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令和5年2月27日文教厚生委員会教育長挨拶

(教育長挨拶) 

 今回、当初予算を御審議いただきます。昨年度、今年度当初予算は、子どもの選択肢を拡げるという大きなテーマの元に、理数教育の推進、そして特別支援学校の地域との交流、将来卒業してからの自立を目指した在学中の地域との交流、この大きな2つを重点的に予算編成に取り組み、御提案させていただいて、御承認をいただきました。この1年間、県立学校はもとより、市町村教育委員会、あるいは市町村の小中学校等の現場の方々を含め、多くの方々の御理解をいただいて着実にその方向に進んでいると理解しております。将来の子ども達の選択肢をしっかり拡げる方向で一丸になって進んでいると感じております。引き続き、来年度もその大きな方向性で進んでいきたいと思っております。

 

 そして、来年度の当初予算では、さらに2つのことを重点的に予算編成に取り組みまして、今回御提案させていただいております。一つは幼児教育施設と小学校の連携であります。何度か答弁でも申し上げておりますが、幼稚園、保育所から小学校1年生になった途端に、環境が大きく変わります。我々の小さい頃と違って、入学式の次の日から、きちんと前を向いて、45分間席に座って先生の話を聞くことがなかなかできない状態にあります。小学校200校のうち50校から直接話を聞きましたけれども、平均で7月頃、6月の末頃から7月頃にこのことができるようになると。その分だけ、小学校1年生の学習の遅れ、生活リズムの確立に遅れがでます。もちろん取り返そうとすると子ども達の負担になるわけですけれども、それが溜まってくると学習の遅れになります。学力のことについて、今議会でもかなり御質問いただきましたけれども、そのスタートがきちんときれていないという状態だと思っています。そこを県教育委員会の組織としては、専任の管理職をつけることとし、人が対応することですので、予算としては大きな額ではありませんが、幼稚園、保育所といった幼児教育施設の段階で将来を睨んだことを少し考えていただきたいと思っています。そして、どう育ってきた子ども達であるかを理解した上で、小学校1年生として受け入れると。相互理解をもっともっとした上で受け入れる必要があると考えております。現在もやってはおりますが、私は50人の教頭に聞きましたけれども、全校でしっかりできているという風には、なっていないのだろうと思っています。現実として成果として現れていない、こういったところをしっかり直していきたいと思います。

 

 もう一つは、放課後児童クラブでの学習支援であります。今はほとんど保育所ですので、保育ということは家庭の延長であります。家庭教育支援に準ずるものです。家で過ごしていたいろいろな時間を保育所で過ごす。同じような環境が放課後児童クラブでもあるだろうと。これも学童保育と言われるように、家にいたところを親御さんが働いておられるので、家ではなく、学童保育で過ごすと。つまり、これも家の延長であります。家で勉強をしているのが普通でありますけれども、その時間、学習に向き合えていないのではないかと。宿題はするけれども、量はこなしているけれども、集中して質として身に入る勉強ができているかというと、なかなかそういう環境にないところがあります。そういったところをきちんとして、集中した勉強ができるように支援するのも大人の役割だろうと思っています。これも予算での対応も考えましたが、既存の放課後児童クラブの運営費というのが、一つ一つのクラブ単位で見ると補助の上限までいっておりません。ということは、人がいてくだされば、もう少し人が雇える、ということになります。みんなが財源を出し合って、支援するということです。基本的には市町村の仕事ではありますが、全県に共通する課題でありますので、去年の秋くらいからそこを何とかしようと市町村の教育長さんともよく話をしております。保育という観点ですとなかなか難しい方も、保育があった上での学習支援という別の層では可能ではないかと私は思っています。退職教員の方であるとか、教員のうち、非常勤で働いておられる方でありますとか、そういった経験のある方にお願いして、学習を効果的にできるようにやっていくことが大切だと思っております。単に30分は座って必ず勉強しなさい、といっても落ち着いて勉強できる環境ではなく、すぐ隣に人がいる、人の動きが気になる、話し声が気になる、学習としては、なかなか効果的でないだろうと思います。そうするとそういった学習指導だけやられる方に応援していただけないかと。そういう新しい層を人材として発掘できないかと、市町村の教育長さんと話をしています。また、退職校長会とか退職教員の互助会とか、そういった組織にも話をさせていただいております。教職員互助会では、新しく私塾のような形で学習環境をつくる取組を支援しており、そういったところのイニシャルコストの補助制度もつくりまして、何件か御利用もございます。ムーブメントとしてそういった動きが起これば、という風に思っております。そういった取組で全体として学習効果を高める、どうせするなら効果の高まる学習をできないかと考えております。これは全クラブが同じように進むわけではございません。できるところからやっていくということで、取り組みたいと思っております。

 

 もう一点念願の特別支援学校のスクールバス、通学支援が何年かぶりに予算編成として大きく前進した提案をさせていただけるようになりました。保護者の方の負担をできるだけ減らすと。ドアツードアという訳にはいきませんけれども、大きなシステムとして、セーフティネットとして、遠方からの通学が一定程度できるように、ということです。なかなか障がいの重い方には難しいですけれども。また、市内の方、近い方も、特別支援学校は職員朝礼が終わってからでないと子どもを受け入れられませんので、自家用車で近くに送ってきても子どもを預けられません。こうなりますと8時30分からの仕事は無理でありますし、9時からでも無理かもしれません。そうすると職業の選択の幅が狭められてしまうという環境がございます。朝の預かり、放課後デーサービスの早朝版というものを教職員の負担なく始められるよう、提案させていただいております。県教育委員会としては力を入れて来年度伸ばしていきたいところであります。どうぞ御審議の程よろしくお願いします。


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