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県議会答弁:令和5年2月定例会(大国議員質問分)令和5年2月21日

(議員質問)

 教職員の長時間労働対策の、これまでの到達と今後の課題について伺う。

 

(教育長答弁)

 昨年12月に公表した、「『教職員の働き方改革プラン』の重点期間における取組検証」においては、次のとおりとなっています。

 時間外勤務については、プラン策定前の平成30年度には、全校種平均で、月65.1時間だったものが、令和3年度には、月36.6時間と大きく減少し、全校種で、月45時間以内の目標を達成しています。一方で、年360時間以内の目標は、特別支援学校を除き、達成できておりません。また、学校種、学校規模、職種による差異や、教職員間での多い少ないの二極化の傾向なども明らかになっております。

 年次有給休暇の取得については、増加傾向にありますが、全校種平均で13日以上取得、全員が年5日以上取得、という目標は、達成できておりません。

 ワーク・ライフ・バランスがとれていると感じる教職員の割合については、2年度まで増加傾向にありましたが、3年度は、コロナ対応等の影響もあって減少し、90%以上とする目標は達成できておりません。

 昨年8月の人事委員会による県立学校訪問の際には、更なる負担軽減を図るための対策を検討する必要があるが、平成27年度当時と比べて働き方改革の取組が進んでいるとの感想をいただいたところです。一方で、学校現場の教職員からは、依然として、例えば、外部からの要請を受けての教育委員会からの急な調査等の事務作業や、部活動指導等に追われて授業の準備や生徒指導等のための時間が十分に確保できない、業務負担軽減の実感が持てない、などの声が県教育委員会にも寄せられています。

 こうした状況を踏まえ、今後、プランに基づく取組をさらに徹底・強化していく必要があり、その際には、全体に共通する取組のほか、時間外勤務の特に多い学校や教職員の状況等に応じた取組を重点的に講じることや、校内での業務平準化を推進していくこと、実態把握をよりきめ細かに行っていくことなども重要であると考えています。

 今後、検証結果に基づき、業務量に見合った適切な教員配置、多様な働き方の推進、学校が担う業務等の削減・効率化、教員でなくてもできる業務や教員以外の方の力を借りた方がより効率的・効果的に行える業務をアウトソーシングするためのサポート人材の配置の充実、業務の平準化などに、重点的に取り組んでまいります。

 

 

(議員質問)

 非常勤講師の勤務時間はどのように把握しているのか。また、勤務時間の上限を超えた場合の対応が適切に行われているのか伺う。

 

(教育長答弁)

 非常勤講師の勤務時間については、県立学校においては、1日当たり7時間45分、1月当たり124時間、小中学校においては、1週当たり25時間、年間875時間をそれぞれ上限としております。

 各学校においては、これに基づき、勤務時間の上限を超えないよう、システムへの出退勤時刻の入力や出勤簿への出退勤時刻の記載といった方法で労務管理が行われており、毎月、学校から県教育委員会に対して、非常勤講師の勤務時間や業務内容を記した勤務実績報告書が提出されております。

 教材準備や採点作業等を含めて、勤務を命じた時間については、その時間数に応じて報酬を支払っております。なお、この報告書によると、近年、勤務時間の上限を超えた事例はございません。

 今後も、非常勤講師に関する適切な労務管理が行われるよう、県立学校や市町村教育委員会に対して、周知徹底を図ってまいります。

 

 

(議員質問)

 2020年の全国学力テストが新型コロナの感染拡大によって中止になったことに対し、学校現場から懸念を示す意見はどの程度あったのか。「学校現場の負担軽減」を図るのであれば、教育現場を過度な競争に駆り立て、子どもと教職員に負担を強いてきた全国学力テスト、県学力調査こそ中止すべきであると考えるが、所見を伺う。

 

(教育長答弁)

 令和2年度の全国学力・学習状況調査は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、全国で緊急事態宣言が出される状況であったことなどから、中止となりました。

 その後、各学校では、臨時休業時の学習をどのように取り戻したらよいかを思案し、取り組んでいる時期でございましたので、調査が中止になったことについての意見の聞き取りは行っておりません。

 各学校では、毎年度、二つの調査から、児童生徒一人ひとりの学習状況を客観的に把握するとともに、課題を見いだし、学力育成の取組に生かしております。また、県の調査は、12月に行われることから児童生徒の学習状況等を把握し、年度内に身に付けるべき力を習得できるように指導したり、各学校の学力育成の取組の評価・改善に役立てたりしております。

 県教育委員会では、児童生徒の学習状況や学校の学力育成の取組を客観的に評価し、児童生徒一人ひとりへの丁寧な指導を行うため、また、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立し、今後の学校における指導と教育施策の一層の改善・充実に資するために、学力調査は必要であると考えております。

 こうした目的で実施していることから、序列化や過度な競争が生じないよう配慮し、平均正答数や平均正答率等による順位付けをした公表は行っておりません。併せて、市町村教育委員会へも公表する内容や方法等については、教育上の効果や影響等を考慮して適切なものとなるよう判断すること、例えば、全体の平均正答率が低いため、児童生徒自身が、自分が正答率を下げているんだという責任を感じたり、引け目を感じるような伝え方にならないよう、公表に関する留意点を通知しております。

 教職員は、調査問題の配付や解答用紙の回収などを行うこととなりますが、業務量が多くなる大規模校ではサポートスタッフ等による業務分担も可能であります。調査結果の分析・活用については、県から個人帳票、評価支援システム、復習のための学習教材を提供し、活用されております。また、コールセンターの設置、Q&Aの提供など、サポート体制を整えております。

 学校からは、具体的にこういうことが負担であるとの声は寄せられておりませんが、今後も、実施に向けた支援を行うとともに、児童生徒の学力・学習状況を把握することで、児童生徒と向き合って、一人ひとりの状況に応じた指導・支援ができること、学校の学力育成の取組を客観的に分析することができることなどを引き続き教職員に丁寧に説明してまいります。

 

 

(議員再質問)

 まず強調したいのは、教員一人の授業時数というのは、あくまでも1日4コマ、週20コマが基本であると思う。人を増やせない、または増やさないのならば、業務を減らさなければならないというのは共通の認識だと思うが、学力テストは引き続きやるという答弁であった。教育長には、この学力テストも含めて、どうやったら業務を減らせるのか、何を減らせるのか現場に率直な意見を聞いてほしい。

 

(教育長答弁)

 学力テストを含めて何をやったら業務が減らせるのかということにつきましては、不断に検討を続けていくということであります。今回のご質問、ご指摘、ご提案は、業務改善や働き方改革のために参考になることがたくさんございました。我々もそういった観点で検討を進めているものもたくさんございますし、現場の状況を見ながら、職員が健康で意欲を持って働き続けられる環境をつくって、そのことによって、子どもたちが健やかに成長するという環境を守るというのが私の役目でございますので、スタッフでありますとか、現場の教職員、あるいは労働組合の代表など、いろいろな意見を聞きながら、対策をとっていきたいと思っております。

 そういった中で、現状、教員に欠員ができているという状況が続いております。年度当初に三十数名あった欠員が、何十名も年度中途に採用しましたが、大体同じぐらい休みに入るという状況で、現在も欠員の規模というのは変わっておりません。この春また大量の退職があり、昨年度以上の新規採用も行ってはおりますけれども、総数としてなかなか現場を完全に埋めることができない恐れがあり、採用試験のいろいろな改革など、できることを全部やるという方向で一生懸命スタッフががんばって様々なことをやっております。

 定数の確保も大事ですけれども、その定数をきちんと埋めるだけの人員の確保ということも、喫緊の課題であります。これについても、何とか現場の負担を減らして、子どもたちの健全な育成に資するように一生懸命努力してまいりたいと思います。

 

 

(議員質問)

 知事と教育委員会は、少人数学級の縮小を保護者や教職員からの批判の声を受け入れることなく強行した。少人数学級の更なる推進を図ることは、教職員の負担軽減にもつながることは明白である。財源を確保し、直ちに元に戻すことを求めるが、所見を伺う。

 

(知事答弁)

 少人数学級編制の見直しにつきましては、本県の財政状況が厳しい中で、「島根創生計画」に基づきます、子ども・子育て支援施策の拡充などの人口減少対策を実施するために必要な財源を捻出するために、その当時、全国で最も手厚い水準で実施しておりました学級編制を、全国的には高い水準を引き続き維持したまま、その一部を見直すこととしたものであります。

 これにより捻出しました財源は、学校の様々な課題への対応や教職員の負担軽減のための、新たな教員加配にも配分をしているところであります。

 また、放課後児童クラブの利用時間の延長や、待機児童の解消等に向けた支援の拡充、また、全ての小学校6年生までの医療費負担の軽減の実施といった、子ども・子育て支援策の拡充を同時に行っているとこであります。

 これらの子ども・子育て支援は、それぞれの分野の支援の水準や課題の程度を踏まえながら、限られた財源をバランスにも考慮して配分することで、子ども・子育て環境をトータルで充実していくために実施をしたものであります。

 学級編制を元に戻すべきとの議員のご主張につきましては、今回のこの政策の内容を踏まえますと、放課後児童クラブや子ども医療費助成などの充実した部分を元に戻して、縮小することを意味することとなりますが、私は、現在実施している政策全体が、現在の県内の子ども・子育て環境に求められている内容であるというように考え、これを継続していく考えであります。

 

(教育長答弁)

 先ほど知事がお答えしたとおり、少人数学級編制の見直しに併せて、学校現場の抱える課題解決のための新たな教員加配を行っております。また、検討の過程における様々なご意見を踏まえて、小学校1年の学級編制を30人に据え置くとともに、当初、見直しを行う予定であった小学校3年から6年について、国の動きを先取りして、35人学級を維持することといたしました。さらに、国の35人学級編制によって、国からの教員加配が従来よりも大きく削減された場合には、別途、県の財源で、追加の教員加配を行うこととしております。

 今後も、市町村教育委員会と連携して、学校現場の状況を丁寧に把握しつつ、見直した後でも全国的には高い水準の少人数学級編制と課題解決のための教員加配をセットで行うことで、学校現場の実情に沿ったきめ細かい教育を推進してまいります。

 

 

(議員再質問)

 知事は、相変わらず子育て支援を充実するために少人数学級編制の見直しを行ったとパッケージの論理で答弁をされたが、削った財源をいいことに使えばそれでよいというものではない。県政に無駄はないのか、指摘したいのは、企業立地促進助成金で毎年30億円以上の予算が充てられているが、削るところは本当にないのか。教育を削って子育てを充実するやり方は、やはり撤回すべきであり、教育も子育ても充実するというのが本来の姿ではないか。

 

(知事答弁)

 少人数学級編制の見直しをせずに子育て施策を充実する方策として、企業立地助成の30億円を減らしていけばいいのではないか、というご指摘だったかと思いますが、企業に利益を与えるために企業立地助成をしているわけではありません。その企業の立地に伴って、雇用が発生するということに着目して助成をしており、雇用が発生しない企業立地には助成をしておりません。

 従いまして、今回の企業立地助成の支援の対象先というのは、県内の雇用を増やしてくれていることに着目した、そしてその税収、設備投資に伴います税収増を含めたそういった効果が見込まれるということで支援をしているものでございまして、逆に申し上げますと、この支援がなければ来なかった企業というのは、その分だけ、この雇用が減るわけであります。

 その雇用というのは、多くの場合、子育て世代に関連いたしますので、子育て世代が減っていき、子どもが減っていくということを容認することになりますので、それは島根県の人口減少対策に相容れない考え方、政策だと私は思っておりまして、企業立地助成、いろいろな見直しの余地はあろうかと思いますけれども、雇用と地域経済の活性化に寄与し、そしてなおかつ県内の競争を歪めない立地については助成をしていくという考え方は、継続していかなければいけないと思っておりますので、私の政策的な判断として、そういった政策を取るということは考えていないというところが現状でございます。

 

 

(議員再質問)

 少人数学級編制が見直されてから、現場で働く教職員の方から、あるいはコロナ禍の下で密を高めていっていいのかという保護者の方から疑問の声が次々と寄せられている。多くの教育関係者の願いに逆行してこの見直しを行った、教育長はこの認識さえ持ち合わせていないのか。

 

(教育長答弁)

 少人数学級編制の見直しを行った際、島根創生計画策定の担当局長でございましたので、知事側の一つの意見、アプローチとして、様々な調整を行ったこともあり、この件についてはよく存じております。最初の少人数学級編制を見直すという宣言からのハレーションは、大きな声としてあったわけですけれども、その後、先ほど申し上げたとおり、1年生は見直さない、あるいは特別な加配をやっていくということを出していく中で、現場の声も次第に落ち着いてきたと感じております。

 現在も市町村の教育委員会も含めて、現場の校長、教職員と意見交換することはありますけれども、今はどちらかというと加配がもっとほしいと、いわゆる授業をやっている人と違う立場の遊軍的な人がほしいという声もたくさん聞きます。

 一つには、教員の授業計画の指導を管理職が忙しくてなかなかできないので、これを十分にできる主幹教諭的な形、教頭に準ずるような立場の実力のある人に指導してもらって、そのことで、30人でも、35人でも、38人でもしっかりした授業をできる自信をまず教員が持つ、そして自信だけでなく実際できるということが、大きな負担の軽減になるというようなお話も伺っております。

 そういったことへの加配、一方で、授業ではなくて保護者対応、あるいは生徒の生活態度への対応といったクラス単位の業務以外の対応への人員配置を求める声も以前からたくさんございます。現状のクラス編制をしっかり維持しながら、一つひとつの課題に対応できるような教員の配置、これもなかなか教員がおりませんので難しいですけれども、退職した教員、これは経験がたくさんございますので非常に優位な働きができるということで、退職した管理職であるとか、生徒指導を長年やってきた教員とか、そういった者を加配して、現場の若い教員の手助けをするといったこともできるように、現在教員の配置を考えているところでございまして、総員上げて教員がきちんと働ける、そして子どもたちが健やかに育つと、こういった島根の教育に引き続き取り組んでいきたいと考えているところでございます。

 

 


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