要があり、これらの課題を即座に解決することが難しい中で、2030年に島根かみあり国スポを控える本県では、地域移行を積極的に進めていく状況にはないと考えます。
その一方で、将来的には、子どもたちの活動の機会の確保に向けた地域移行を進めていく必要があるため、活動の受け皿の確保や費用負担の課題については、市町村が、指導者の確保については、国の事業を活用する上で、県が、それぞれ主体となって取り組む必要があります。
そこで、県教育委員会では、これまで学校への配置を進めてきた、2つの外部指導者制度、一つは、教員に代わって単独で指導や引率ができる「部活動指導員」と、もう一つは、教員が部活動の現場にいることを条件に指導を補助する「地域指導者」とに加え、新たに、来年度からは、教員が部活動の現場にいなくても単独で指導ができる「地域連携指導員」の制度を導入したいと考え、それに係る予算を今議会に提案しております。

この「地域連携指導員」の設置の目的は、地域移行を見据えた指導者養成につながること、教職員の部活動指導に関わる時間が減ることから、働き方改革にも効果があること、行政において指導者の報酬を負担することにより、保護者の経済的負担を軽減することのほか、さらには、島根かみあり国スポ・全スポの役員、審判員、サポーター等のなり手となる人材を養成していく側面もございます。
これまでも、市町村教育委員会に対して、活動の受け皿の確保、費用負担、指導者の確保、といった諸課題を解決できるのであれば地域移行を進め、そうでなければ、外部指導者を活用して部活動の地域連携を図る手段もあることから、2030年の、島根かみあり国スポまでの時期を一つの目安として、部活動の在り方の検討を進めてほしい旨、説明してきております。
私としては、議員がご懸念のように、現在ある子どもたちの活動を、大人の事情で制限することが可能な限りないようにするために、知事部局、市町村教育委員会等の関係機関と共通認識を持ち、皆で知恵を出し合って、より良い活動となるようにしていきたいと考えております。

 


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