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県議会答弁:令和4年9月定例会(田中明美議員質問分)令和4年9月22日

(議員質問)

 なぜ実質県外生の枠となっている推薦枠を30%に下げる必要があったのか。

 また隠岐島前高校はこれまでどこより県外生を積極的に受け入れ、魅力化やしまね留学の先進校として推進してきたことへの整合性をどのように考えているか伺う。

 そもそも人口減少が進む中で、しまね留学を推進している高校の県外生の割合について県教委としてどのように考えているか伺う。

 

(教育長答弁)

 今年の2月議会で、議員からのご質問に対し、「どの程度県外生を受け入れるのか、といったことは、各地域における県内生徒とのバランスを考慮する必要があり、各高校の県内生徒の入学がこれぐらい見込めるので、入学定員をこれぐらいにして、県外の生徒の規模がこの程度になる、いわば「引き算」で考えることとなります。」とお答えをいたしました。

 隠岐島前高校においては、直近4年間、結果として県外生徒の割合が実際に入学した生徒の50%を超える状況が続いております。県外生徒の受入れにより学校が活性化し、県内生徒にもよい影響を与えているのは事実でございますが、一時的に50%を超えることはやむを得ないとしても、この状況が長く続くことは、県立学校として好ましい姿ではないと考えております。

 隠岐島前高校におけるこの4年間の入学者の平均が、定員80名に対して53名、そのうち、県内生徒の平均が22.5名、県外生徒の平均が30.5名となっています。この数字をもとに計算しますと、島前3町村で今年度卒業予定の中学生は13名増えますが、仮に半数の7名が入学したとしても県内生徒は30名を切ることとなります。推薦選抜による募集定員が入学定員40%、32名のままで、全員が県外生徒と仮定した場合、現実に欠員がございますので、実際の入学者の数で考えますと、県外生徒が50%を超える状況が続くと考えられます。

 このような考え方から、推薦選抜による募集定員を入学定員の40%から30%に変更し、実際に入学する県内生徒と県外生徒との人数バランスをとろうとしております。

 

 

(議員再質問)

 隠岐島前高校は今年度61%の県外生になっている。教育委員会として最適なパーセンテージは何%と考えており、そうすると高校の人数は必然的に決まってくるし、必然的にどこが廃校になっていくかというのが見えてくると思うが如何か。

 

(教育長答弁)

 最適というのはなかなか申し上げられませんが、やはり、県立学校である以上、地元の生徒をまず第一に考える、どういう環境で学ぶべきかということを考えますと、やはり、県内の生徒が50%を下回らない環境というのがひとつ大きな基準となろうと考えております。

 今後さらに、先ほど申し上げましたが、15年後には子どもの数が75%になる。これは地域によって大きく違いますから、場合によっては半分程度になるという地域も出てこようかと思います。今のシステムのままで高校が維持できるかどうかということついては、これまで本県では分校をまず廃止した、20年前頃に統廃合した。1学年4学級がひとつの最低ラインであるところを2学級だったり、1学級までもっていって維持している、さらに県外から生徒を入れてその少なくなったクラスを維持している、こういう学校を守る、維持するといういろいろな方策をとってまいりましたが、今後は先ほど申し上げたようにICTの活用等による分散キャンパス方式でありますとか、そういったことができるのかどうなのかまだわかりませんが、そういった新しい手法も考えながら中山間で維持するのか、あるいは結果として統廃合になるのかということは、今後の状況をよく見ながら、県全体の人口の動向等も見ながら判断していくことになろうかと思います。

 

 

(議員質問)

 県外生の受入れについて「高校の在り方検討会」ではどのように検討されているのか伺う。

 

(教育長答弁)

 「今後の県立高校の在り方検討委員会」は、平成28年度から2年間設置し、2020年代の県立高校の将来像について検討いただき、30年3月に教育委員会に対して、提言をいただきました。

 その提言の中に、「県外生徒の受入れ」に関する事項が含まれており、その内容は、次のとおりとなっております。1つには、県外生徒と触れ合うことで、多様な価値観との出会いや、切磋琢磨を通しての視野が広がり、交流の拡大や、コミュニケーション力の向上、また、地元島根の魅力や課題の再発見、愛着と誇りの醸成など、教育上、大きな効果を生み出すこと。2つには、受入体制の整備については、既存の寄宿舎に加え、市町村の交流・研修施設、下宿、民宿といった民間施設など地域資源を最大限に活用することが求められ、場合によっては、近隣の高校の寄宿舎を共同利用することも資源の有効活用の観点から検討する必要があること。3つには、県外生徒の受入れの目的は、地域や県内生徒、県外生徒双方に良い効果を与えることであり、単に高校の生徒数を拡大することが目的ではないことに十分留意すること。

 そして、これらの点を踏まえ、募集にあたっては、県内生徒の進路保障に配慮しながら、募集人員や「求める生徒像」に応じた選抜方法の設計、ミスマッチが起きにくい募集方法等を考慮する必要があると結ばれております。

 教育委員会では、この提言を受け、31年2月に「県立高校魅力化ビジョン」を策定いたしました。その中では、県外生徒の受入目的は、県内外の生徒へ質の高い教育を提供し、地域にもよい効果を与えるというものであり、単に高校の生徒数を増やすことが目的ではないことに十分留意する。また、県外生徒の入学者数の上限については、県内生徒の進路を保障するという観点に配慮する。としております。

 

 

 

(議員質問)

 各高校の存続や在り方も含め、島根の高校に魅力を感じ、島根に来て島根で学びたいと考えている県外生についても、できる限りの受入れの検討をしてほしいと考えるが、所見を伺う。

 

(教育長答弁)

 まず、2月議会での私の答弁を重ねて申し上げさせていただきますと、15歳という年齢で、島根で学ぶという決断をし、それを実践してくれている県外生徒一人ひとりに対して、敬意を表したいと思いますし、感謝の気持ちでいっぱいでございます。

 このことを踏まえた上で申し上げますと、議員が地元の生徒が0人の例をお出しになりましたが、それは、1学年2クラスの学校で例えますと、地元の生徒0人、県外生徒80人という状況では、学校の存続は難しいということであろうと思いますが、では、地元の生徒が1人だったらどうか、2人だったらどうか、どの程度であれば許容範囲なのか、ということを考えますと、現実に欠員がある状況においては、県内生徒の割合が定員ではなく、実際の入学者の50%を切る、こういう状態が常態化することは、一般的に適切でないと考えております。

 先ほどお答えした提言やビジョンにありますように、地域の中学生の進路保障を考えた上で、県内外の生徒の人数のバランスをとる必要がございます。小さい頃から小中学校を通して小さなコミュニティで育ってきた中山間地域や離島の子どもたちが、他の中学校の生徒と一緒になるという環境の大きな変化に加えて、さらに県外からの多様な生徒と一緒になる時、地元の高校に進学したのに、地元の生徒が少数側となり、アウェイ感やとまどいを抱くことも考えられます。

 県内生徒を受け入れた上で、定員の上限まで県外生徒を受け入れて定員を満たして高校を維持する、あるいは、県内生徒とのバランスを考えずに希望する県外生徒を定員上限までたくさん受け入れるという考え方は、現時点では適当ではないと考えております。

 教育委員会としましては、まずは県内の子どもに適切な教育環境を提供することを第一に考え、その上で、県外生徒を受け入れることで、学校が一定の規模を維持し、また、多様な価値観と出会うことで、生徒が互いに切磋琢磨できる教育環境になるよう努めてまいります。

 

 


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