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県議会答弁:令和5年2月定例会(須山議員質問分)令和5年2月24日

(議員質問)

 県費で行う学力調査も含めて、学力・学習状況の調査を行う目的は何なのか、改めて伺う。

 

(教育長答弁)

 二つの調査結果から、児童生徒の学力や学習状況を把握し、児童生徒と向き合い、一人ひとりの状況に応じた指導・支援を行うとともに、学習指導の改善に生かすことを目的としております。

 12月に行う県の調査では、加えて、全国調査で明らかになった学習指導上の課題の改善状況を検証し、また、その学年で身に付けるべき力の習得状況の把握もしております。

 

 

(議員質問)

 小学校、中学校での全国学力・学習状況調査で、平成20年から5年ごと及び直近の調査の正答率について、島根県と全国平均とのポイント差の推移と、その傾向をどのように分析しているのか伺う。

 

(教育長答弁:抜粋)

 このような平均正答率について、文部科学省では、プラスマイナス2ポイントは、有意な差ではないと説明しております。

 例えば、今年度の小学校国語では、本県の平均正答率から、プラスマイナス2ポイントは、問題数にすると、14問中、およそ0.3問であり、プラスマイナス2ポイントの中に35都道府県が入っております。

 ただ、算数・数学においては、近年2ポイント以上の差が続く傾向にあります。問題解決における思考の過程や判断の結果などを、理由や根拠を明らかにして、自分の言葉で説明することなどに課題があると捉えております。

 

 

(議員質問)

 この結果を踏まえて、これまで県教委としては、どのような対策を取ってきたのか。また、その効果をどのように分析しているのか伺う。

 

(教育長答弁)

 一つひとつの設問に対する答え方を分析して、そこから課題を捉え、その課題に対する対策を立てて授業改善に取り組んでおります。

 授業づくりについての要点を示した結果概要や説明動画、各教科の指導の要点を小中学校別に記載した「指導の重点」、日々の授業で大切にしていかなければならない「授業チェックリスト」を作成・配付し、教育事務所の指導主事が、各市町村教育委員会と連携しながら学校を訪問して、授業についての指導・助言を行っております。

 平成28年度から3年間、小学校算数の授業改善を図るため、県教育委員会が県内8校を推進校に指定するとともに、授業リーダー教員を配置し、研究を進め、成果を全県に普及する事業を実施しました。

 令和元年度からの3年間では、県内小中学校10校を研究推進校に指定し、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善に、学校が組織的に取り組む事業を実施いたしました。

 この二つの事業は、子どもたちに必要な資質・能力を身に付けるとともに、学校での組織的な授業改善を進めることを目指しておりました。

 こうした研究の成果を、授業公開やリーフレット等で推進校以外の学校に周知をいたしました。推進校の授業改善の体制が構築され、児童生徒の学習に向かう意欲が高まったものの、様々な学校規模に合った学力向上の手立てを見いだしたり、広く普及するには至っておらず、全ての授業の改善がなされたというわけではないと私は捉えております。

 

 

(議員質問)

 学力調査に関する施策に対して何らかのKPIを設ける必要があると思うが、所見を伺う。

 

(教育長答弁)

 私は、児童生徒の成績そのものを県行政の施策の数値目標にすることは、適切ではないのではないかと考えております。成果の数値目標として、全ての児童生徒が参加する調査の正答率といった成績を挙げた場合、児童生徒自身が、その責任や引け目を感じてしまう懸念があり、教育的な配慮から、数値目標としてなじまないと考えております。

 成績以外の数値目標を内部で検討をしてみましたが、現在、適切な指標が見つかっておりませんが、数値目標の設定の有無に関わらず、引き続き、学力の育成には全力で取り組んでまいります。

 

 

(議員質問)

 「しまねの学力育成プロジェクト事業」の概要について伺う。

 

(教育長答弁)

 「しまねの学力育成プロジェクト」では、全ての普段の授業を、特別な教員の加配も、特別な予算の配分も行わず、勉強が分かってわくわくどきどきする授業に変え、子どもたちが論理的な思考ができ、自分の言葉で、それを語尾まできちんと話したり、書いたりすることができることで、学力がより身に付くようにすることを目指しております。

 事業の内容は、市町村への補助事業として、研究校を活用した授業改善と家庭学習の充実の取組、学力育成の取組方針の決定や成果検証を行う市町村学力育成協議会の設置、各教科等を学ぶ意欲を高めるための外部の組織や人材の活用、県教育委員会が行う事業として、研究校の特定の学年を持ち上がりで行う、3年間の経年比較の調査の実施、市町村の取組の効果検証を行うプロジェクトチーム会議の実施などがございます。

 先ほど申し上げましたとおり、これまでの事業では、全県に学力育成の取組が十分に横展開できていないと私は捉えており、本事業では、全ての児童生徒が学習に興味を持ち、学びの意欲を高めるような、効果的な学びが、全ての授業で行われることを意図したものでございます。

 

 

(議員質問)

 県費による学力調査については、将来的にはこの事業で実施するような個々の経年比較のできる調査に変更することとし、これまでの県学力調査は廃止すべきと考えるが、所見を伺う。

 

(教育長答弁)

 このプロジェクトで実施している調査は、事業期間である今年度からの3年間限りの事業でございます。研究校の今年度の小学校4年生を5年生、6年生、中学校1年生を2年生、3年生と、学力がどう変容していくのかを、個人を追って経年比較していくための調査であります。

 従いまして、県全体で現在行っている学力調査とは対象数やその役割が異なります。

 この事業の終了後、3年後でございますが、成果や課題などを検証し、今後の学力育成の取組については、総合的に考えてまいりたいと思っております。

 

 

(議員質問)

 市町村はこの事業に対し積極的でないとしか思われないが、このことに対しどのように分析をしているのか、所見を伺う。

 また、全県に成果を普及させるのであれば、もっと積極的に参画するような手法を検討すべきと考えるが、所見を伺う。

 

(教育長答弁)

 この事業はモデル事業として、19市町村のおよそ3分の1である、六つの予算枠をつくったところでございます。募集したところ、五つの市が応募されました。市のうち、残り三つの市は、既にそれぞれ独自の取組をされていることから手を挙げられませんでした。

 町村においては、教育委員会の規模から見て事務等の負担が大きいことなどから、応募されなかったと聞いております。

 また、事業を行っている五つの市合わせて、小中学校でそれぞれ、大規模校、中規模校、小規模校2校ずつ研究校が指定できましたので、モデル事業としては十分であると考えております。

 本プロジェクトを実施されていない市町村に対しては、事業途中の状況を学力育成会議等でお知らせし、情報提供をしてまいります。また、事業成果を全県へ普及させる際の報告会などにも、参加していただくことができるようにしておりますので、県内全ての市町村で、授業改善を一緒に行っていただけるものと考えております。

 

 


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