県議会答弁:令和5年6月定例会(坪内議員質問分)令和5年6月21日
(議員質問)
従来の「県立高等学校再編成基本計画」に代わる、現在の県立高校魅力化ビジョンを策定するにあたり、検討委員会及び県教育委員会は、浜田市と江津市をひとつのエリアとして検討されてきた経緯があるが、このたびの高校の在り方の検討は、江津市内の県立高校2校を対象とされている。
この検討に至った背景について伺う。
(教育長答弁)
県立高校魅力化ビジョンにおける地域別の高校の在り方については、松江市・出雲市の「都市部」と、この2つの市を除く「その他地域」の大きく2つの地域に分けて示しています。また、これとは別に、浜田市・江津市の県立高校の方向性については、先ほど議員がお取り上げになったとおり、検討委員会で示された視点を踏まえた取組や検討を進めることとして、各高校においては、地域と一体となった魅力化・特色化を進めてまいりました。
しかしながら、今年度の江津高校、江津工業高校では、両校とも入学定員が80人であるのに対し、入学者数と定員充足率は、江津高校が66名で82.5%、江津工業高校が45名で56.2%となっています。
また、今後、江津市内の中学校を卒業する生徒数の推計は、今年3月の180名に対して、現在の中学校一年生が卒業する令和8年3月が148名で32名の減、小学校一年生が卒業する14年3月が140名で40名の減、となっており、今年と14年を比べると9年間で22.2%の減であり、この間、増減を繰り返すものの、その減少傾向が顕著であると言えます。
一方で、浜田市内の中学校を卒業する生徒数の推計は、今年3月の410名に対して、8年3月が415名で5名の増、14年3月が378名で32名の減、となっています。今年と14年を比べると7.8%の減であり、江津市ほどの大幅な減少は見込まれていません。
また、江津市内の中学校卒業者のうち、両校への近年の進学者数は、江津高校が3年度が47名、4年度が46名、5年度が45名、江津工業高校が、3年度から5年度までの3年間、各年度とも20名であります。
さらに、8年度にはこれが、江津高校が35名、江津工業高校が15名になると推計しており、両校とも、地元の中学生の入学者数がそれぞれ1学級40人に満たない状況が予測されます。
このため、このたびの検討では、浜田市と江津市をひとつのエリアとして考えるのではなく、江津地域の子どもたちの教育環境を最優先に検討していく必要があるとの判断をいたしました。
(議員質問)
グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により社会は急速に変化しており、高校もまた、学校運営協議会やコンソーシアムなど多方面の方々からの意見を聴きながら、中学生から選ばれる魅力ある高校づくりに取り組んでいく必要がある。
そうした中で県教育委員会では、江津高校、江津工業高校の2校の在り方について、今後どのような方向性で検討していくのか伺う。
(教育長答弁)
知事が施政方針で示したとおり、今後の検討に当たっては、江津地域の子どもたちの選択肢を確保した上で、充実した高校教育を提供し、卒業後の進路に繋げていくことが最も重要であると考えております。
そのためには、一定の学校規模において子どもたちの将来の夢の実現に向けた多様な学びのニーズに対応すること、また、学校行事や生徒会活動、部活動の充実などにより、コミュニケーション能力を身に付けたり、切磋琢磨できる教育環境を確保することが必要と考えます。
このため、現在、1学年2学級である両校を統合し、新たに1学年3学級の高校を設置することを基本として、検討を進めていきたいと考えています。
また、この新たに設置する高校においては、江津高校が築いてきた地域との連携による進学を念頭に置いた学びとともに、江津工業高校の前身校から数えると100年を超える学びと、県西部の工業教育へのニーズに対応した学び、これらの学びを継承する教育を目指します。
具体的には、進学を念頭においた学びのため、1学科1学級において、看護・栄養・保育などの資格職を目指すコースと文系進学を目指すコースを設定、また、工業教育の更なる魅力化を図るため、1学科2学級において、機械系・ロボット制御系・建築系・電気系のコースを設定したいと考えています。
これらにより、これまで両校が築いてきた学びを2学科3学級で更に充実させ、地域の中学校卒業生の進路の選択肢を確保し、子どもたちにとっても地域にとっても魅力ある高校づくりを進めたいと考えています。
なお、新たに設置する高校は、工業教育の実習施設や設備が必要であることから現在の江津工業高校の場所を念頭に検討することを考えております。
繰り返しになりますが、今後の検討に当たっては、何よりも江津地域の子どもたちの進路の選択肢の確保と、教育活動の充実を最優先に考えてまいります。
(議員質問)
現在の「県立高校魅力化ビジョン」策定時には、検討委員会による地域公聴会が開催され、パブリックコメントも実施されている。
このたびの検討にあたっても、できるだけ学校や地域の関係者の意見を聴いていただきたいと考えるが、県教育委員会においては、今後、どのようなスケジュールを考えているか伺う。
(教育長答弁)
先ほど、議員がお取り上げになったように、江津市におかれては、江津高校、江津工業高校と江津清和養護学校の市内3校とともにコンソーシアムを設置していただき、地域の様々な組織の方々と江津地域の未来を担う人材の育成に取り組んでいただいております。県教育委員会といたしましては、こうした地域の方々からのご意見をいただきながら江津地域における教育環境の整備を進める必要があると考えております。
そのために、まずは、本議会の終了後の7月中に、学校関係者や地域の方々を対象とした説明会を開催いたします。
また、8月から、有識者で構成する島根県総合教育審議会において、江津地域の県立高校の在り方について議論を始めます。あわせて、両校の学校運営協議会や、先ほど述べたコンソーシアムからもご意見を伺ってまいります。
こうしていただいたご意見などを踏まえて検討を重ね、都度都度、県議会にもご相談し、ご意見を伺いながら、できれば年内に、基本的な方針を決定したいと考えております。
なお、新たに設置する高校の開校時期につきましては、教育課程の検討や、それを実現するための施設整備を伴うことから、令和10年度前後になろうかと思っております。
(議員質問)
答弁の中での定員の充足率について、江津工業は45名で56.2%と厳しいと思うが、江津高校の82.5%という数字が、県内の他の中山間地域等に立地している高校に比べて、とびぬけて低い数字ではないと受け止めている。併せて市内の子どもたちが少なくなっており、市内から2つの高校に行く生徒も必然的に少なくなってくることは理解できるし、市内で生まれる子どもの数が100人を切ってきたという大変厳しい状況がある。一方で江津高校では寮がない中で市外からの生徒の受け入れも力を入れてきており一定数の生徒がいる。江津工業は石見地域唯一の工業高校であり、そういった意味で市外から通う生徒もいる状況の中で、答弁では江津市の子どもの数が減ってきて1クラス維持できない、40人に満たない状況とのことだが、市外からも生徒を受け入れてきているこの取組みの状況もみながら、この議論を進めていただきたいと感じている。令和10年度前後と具体的な時期も答弁の中に盛り込まれた。いろんな角度からこの問題を捉えていただき、結論ありきで議論を進めることのないようお願いしたい。
(教育長答弁)
江津高校の充足率につきましては、今年は少し市外生が多く入学したところでございます。
令和8年の推計では、市内からの子どもが35名程度になるのではないか、そして市外からの子も11名程度ではないか、と予測しており、46名程度で、5割に近い充足率となります。こういったことも踏まえながら、将来予測を立てながら、検討をしているところでございます。
また、地元の方にとりまして、約10年前に、一度浜田市と合わせた高校の再編の話が、地元をまき込んで行われたところ、結果的には再編がなく、話が終息したという状況で、今般、統合の話を、しかも具体的に2校の統合の方向で検討するというお話をさせていただき、大変、突然の話で不安に思われたりしていると思います。
先ほども述べました、こういった検討に至った状況を、地元の方にもしっかり丁寧に説明させていただいてご理解を得て、そして何度も申し上げておりますが、江津の子どもたちが将来どういう高校教育の環境があれば魅力的で明るく前を向いて高校を目指す、あるいは将来の選択をするといったことができるのか、この点を最優先に考えて、検討を進めていきたいと思います。
私が述べました考え方、これに固執している訳でも、決定した訳でもございません。設置者としての検討案、たたき台といいますか、そういうものをお示ししないと議論がなかなか進まないですし、設置者としての責任としてお示しすることが大事だと思っておりましたので、この2年間、内部でしっかり検討を進めて、今般の基本的な我々の案、地域の方に検討いただく案というものを、ここに公表させていただいて、地域の方と話し合いを進めていきたいと考えております。
議員あるいは地元の方のご不安にしっかり応えながら、丁寧に議論を進めていきたいと考えております。
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